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56話 絶許

お昼の準備が出来たらしく、呼び出されたのでスキルの練習を切り上げてリビングにやって来た。


が・・・その時の俺の心情としては後悔と明確な殺意しか無かった。


「やっと来たか。さっさと食おうぜ。いでよ、スライム」

「貰った野菜使わせて貰ったから遠慮なく食べてね。いでよ、スライム」

「何、突っ立ってんだ?早く座れよ。いでよ、スライム」


最早、名前として呼ばれてるのか、そういう語尾なのか分からない。

ただ、これ以上無いってくらいにイジられてるのは確かだっ・・・。


この姉弟は絶許っ。



まぁ・・・後2-3日もすれば、この2人とは会わなくなるし我慢するしかない・・・。


そして、宿屋のおばさんに貰った果物は手を加えずにそのまま食べれる物ばかりで良かったが。

野菜は日持ちする物が多かった。(すなわ)ち調理が必要になる物ばかりで俺としては持て余していた。


そんな野菜達を美味しく調理してくれたエリーさんは許そう。

但し、エトー。テメーはダメだ。



そんなメンタルを鍛えられるイベントを経て。

またしても、する事が無いのでスキルの練習をしていると。


コンコンコン───。


「はい」


嫌な予感しかしない。


ガチャ───。


「召喚の練習はしなくて良いのか?」

「しないですよっ」

「はっはっは。召喚士も強いんだがな」

「え?召喚のスキルってあるんですか?」

「んん?無いと思ってたモン練習してたのか?」

「いや、あれは何て言うか・・・魔が差したと言うか・・・」

「野良で1回組んだが強かったぞ」

「へぇ・・・」

「まぁ、前衛としては。どっちが敵か不意に分からなくなる時があったが」

「あ、野良って野良パーティーですか?」

「おう」

「なるほど」

「野良は良いぞ」

「そうなんですか?」

「良い訓練になる」

「あぁ、なるほど」

「野良を知ったら固定パーティーは天国だな」

「はい」

「まぁ、お前も他所に行ったら野良で組んでみろ」

「はい」

「ま、そんな感じだ・・・って、違ぇ!」

「え?」

「本題を忘れるトコだった。ほれ、これ持ってけ」


と、ボロボロの鞄を投げて寄越した。


「これ何ですか?」

「マジックバッグだ」

「え?」

「まぁ、現役の時に使ってたヤツだからボロいけどな」

「えぇ、良いんですか?」

「詫びだ、詫び」

「え?何の?」

「あいつらを制御しきれなかったからな。ここで基礎を学んでから他所に行かすつもりだったのに、そんな暇も無くこんな事になっちまった詫びだ」

「え、でも、悪いのはあの2人で・・・」

「これでもサブマスだからな」

「で、でも・・・」

「1回出した(もん)返される事程格好悪い事はねーから受け取っとけ」

「あ・・・はい。ありがとうございます」

「おう」

「そこに食い物も入ってっから」

「はい」


許すぅ~。

やっぱりエトーさんには頭が上がらない。


「ちなみに」

「はい」

「生きてるヤツは入らねーからな」

「はい」

「マジックバッグからスライム取り出して。スライム召喚って訳にはいかねーからな。はっはっは」


よし。やっぱり許さないっ。絶対にだっ!



エトーさんが居なくなった後で、ほぼ空っぽになっているアイテムボックスに受け取ったばかりのマジックバッグを入れると予想通りアイテムボックスのレベルが2から3に上がった。

これで、アイテムボックス自体の容量が増した事に加えマジックバッグ分の容量も増えたのでかなりの量を簡単に持ち運ぶ事が出来る。


そう。

ポーターもしくは行商人としての能力が跳ね上がった・・・。



そして、夕飯時。


「どうやら明日の昼前には出発出来るそうだ」

「へぇ」

「へぇ。って、お前の事だぞ?」

「え?だって、2-3日後って言ってたじゃないですか」

「いや、どうも、怪我人が続いた所為でダンジョンに向かう冒険者が激減してな」

「はい」

「その所為で在庫が一気に捌けたらしい」

「ん?行商の人ですか?」

「おう。他所から持ち込んだ物を全部売って。その金で荷台一杯に仕入れる」

「凄いですね。そんな一気に大量に売って大量に仕入れてって、どこかでミスったら一気に破産しそうじゃないですか?」

「あー、それをやるのはここだけだな。ダンジョン産の物は他所で手に入らねーから」

「なるほど」

「鍋やら他に要るモンも明日の昼までには揃えとく」

「はい。お願いします」


なるほど。

ダンジョン産の素材は他所の村で売れるのか・・・。


なら、アイテムボックスの空いたスペースに出来るだけ詰め込んで行く先々で売れば旅の資金の足しになるはずっ。


「えっと、それと」

「おう」

「俺も売れる物を仕入れたいんですけど・・・」

「んー・・・」

「あれ?ダメですか?」

「んー・・・行商に乗せて貰うのに、そいつの敵になるってのはなぁ・・・」

「あっ・・・そうですね・・・」

「まぁ、食い物じゃなければタイミング次第で売れるかもな」

「大丈夫ですか?」

「まぁ、そこはお前次第だろ」

「俺に出来ますかね?」

「そこまでは知らねーよ」

「ははは。ですよね」

「まぁ、そっちの方も適当に仕入れて来てやる」

「はい。お願いします」



そう。

これが俺の商人として第一歩。

いずれ異世界を牛耳る行商人としての第いっ・・・いや、商人になる予定は無いっ。

ただの小遣い稼ぎだし、相場とかもわからな・・・あっ、相場分からないとか致命的じゃん!


早まったかもしれない・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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