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69話 trust

「そうだ。聞きたい事あったんですよ」

「はい。それは歩きながらでも構いませんか?」

「はい」


水汲みを終え、山間部へ向けて荷馬車は出発した。

エイミーには後方の警戒をして貰い、俺とオゥンドさんは馬を挟んで2頭と2人並んで歩く。


「それで聞きたい事というのは?」

「あ、はい。あの俺を襲った姉妹ですけど」

「あぁ、はいはい」

「冒険者ギルドで指名手配するじゃないですか」

「はい」

「それって、いつぐらいの話なんですかね?」

「んー、早ければもう捕まってると思いますよ?」

「へ?」

「エーリューズに早馬を出したので。エトーさんがどう対処されるか次第ですが、早ければ既に捕まっているはずです」


エーリューズ・・・あぁ、あのエトーさんが居る村か。

名前覚えられない・・・。


「今後の事を考えて、2人同時に捕まえるのか。それとも、ユウさんを攻撃した姉の方だけを捕まえるのか」

「はい」

「そこはエトーさんの判断次第ですので読めませんね」

「オゥンドさんなら?」

「私なら多少時間が掛かっても同時に捕まえたいですね」

「そうですね・・・その方が安心出来ます」

「話を聞いただけでも、どちらもいずれは問題を起こしそうなので」

「はい」

「そういった芽は早い内に摘んでおきたいです」

「なるほど」

「後は、弟ですね」

「あー・・・はい」

「今回、問題行動は起こしてないので捕まえる事は出来ませんが」

「はい」

「その姉妹の弟と言う事を考えると人格的に問題がある可能性が高いですよね」

「あー、どうでしょう?引っ込み思案の大人しいタイプに見えたんですけど」

「ふむ。気の強い姉に抑圧されていたのでしょうか?」

「かもしれないですねぇ」

「溺愛されて甘やかされていた様ですが・・・」

「ですねぇ」

「まぁ、読めませんね。会っても無いですし、全く予想が付かないです」

「でも、今回の事で片足を切り落としたみたいですし。弟が直接仕返しして来る事は無いと思うんですけど」

「まぁ、本人には無理かもしれませんが。お金を積めば動く人間はいくらでも居るかと」

「あー・・・そっか・・・」

「落ち着いたら1度エトーさんに手紙を出されては如何ですか?」

「そうですね。お世話になりましたからね」

「それもそうですが。実際に対応されるのがエトーさんのはずですので」

「はい」

「これからユウさんがどう動くべきか。現状を1番把握出来ているエトーさんに聞くのが良いと思ったので」

「あー、そうですね、手紙書いてみます」

「手紙は冒険者ギルドでエトーさん宛に出せば確実に届きますので」

「はい」


落ち着いたら・・・あの村にもまた行きたいな。

エトーさんとエリーさんにも会いたいし。

折角、1階ずつダンジョンの攻略法も教わったにも関わらず、まともにダンジョンに潜ってないって心残りもある。


エトーさんの金魚のフンをしてなら何回も潜ったけど・・・。


「それと・・・」

「はい」

「気を悪くしないで下さいね?」

「はい」

「ちょっと疑問に思ったんで」

「はい。遠慮なさらずにどうぞ」

「エイミーが鹿を狩ったじゃないですか」

「はい」

「あれってエイミーの獲物ですよね?」

「そうですね。なるほど」

「え?」

「仰っしゃりたい事は分かりましたが。そのまま続けて下さい」

「えっと・・・護衛任務中に得た物は依頼主の物になったりするのかもしれないですけど。そこらへんの常識もちょっと分からないので」

「あぁ、それは無いですね。それでしたら、契約の段階でその事も挙がります。挙がっていない場合は道中で得た物はその本人の物となります」

「は、はい」

「例えば、ダンジョン探索の護衛依頼だったとして」

「はい」

「その場合はモンスターに遭遇しないなんて事はまずありえませんよね?」

「そうですね」

「ですので、そういった場合は事前にどう分配するかを契約でハッキリさせておきます」

「はい」

「今回の護衛依頼は・・・」

「はい」

「まぁ、かなりなあなあの契約とも呼べない契約ですが・・・」

「ははは・・・」

「そうですね・・・もし盗賊に襲われたとします」

「はい」

「私は戦えませんので。ユウさんとエイミーさんが戦う事になります」

「はい」

「ですので、盗賊の所持品等はユウさんとエイミーさんのパーティーで分配して貰う事になりますね」

「なるほど」

「報奨金もお二人の物ですね」

「あー、はい」

「今回の契約は。お二人の食事代や宿泊費、雑費等を私が持つ代わりに護衛料は無料。ザックリ言うとそんな感じですので」

「はい」

「それ以外の部分。厳密には違うのですが鹿の討伐依頼をエイミーさんに出して。それを達成して頂いたので」

「はい」

「ちゃんと報酬はお支払い致します」

「そうなんですね。疑っちゃってすいません」

「いえいえ、大事な事です」


なるほど・・・。

正直、商人って信用ならない気がしてたけど。

商人にとって1番大事な物は信用なのかもしれない。

築くのは大変なのに失うのは一瞬だったりするから、普段から誠実に人に接してないといけない物だしなぁ。


あ、でも・・・間にエトーさんが入ってるからこそってのが大きいか・・・。


「鹿って1頭でいくらくらいになるんですか?」

「キッチリ血抜きも行って、解体も完璧に行えれば銀貨1枚くらいでしょうか」

「って事は、今回のはもっと安いんですね」

「そうですね。今回は肉だけでしたし、血抜きも甘いので売る事は出来ませんので銅貨3枚くらいでしょうか」

「なるほど」



まだ、この世界の貨幣価値は分かってないけど。

宿屋で1泊するのに銅貨4-5枚くらいだから、1日に鹿を1頭狩れば余裕で暮らしていけるのか。


まぁ、そんな見付けられる気もしないし。

エイミーと違って身軽でも無いから、見付けても追い付ける気がしない・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


無駄にそれっぽいタイトルの短編を投稿しました。


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