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65話 エイミーさん

エイミーの壮絶な過去を聞き。

重たい気分になった所為か夢見は良くかった。


まぁ、内容は覚えてないんだけど。



「それでは出発しますね」

「はい」

「本日は水場が無いので、全員分よろしくお願いします」

「はい・・・頑張ります・・・」

「では」


今日の布陣は俺が荷台の1番後ろに座りながら水を出し続ける。そして、後方の警戒も俺の担当だ。

御者台にはオゥンドさん。その横をエイミーが歩いて随伴する。


正直、村に立ち寄ったんだからもっと荷物が減ってるかと期待していたが体感としては変化が無い。

もしかして・・・売った分だけまた仕入れた・・・?


という疑問を休憩の時にぶつけてみた。


「仕入れはしていませんよ」

「え、でも、全然減ってなくないですか?」

「それは、まぁ・・・ほとんど売れてませんからね」

「えっ?」

「仕入れたのが全てダンジョン産の食材だったり素材ですからね」

「え、はい」

「隣の村ではそれほど高値で売れませんし」

「あー、輸送費というか、その分を上乗せ出来る距離になりまでは売る気が無いって感じですか」

「売る気はありますよ?ただ、向こうの求める金額とこちらの提示する金額で折り合いが付かないというだけで」

「それを売る気が無いって言うんじゃ・・・。と、いうか、売る気の無い値段設定なんですよね?」

「まぁ、そうとも言えますね」


でも、それもそうか。

俺とエイミーの宿泊費用に食費もその売上で賄わないといけないんだし。

安く売ってたら採算も合わないか。


「ですので」

「はい」

「もうしばらくは水の方よろしくお願いしますね」

「は、はい・・・」

「では、そろそろ出発しましょうか」

「はい」


それにしても・・・。

人間の飲む量は大した事無いけど。馬の飲む水の量がハンパない。


俺達が飲む分は休憩に入り荷台から降りてからでも間に合うけど、馬の飲む分は移動中ずっと出し続けても足りない勢いだから尋常じゃない量を消費している。


そんな事を考えながら、ゆっくりと流れる風景をぼんやりと眺めているとガタガタと音を立てて馬車が停止した。


荷台から飛び降り、オゥンドさんの元へ駆け寄る。


「何かあったんですか?」

「鹿が出たので狩れないかと思いまして」

「鹿ですか?どこに?」

「あぁ、エイミーさんが追っています」

「大丈夫なんですか・・・?」

「本人が大丈夫だと仰ってましたし」

「心配なんで、ちょっと見て来ますね」

「はい」


昨日の話を聞いた所為かちょっと過保護になってるのかもしれない。

とはいえ、それが別に悪い事でも無いので気にしない事にして街道沿いの森の中に分け入っていく。


鬱蒼としていて、入った瞬間に後悔したが・・・。


「あ、ユウさんっ」

「大丈夫?」

「はい。あ、でも、ちょっと手伝って貰っても良いですか?」

「うん?何を?」

「仕留めたんですけど。持ち上がらなくて・・・」

「あー、なるほど」


エイミーに案内され、仕留めたという鹿の元へ向かうと頭を完全に潰された中々の度合いでスプラッタな鹿さんのご遺体があった・・・。


「えっと・・・どうやって仕留めたの・・・?」

「まず、後ろ足を1本折りました」

「あ、うん・・・」

「それで、簡単に追いつける様になった所で。そこの岩で頭をドーン。と」

「ドーンと・・・」


撲殺幼女爆誕☆


「えっと、どうやって運ぼっか?」

「あ、はい。ちょっと待ってて下さいねっ」

「え、うん」


腰の短剣を抜き、そこそこ太い木の枝をギコギコと切り落とし。蔦の様な物を引っこ抜いた。


「すいません。ちょっと持ってて貰えますか?」

「うん。こう?」

「はい。そのままでお願いします」


鹿の足を木の枝に蔦を使って括り付けた。


「これで簡単に持てると思います」

「うん。凄いね」

「え?何がですか?」

「いや、手際が良いから」

「行商の人に教わりました。えへへ」

「そ、そうなんだ」


あ、でも、そうか。

イリアさんとイーロさんから解体の仕方とか教わったもんな。

まぁ、同じ事やれって言われたら絶対に無理なんだけど・・・。


やっぱり人生経験の差が・・・。


えっちらおっちら鹿さんを担いで街道に出ると、オゥンドさんが馬の世話をしている所だった。


「おぉ、中々の大物ですね」

「はい。凄いですよね」

「これで食費がかなり浮きます」

「あ、直ぐに血抜きしますねっ」


そう言うと、蔦を解き後ろ足だけに結び直した。


あ、なるほど。

蔦1本で前足と枝、後ろ足と枝。と、結び難そうにしていたのには理由があった。

血抜きの時に鹿を吊るすのに流用する為にわざわざ1本の蔦でやってたのか・・・。

人生経験豊富なエイミーさん有能っ。


「それだと千切れるかもしれませんから、これを使って下さい」

「あ、すいません」


そう言って、オゥンドさんは荷台からロープを取り出し手渡した。


「それじゃあ、俺が引っ張るね」

「はい、お願いします」

「それは私がやりますので。ユウさんは桶に追加の水をお願いします」

「あ、はーい」



結局、俺の役目はどこまでいってもウォーターサーバー。


でも、馬がこれだけの量の水を必要とするって事は生活魔法のウォーターを使えるのが行商としてはかなりの強みになる。アイテムボックスもあるし。

ウィンドアローとかもあるから行商としては破格の戦闘力も兼ね備えてると思う。


まぁ、相場も分からなければ仕入れルートも無いし、モチロン販路も無い。

スペックは高いけど、能力が低いって感じか・・・。

辛いっ。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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