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75話 正しくお使い下さい

「少し早いですが、そろそろ出発しましょうか」

「はい」


この村での売れ行きがイマイチだった様で早めに引き上げて出発となった。



「そういえば・・・」

「はい」

「アフヨーって麻薬ですよね?」

「そういった側面もありますね」

「中毒っていうか・・・ハマっちゃったらどうするつもりだったんですかっ」

「そんな1回くらいで依存はしないですよ?そこまでの量でも無いですし」

「でも・・・それでも、身を持ち崩す人も居ますよね?」

「まぁ、否定は出来ません」

「っていうか、そんな危険な物、売って大丈夫なんですか?」

「薬ですからね。使い方次第だとは思います」

「まぁ、痛み止めでもありますからね・・・」

「例えばですが」

「はい」

「風邪をひいて熱が出た時。解熱薬を飲みますよね?」

「はい」

「熱がある時に飲めば熱が下がりますが、平時に飲めばどうなりますか?」

「え?平熱の時ですよね?」

「はい」

「どう・・・って・・・何も変わらないんじゃ・・・」

「いえ、平熱から更に下がります。熱がある時でも、飲み過ぎれば平熱よりも下がります」

「まぁ、はい・・・」

「用法、用量を守れば薬になりますし。守らなければ危険もある。そういう事です」


パッケージに書いてある様な事を言われた・・・。


「何事も表があれば裏もあるんです」

「そうですね」


はぐらかされた様な気がしないでもない。


「よし・・・と。お待たせしました。それでは出発しましょうか」

「はい」


喋りながらもオゥンドさんの片付けの手は止まらず。広げられていた商品はキッチリと荷台に収まった。

ちなみに俺は見ていただけだ。

下手に手を出すと逆に邪魔になりそうだったので・・・。


「この後は少し上ってから緩やかな下りになります」

「はい」

「来た時よりも距離はありますが。その分、勾配は緩やかなので比較的楽だと思います」

「はい」

「それと、先頭はエイミーさんで。ユウさんは私と一緒にお願いします」

「あ、はい」


来た時は獲物が出ずに俺の出番が無かったから今日こそはと思っていたのに・・・。


アフヨーという謎の薬が名産品の怪しげな村に別れを告げ。次の村に向けて馬車は進みだした。



「えっと・・・それで、何か話でもあるんですか?」

「はい?」

「あれ?エイミーに先に行かせて、俺を横にっていうのは・・・」

「あぁ・・・上りの間は問題無いのですが。下りだと荷台の重さが負担になるので押さえるのを手伝って頂こうかと」

「あ、はい・・・」


エイミーには聞かせられない話でもあるのかと深読みしてしまった・・・恥ずかしい・・・。



上りの区間を終え、オゥンドさんの言っていた通り緩やかに下り出した。


「押さえるってどうすれば良いんですか?」

「下りで勢いがついてしまうので。スピードが出ない様、荷台に(もた)れます。こんな感じですね」

「は、はい・・・ぐっ・・・」

「あぁ、そこまで必死に踏ん張る必要は無いですよ」

「え?そうなんですか?」

「人の力ではそこまでの効果は無いです。必死に踏ん張り続けたとしても」

「え、だったら・・・」

「勢いの付き始めを軽減したり、いざという時の為の保険ですね」

「なるほど」


凭れながら歩けるので意外と楽かもしれない。

そんな変わった歩き方に慣れてきた頃にそう思っていたが・・・変わった歩き方なので普段使わない筋肉を使っていると言う事で・・・。

しばらく歩くと身体の色んな所が悲鳴を上げだした。


「これ・・・意外とキツくないですか・・・?」

「あー・・・慣れるまではしんどいかもしれませんね」

「ちょっとエイミーと交代して良いですか?」

「構いませんよ」


という訳で、エイミーと場所を代わり。俺は先行して前方の警戒をしながら進む事になった。


まぁ、これはこれで俺の望んだ展開だ。

鹿よ出て来いっ!


狼は出来れば勘弁して欲しい。理想は鹿。猪でも可。

なるべく弱くて金になるヤツ出て来いっ!


そんなゲスい考えが呼び水になってしまったのか・・・。

俺の目の前に現れたのは・・・狼にしては大きい気がするし、ずんぐりしてる気がする。

大型犬よりも更に一回り二回り大きいと思う。

もしかして・・・熊・・・?


そして、その熊(仮)は目が合うと立ち上がり両手を広げて威嚇してきた。

うん、熊だね。(仮)が取れて熊確定だね。


ガオーって言うかと思ったら、ブモーって言ってるし。

オークかよって思ったけど・・・そういや俺ってオークも普通に倒せるんだった。


「ウィンドアロー」


うん、思ってた以上にアッサリと倒せた。

俺の放ったウィンドアローは熊の眉間にヒットして熊の上顎から上を爆散させた。


身体を狙った方が的は大きいはずなのに、どうしても顔を狙ってしまう・・・。


熊に近寄って確認すると、頭が吹っ飛び中々にスプラッタだ・・・。

慣れて来た気がしてたけど、やっぱり慣れない。


頭を吹き飛ばした盗賊の事を思い出し吐き気を催したので道の端に(うずくま)り、オゥンドさんに買って貰ったスープとパンを野に返した・・・。


「ユ、ユウさんっ!」


エイミーが駆け寄って来るが・・・来ないで欲しい・・・吐いてるから・・・。


「だ、だ、大丈夫ですかっ?」

「あ、うん、ちょっと気分が悪くなっただけだから」

「どこか怪我はっ?」

「あ、うん、大丈夫」

「それではエイミーさん。ユウさんには休んで貰って、私達で解体しましょうか」

「は、はいっ」



オゥンドさんとエイミーが熊を解体していく様をボンヤリと眺めながらイーロさんの憎まれ口には助けられたなぁ。と、イリアさんとイーロさん2人の事を思い出し。

あの時は助かったけど、虫の事とかその他諸々も思い出し・・・次に会った時は絶対に仕返ししようと今更ながらに心に誓った。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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