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74話 借金

微妙な味のスープと味のしない固めのパンを平らげ、果物で口直しをしてからぼんやりとオゥンドさんの商売を眺めている。


「ダンジョン産の肉じゃなく、狩猟肉は無いのか?」

「血抜きが甘く、少し臭いが気になる鹿肉ならありますがどうされますか?」

「それで良い。それをくれ」

「はい。ありがとうございます」


エイミーが仕留めた鹿肉が売れた。

しかも、俺達でそこそこ食べてしまったが残り全てが売れていった。


エイミーの方を見ると可愛く小さなガッツポーズをしていた。


「良かったね」

「はいっ」


まぁ、何が良かったのかは分からないけど喜んでるんだから良かったんだろう。


「もしかしたら、これで武器を新調出来るかもしれませんっ」

「そんなに貰えるの?」

「あ、そこまでかは分からないですけど・・・普通に食べるよりいっぱい貰えるはずですっ」

「お金貰ったら武器新調するんだ?」

「あ、防具が先の方が良かったですか?」

「どうなんだろ?そこは俺も分からないけど・・・どんな武器にする予定なの?」

「えっと・・・今使ってるのが短剣で。もう少し射程が欲しいので片手剣にするか槍にするか悩んでます」

「そうなんだ。あ、だったら俺の短槍使う?」

「えっ、あんな良い武器、私にはもったいないですっ」

「え?あれってそんな良い武器なの?」

「かなり良い武器だと思いますよ?」


アリスさんが用意してくれたのを気にせず使ってたけど、そんな良い武器だったのか。

杖代わりに使ったりしてたけど・・・アリスさんに見られたら怒られるかもしれないな・・・。


「俺達のパーティーはエイミーが前衛で俺が後衛だし」

「はい」

「ダンジョン探索する時って、俺が短槍使う機会って滅多に無いと思うんだよね」

「は、はいっ。私がユウさんには近付けさせませんっ」

「うん、ありがと。だから、武器を交換した方が良くない?」

「で、でも・・・」

「俺は基本的にスキルで戦うだろうし、短槍は使わないのと。良い武器なんだったら、それをエイミーが活用してくれた方が効率良くない?」

「そうですけど・・・」

「浮いたお金で防具も買えるし」

「えっ、それは貸して貰うんですからユウさんにっ」

「え、防具?」

「お金です」

「いやいやいや、それはエイミーが稼いだお金なんだからエイミーがっ」

「盛り上がっている所申し訳ないのですが・・・お二人が思っている程の金額にはなりませんよ?」

「あ、そうなんですね・・・」

「道中で狩られたものは別々に帳簿に付けておくので、必要になれば仰って下さい」

「はい」


そうか。

道中で鹿だったり狼だったりを狩れば、皮だったり肉が手に入るから。

それを、そのままオゥンドさんに卸す形になって現金収入になるのか。

アリシアさんから貰っ・・・借りてる金貨はあるけど古銭で価値があるみたいだし・・・あ、そうか、オゥンドさんに頼んで買い取って貰うか買取先を紹介して貰えば良いのか。


「オゥンドさんちょっとこれなんですけど」

「はい。ふむ・・・かなり古い金貨ですね。どこでこれを?」

「えっと・・・知り合いから借りました」

「ふむ・・・。これをどうされるのですか?」

「結構、価値があると思うんで。どこか買い取って貰える所を紹介して欲しいんですけど」

「急ぎませんよね?」

「はい」

「どこか大きな街に行かないと無理かもしれません」

「やっぱり、かなりの価値があるんですか?」

「どうでしょう?1.5-2倍くらいは確実にあると思いますが・・・あ、本物ならですが」

「あ、はい」

「それ以上あるかもしれないし、無いかもしれないし・・・専門では無いので私にはちょっと判断出来ないですね」

「売れるチャンスがあれば教えて下さい」

「はい」


道中で狩りをした分で護衛任務が終わってもしばらくの生活費にはなるだろうし。

金貨も売れれば当分生活に困る事はなくなるはずだ。


それよりも・・・冒険者ギルドに到着するまでにエイミーに近接での戦い方を教わるってのもアリかもしれない。


「あのさ、エイミー」

「は、はいっ」

「冒険者ギルド目指してる訳だけど。着くまでに時間もあるし、狩りの仕方とか戦い方教えてくれないかな?」

「え?私がですかっ?」

「うん」

「え、だ、だってユウさんの方が強いじゃないですかっ」

「いや、俺はスキルがあるだけで実際には戦えないんだよね」

「で、でも・・・」

「俺とエイミーが戦ったらエイミーの方が強いと思うし」

「絶対、ユウさんの方が強いですっ」

「まぁ、離れてたら俺が勝つ可能性もあるけど・・・たぶん、エイミーの方が勝率も高いと思うよ」

「私はスキルナシなので勝てないと思いますよ・・・?」

「度々すみません。師匠の言ってた事ですが」

「はい」

「スキル持ちはスキルに頼るので。スキルが使えない、効果を発揮しない状況に追い込むと一気に使えなくなる。と言っていました」

「ですよね。なんで、接近戦をエイミーに教わりたいと思ったんですよね」

「良い事だと思いますよ。お互いに得意な事を教え合えば相互理解に繋がりますし」

「それで、相手の戦い方が分かれば次にどう動くかも分かったりしそうですしね」

「そこまで理解出来る様になればランクBも夢じゃなさそうですね」

「あ、やっぱ難しいですか?」

「どうでしょう?私は冒険者では無いので分からないですが、難しい気はしますね」

「ですよね・・・ま、まぁ、じっくりと時間を掛けて連携出来る様になっていきたいと思います」

「はい。頑張って下さい」

「って事だから、エイミーよろしくね」

「は、はいっ」



戦い方に狩りの仕方。それから、解体に・・・あれ?教わる事ばっかだな・・・。

俺が教えられる事は無さそうなのが辛いっ・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


今更ですが・・・オゥンドさんのスペルはownedで意味は所有です。

カタカナ表記の場合オウンドの方が正しい気もしますが何となくオゥンドにしました。


まぁ、これと言って意味は・・・ありますが大した事は無いです(*´ェ`*)

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