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59話 欲求

馬車の進む速度は思っていたよりも遅く。

普通に歩く速度よりもちょっと早い程度。


すなわち・・・意識して速歩きになるか、歩きと小走りを交互にするかの2択。


これがまた微妙に疲れるっ・・・。


「オゥンドさん」

「はい。どうしました?」

「生活魔法のウォーターなんですけど」

「はいはい。申し訳無いですがアテにさせて頂きます。報酬もキッチリお支払いしますので」

「そんな一気に量出せないんですよ」

「あー、はい。そうでしょうね」

「なんで、移動しながら溜めたいんですけど・・・」

「歩きながらでも可能ですか?」

「3人が飲む分なら歩きながらでも出来るかもしれないですけど。馬もってなると無理っぽいです」

「そうですか・・・では、仕方無いですね。御者台にお乗り下さい」

「え?」

「どうぞ」


そう言って、オゥンドさんは御者台から飛び降りた。

意外と言っちゃ難だけど、意外と身軽だった。


そして、急いで追い掛けて。今度は俺が御者台に飛び乗る。


「手綱はそのままにしておいて下さい。何もしなくても路なりに進んでくれますので」

「あ、はい」

「そのままで少々お待ち下さい」

「はい」


そう言い残し、今度は馬車の後ろに回り込み。後ろから荷台に飛び乗っていた。

そして、ガサゴソと荷台を漁っている音が聞こえる。


たぶん、水筒の用意でもしてくれてるのだろう。


前に目を向けると、2頭の馬が気持ち良さそうに牽引している。

イリアさんとイーロさんの馬車の時も思ったけど。こんな重い荷台を長時間に亘って引くなんて拷問に近い重労働に感じるが楽しそうに見える。


そして、こちらの馬車も2頭引きなんだけど。

2頭が2頭、均等に引いているんだろう。どちらかにヨレる事も無く真っ直ぐに荷台を引いている。


「ウチの子がどうかしましたか?」

「えっ」

「必死にご覧になってたので」


気付けば身を乗り出して馬を凝視していた。


「良く喧嘩もせずに足並みを揃えられるなぁ。と思って」

「あの子達が賢いというのもありますが。馬具のおかげですね」

「あ、なるほど」

「それで、水なんですが」

「はい」

「こちらにお願いします」

「はい」


と、渡されたのは大き目の桶。


「まずは、あの子達の分をお願いします」

「はい」


オゥンドさんは手綱を持ち、馬の背に手を置き。馬の様子をチェックしながら横を歩く。

イリアさんとイーロさんもそうだったが、行商の人は本当に馬を大事にしている。


感心してばかりもいられないので、生活魔法のウォーターを使い、桶に水を注いでいく。

まぁ、相変わらずのチョロチョロなので時間は掛かりそうだ。


「すいません」

「はい?」

「ここからだと後ろが見えないんで、悪いんですけどエイミーの様子をたまにで良いんで見て貰っても良いですか?」

「えっと、それは」

「まだ子供なんで、体力的に心配なんですよ」

「あぁ、そうですね」

「すいませんが、お願いします」

「はい。では、ちょっと声を掛けてきますね」

「はい、お願いします」


それにしても、オゥンドさんか・・・。

どう考えても「おうどん」さんだよなぁ。


くそう・・・考えない様にしてたのにっ・・・。

うどん食べたい欲求がこっちの世界に来てから最高潮に達しているかもしれない・・・。


いや、でも、いざとなれば不味かろうが自分で作っても良いかもしれない。

いや、でも、それはうどんへの冒涜になる・・・。

いや、でも、うどんへの欲求がヤバい。

いや、でも・・・。


「エイミーさんは大丈夫そうでした」

「え、あ、はい」

「私も前方はチェックしてますが、ユウさんもお願いしますね」

「あ、はい」


チェックってやっぱり盗賊だよね・・・?って、イノシシとか動物だったり、モンスターも出る可能性はあるか。

まぁ、モンスターってダンジョンでしか見た事無いけど。


「そんな頻繁に盗賊とかって出るものなんですか?」

「どうなんでしょう?出ると言えば出ますし。頻繁かと聞かれると難しい所ですね」

「まぁ、俺も1回しか遭遇してないですし。忘れた頃にやって来るって感じなのかもですね」

「あー、はい、そんな感じです」

「って、なると・・・モンスターとかの方が警戒しないとですね」

「モンスターの方が盗賊よりも遭遇率は低いでしょうね」

「え?そうなんですか?」

「はい。モンスターは生息エリアが決まってますし。当然、そういった場所は避けて道を作りますので」

「そうなんですね」

「なので警戒するのは野生動物ですね」

「はい。分かりました」


なるほど。

モンスターを見かけなかったのには理由があったのか。


「それから。人里に現れるモンスターは基本的に群れから追放されたり、単独で狩りが出来ない様な怪我を負ったり病気になっていたりと弱っている個体が多いんです」

「へぇ~」

「なので、私の様にか弱い行商からすればそれでも十分に恐ろしい存在なのですが。冒険者の方たちからするとやりやすい相手とも言えるかもしれませんね」

「なるほど」

「オークを1撃で倒せるのであれば、そういったモンスターや野生動物が多少出た所で安心ですね」

「が、頑張ります・・・」

「エトーさんからユウさんの事は伺ったのですが」

「はい」

「エイミーさんの事はユウさんの他にもう1人居る。くらいにしか聞いてなかったので」

「あー、はい」

「戦力としてはどうなんでしょう?」

「エイミーはたぶん」

「はい」

「接近戦なら俺より強いですね」

「おぉー。なるほどなるほど」

「なんで、そこまで心配しなくても大丈夫だと思います」

「はい。ところで」

「はい」

「ユウさんは遠距離の攻撃スキルをお持ちなんですね?」

「え?」

「あぁ、エトーさんから聞いた訳ではありませんよ」

「あ、はい」

「接近戦なら。と、仰ったので」

「あー、はい。別に隠してる訳じゃないんですけど、持ってますね」

「弓等の武器もお持ちでないですし。それどころか、護衛任務で手ぶらですから」



はっはっは。そうなんです。

急いでたから短槍は背嚢に入れっぱなしなんですっ。


どうしよう・・・どのタイミングで出せば良いんだろう・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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