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8話 ピチピチ

「なるほど・・・。貴方が今代の勇者という訳ですね」

「え?俺、勇者なんですか?」

「傲慢・憤怒・嫉妬・怠惰・強欲・暴食・色欲のどれかをユニークスキルとして持つ者が歴代の勇者、もしくは魔王とされています」

「勇者かぁ・・・。ん?もしくは魔王って、どういう事ですか?」

「勇者にしろ魔王にしろ、ただの名称です。あだ名の様なモノでしょうか」

「なるほど。それで、俺ってどっちになるんですか?」

「それは立ち位置に依るかと」

「ん?どういう事ですか?」

「どちらも己は勇者だと思い、相手が魔王だと思っているはずです」

「はい・・・?」

「味方からは勇者と呼ばれ、敵からは魔王と呼ばれる。と言い換えても良いですね」


なるほど。

ロールプレイングゲームに出て来る様なモンスター達の親玉って感じでは無く、敵陣営のエースが魔王って事か。

そして、それは勇者も同じか。


「それって、もしかしなくても戦争とか政治に巻き込まれてますよね?」

「そうなりますね」

「あ、そうか・・・さっき言ってた、勇者が元の世界に帰って統制を失ったってのは国同士の間でパワーバランスが崩れたって感じですか?」

「はい。勇者を擁した国は圧倒的な戦力で隣接国から始まり支配を広げていきます。そして、勇者を失うと同時に支配下に置いた国全てに反旗を翻され滅びるという歴史がいくつかあります」

「エグいですね・・・」

「はい。ですので、七種のユニークスキルを持つ者が現れたとしても戦争に利用しないという流れになっていました」

「はい」

「ですが先代の勇者は圧倒的な力で侵略戦争を繰り返したそうです」

「はい」

「その結果、勇者が元の世界に帰ると同時に報復を受け、一つの国が消滅したそうです」

「なるほど。確かに侵略された側からすれば勇者では無く魔王ですね」

「はい」

「あれ?でも、元の世界に帰ったって事は、魔王を倒したって事ですよね?」

「はい」

「あ、そうか。侵略を繰り返したのって・・・もう一人転移者が居て、その転移者を探してたって事ですか?」

「詳しい理由は分かりませんが、最終的には勇者・・・転移者同士が戦ったそうです」


うーん・・・。異世界転移モノかと思ったけど、転移先でのバトルロイヤルって感じ?

やっぱ詰んでたか・・・。


「六百年以上前なんですよね?その転移者同士がやりあったのって」

「はい」

「その転移者とアリシアさんは知り合いだったんですよね?」

「はい。一緒に旅をしていたと聞いています」


って、事は当事者だったんだから歴史書に記されていたとか伝承の類ではなく限りなく事実に近いだろう。


まぁ、とりあえずは生き残るためにも情報収集だ。

意外な所に意外なヒントが隠れてたりするし。


「エルフの寿命ってやっぱり長いんですか?」

「大体は六百年から八百年ぐらいでしょうか。長い方は千年を超える方も居られますね」

「おぉ~・・・人間の十倍ぐらいって感じですか?」

「人間の寿命は四十から五十ぐらいが平均な気がしますね。百を超える場合も稀にある様ですが」

「それは医療技術的な問題じゃないですか?」

「すみません。私はこの村から出た事が無いので人間を見るのも今日が初めてなんです」

「あー・・・そんなに詳しくは無い。と」

「はい。聞いた限りではそんな感じではないかと。勝手に推測しただけです。すみません」

「いやいや、謝る様な事じゃないですよ。少しでも情報が欲しいので」

「はい」


う~む。確実に六百歳を超えているはずのアリシアさんだけど、見た目は十代後半から二十代前半。

見た目と実年齢が違うのは物語に出てくるエルフの良くあるパターンだけど、アリスさんも同じぐらいに見えるんだよね。

さっきアリシアさんの護衛に付いてたイケメンエルフもそれぐらいに見えたし。


アリスさんがいくつなのか気になるけど、女性の年齢を聞くのは世界が違ってもご法度な気がする。

でも、やっぱり。二百歳とかは超えてるんだろうな。


「因みにですが。私はこの村で一番若く四十六歳です。年が近いのでお世話役になりました」

「なる・・・ほど・・・。正直なトコ、見た目で年齢の見当が付かないんですけど。それって俺が人間だからですか?」

「いえ、私達も見た目では判断出来ませんね」

「あ、そうなんですね」

「十代半ばから後半まで一気に成長して、そこから見た目の変化はなくなります」

「なるほど」

「そして、天寿を全うする直前から一気に老け込むそうです」

「へぇ~。世界中の女性を敵に回しそうな仕様ですね」

「それは、良く分かりませんが・・・。私が生まれてからこの村で亡くなった方は居ないので。聞いただけで実際はどの様な形なのかは分かりません」


「あ、そうだ。話は全然変わるんですけど。この世界に魔法ってあります?」

「はい。スキルとは別で魔法もあります」

「俺の世界には無かったんで教えて貰えませんか?」

「はい。基本的には火風水土の四元素があり、それぞれの精霊の力を借りて魔法を発動させます」

「サラマンダーとかですか?」

「はい。ご存知でしたか」

「物語にそんな話が出てきますね」

「なるほど。火がサラマンダー、風がシルフ、水がウンディーネ、土がノームです」

「あー、そんな感じです。俺が読んだのも」

「私達エルフには代々シルフの加護というユニークスキルがあるので風魔法を得意としてます」

「おぉー、イメージ通りですね」

「エルフもその読まれた物語には出てくるのですか?」

「はい。弓が得意だったり、物に依っては火を嫌ったり菜食主義だったりって話もありますね」

「弓を得意とする者は多いですが、火も使いますし肉も食べますね」

「へぇ~。でも、もしかしたら異世界から帰還した転移者が伝えたのかもですね」

「そうですね」



何かありがちな異世界モノな感じだけど、魔法ってのにはワクワクしてしまう。

でも、やっぱりまだこれが現実だとは信じきれないんだよな。


情報が多すぎて理解する前に次から次へと。といった感じで頭が追いつかない中、靴擦れの痛みだけがこれは現実なのだと告げていた。



お読み頂きありがとうございます。


矛盾点に気付いて8話は半分以上書き直しました。

おかげで文章は良くなった気がします。

その半面、繋がりは雑になった気がします。

毎日投稿も途切れるし、9話はまるっと削除するハメにもなりました・・・。

もうダメダメですね・・・。

可哀想と思ったそこの優しい貴方。

はい、貴方です。

評価とブクマをしてくれたら嬉しいな~|д゜)コソー

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