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55話 黒歴史

翌朝。

俺の所為では無いとはいえ、皆にお世話になりっぱなしなのも事実で。

お詫びになるか分からないがアイテムボックスの果物や野菜をエリーさんに提供したところ、思いの外喜んで貰えた。


そして、エトーさんに呼び出され。

エリーさんはギルドの受付業務へ、俺とエイミーとエトーさんで奥の部屋へとやって来た。


「今後の予定を先に言っておく」

「はい」

「ここから出るっつっても、ちょっと離れた程度じゃ意味ねーからな」

「はい」

「馬車を乗り継いで移動して貰う」

「はい」

「その手配は済んでる」

「おぉー、早いですね」

「当たり前だろ。俺を誰だと思ってんだ?」


えっと、面倒見が良いのか面倒臭がりなのか判断に苦しむエトーさんだと思ってます。


「苦笑いすんなっ」

「えぇっ」

「チッ・・・お前、俺の事舐めすぎだろ・・・」

「いやいや、そんな事無いですって」

「フンッ、どうだかな・・・。まぁ、良い。行商に話は付けてある」

「はい」

「明日か明後日には出れるはずだ」

「はい」

「それまでに、道中の食い(もん)を仕入れておけ」

「はい。・・・って、俺達、外出出来ないんですけど」

「あー、そうか。それは、俺が買って来てやる」

「お願いします」

「他に居る物はねーか?」

「エイミーの分のマントは買ったんですけど。他に要る物ってありますか?」

「寝る時はマントか?」

「の、予定です」

「だったら虫除けと痒み止めは必須だな」

「あ、それはあります」

「だったら、後は鍋やら調理器具だな」

「え?嵩張りません?」

「道中、ずっと干し肉と果物だけで過ごすつもりか?」

「ダメですかね?」

「んー、お前は良くても。な?」


エイミーの方をチラっと見る。


「あー、そうですね。だったら、それもお願いします」

「私も干し肉とかだけで大丈夫ですよ?」

「1週間ぐらいならそれでも良いが。流石にな」

「そんな掛かるんですか?」

「こっから1週間ぐらいの距離じゃ意味無くねーか?」

「あー、それは、まぁ、そうですね・・・」

「まぁ、明日か明後日か明々後日か分からんが出発までには揃えとく」

「はい。お願いします」

「タダじゃねーぞ?」

「わ、分かってますよ・・・」

「ま、それまでゆっくりしとけ」

「はい」



1-2日って話だったけど、いつの間にか1-3日に延びていた。

そして、ゆっくりするのは嫌いじゃないけど、病気でも無く身体は元気なのに自宅待機を命じられると中々にキツい。

別に、外に出たからって遊ぶ場所がある訳でも無いけど、禁止されると嫌でも意識してしまう・・・。


気を紛らわす為にエイミーとこれからの事について話し合おうと思ったが。

エイミーはエリーさんに捕まっていた。

選手権が開催されている感じでは無いが、わざわざ渦中に飛び込む必要も無いので大人しく部屋でスキルの練習をして過ごす事にした。


ウィンドアローとウィンドカッターは流石に屋内で練習出来ないので、生活魔法のウォーターとライトを常時同時発動という感じで使い続けているが意外と上がらずにレベルは3のままだった。


そして、覚えたばかりの気配察知。

これはパッシブスキルなのかアクティブスキルなのか分からなかったが、どうやらパッシブで常時発動している様だった。


何故、分かったかというと。

レベル2に上がった瞬間に2つの気配を察知したからだ。


冒険者ギルドの入り口付近をウロウロしている2つの気配。

ギルド内のエリーさんとエトーさん、エイミーの気配は察知出来ないので・・・俺に対して敵意を持っている対象のみ察知出来る様だ。


めちゃくちゃ便利だけど、下手したら病む原因にも成りかねない危険なスキルだった・・・。


ウロウロしてる2人はあの厄介な2人だろうから良いんだけど・・・まぁ、良くは無いけどっ。

友達だと思ってるヤツがこのスキルに反応したりしたら病みそうだ。


まぁ・・・敵意の程度は分からないけど。便利なのは疑いようがない。


と、思ったけど・・・敵意と言い切るのはまだ早いか。

悪意だったり、害意とでも言うのかな?俺に対して良からぬ事を考えているだけでも反応するのかもしれないし。要検証って所かな。


ステータスに表記されているスライム。これはやっぱり謎でどういう効果があるのか・・・あっ!


「いでよ・・・スライムッ!」


なんて言ってみたりしても、出る訳無いのは知ってました。

うん。召喚ではない。一応ね、一応。1個づつ可能性を消していく。うん、大事。

魔法陣みたいのが出て、そこにスライムが召喚されるなんて思ってなかった。


うん、1個づつ可能性を消していけば、自ずと正解が導き出される。

まぁ、次の案は無いから一旦スライムは置いといてスキルの練習に戻るかな。



コンコンコン───。


「は、はいっ」


ガチャ───。


「ちょっと良いか?」

「はい。どうしました?」

「姉貴に果物やら野菜やら渡したんだろ?」

「はい」

「持ってく食材はそれで良いんじゃねーのか?まぁ、それ以外にも買い足すつもりだが」

「いやぁ、1回出した物を引っ込めるのも格好悪いですし・・・」

「まぁ、そうだな。面子じゃ腹は膨れねぇが大事だな」

「その分、買い出しの量は増えてしまうんで。エトーさんには手間でしょうけど・・・」

「そこまで、大差無ぇよ」

「それじゃあ、すいませんがお願いします」

「おう。あ、そうだ」

「はい」

「いでよ、スライム!!」

「き、聞いっ・・・てたんですか・・・」

「どーせなら、もっと凄いの召喚しろよ・・・ブ、ブフォッ」

「くっ・・・」



もし、エトーさんが気配察知のスキルを持っていたら俺が引っかかっているはずだ。

目撃者は消すべし・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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