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45話 相談

俺への指導等もあったので時間を食ってしまい、ギルドに戻った時には既に陽が沈んでいた。


「おかえり~」

「ただいまです」

「反応あったわよ?」

「え?何がですか?」

「パーティー募集よ」

「おぉー」

「どこにする?」

「え?どこにって・・・そんないっぱい来たんですか?」

「いっぱいって程でも無いけど、3つね」

「おぉー、十分ですよ」

「じゃあ、どれにする?」

「どれって言われても・・・」

「あぁ、そうね。でも、どれも似たりよったりだと思うわよ?」

「いや、何か情報を・・・」

「ん~と・・・ゴブリンが狩場のFランクのペアと~、ラッシュブルが狩場のEランクのトリオと~、Gランクのソロの子ね」


全然似たりよったりじゃなかったっ・・・。

人数もランクも狩場も全然違った。


「えっと・・・エトーさんに相談してから決めても良いですか?」

「うん。それで、えっちゃんは?」

「何か寄る所があるとかで。って、そうだ、直ぐ戻るそうなんで、これで先に夕飯の準備をって」

「オーク?」

「はい」

「それじゃ、代わりに店番頼める?」

「え?」

「誰か来たら呼んでくれるだけで良いから」

「それなら、はい」

「それじゃ、作って来るから。ここはお願いね」

「はーい」


本音を言うと、ダンジョンから戻ったばかりで埃っぽいし。

解体の時にオークの血も付いてるのでそこはかとなく生臭い。

なので、出来るならお風呂に入りたい。


だが、そんな事をしている暇も無くお客さん?がやって来る。


「ん?エリーさんは居ねぇのか?」

「あ、今呼んで来ますね」

「おう、頼む」


エリーさんを呼びに行くと、今度は火の番を任された。

と言っても、鍋やフライパンは火から外してあるので何もする事は無い。

火が弱くなったら薪を足そうかと思っていたけど、5分程でエリーさんも戻って来たので、やっぱりする事は無かった。



そんな事を何度か繰り返していると、エトーさんも帰って来て。

中断しまくっていたにも関わらず気付けば料理もしっかり完成していた。


「とりあえずメシにすっか」

「はーい」


食卓を囲むのは俺とエトーさんだけ。

エリーさんはまだ依頼達成の報告を処理をしていて、もうしばらくは食事にありつけそうにない。


「今日は依頼が多かったみたいだな」

「ですね。そう言えば、ダンジョンから戻ってどこに行ってたんですか?」

「んー?それよりも、パーティー募集に反応あったみたいだな」

「あ、それなんですけど」

「ん?おう」

「3組来てるらしくて」

「おう」

「どこのパーティーが良いかエトーさんに相談したかったんですよ」

「んー、全部行けば良いんじゃねーか?」

「いやいや、全部は無理でしょ」

「そうか?入ってみなきゃ分からん事もあんだろ」

「それはそうでしょうけど・・・3つも掛け持ちとか無理じゃないですか?」

「はぁ?お試しだ、お試し。3つとも正式に入るんじゃなくて、1個づつ試してって、良かったトコに入れって意味だよ」

「あ、なるほど・・・」


それもそうか。

毎日の様にダンジョンに潜る訳だから、トリプルブッキングなんて物理的に無理な話だった。


「お前の場合はちょっと特殊だからな」

「え?はい」

「ポーターとして入れたいってトコもあるかもしれん」

「はい」

「でも、冒険者としてやってきたいんだろ?」

「そうですね・・・はい」

「だったら。まずはそれを伝えて」

「はい」

「分配も最初にキッチリ決めとけよ?」

「はい」

「金が1番揉める要因だからな」

「パーティー内での役割とか立ち回りはやってくウチに変わってくモンでもあるから、そこはそんな気にしなくても良い」

「はい」

「これでやっと肩の荷が降りたな」

「えっ」

「んん?こっから先はパーティーメンバーに教われ」

「えぇっ・・・」

「はぁ~・・・こっからはちゃんと冒険者として活動していく訳だ」

「はい・・・」

「それなのに、俺から教わる時間なんて捻出出来んのか?」

「あ・・・」

「だろ?」

「はい・・・」

「だったら、こっからはパーティーのヤツに教われ」

「はい・・・」

「それにな?」

「はい」

「俺はもう現役じゃねーしな」

「え、でも」

「それに世代も違う」


エトーさんは確か20代半ばだったはず。

10ぐらい差があるって考えれば世代は違うのか。


「まぁ・・・はい」

「って事は、冒険者としての常識も違うんだよ」

「ん?どういう意味ですか?」

「ルールなんて時代に依って変わってくモンだろ?」

「ま、まぁ・・・」

「流行りとかもそうだな」

「あぁ、はい」

「だから、俺の思う常識ってのはお前らにはちょっと古い常識なんだよ」

「なるほど」

「っつー事で、同世代のヤツらから色々と教われ」

「はい」

「その方がお前も得る物が多いはずだ」

「はいっ」

「本音を言うと・・・その方が手間が省けて助かる」

「ぶっ・・・それが8割くらい占めてそうですけどね・・・」

「まぁ、9割5分ってトコだな」

「ほぼほぼ面倒臭いだけだったっ!」

「はっはっは」

「いや、笑い事じゃないですよっ」

「良いのか?」

「え?」

「それで良いのか?」

「な、何がですか・・・?」

「くっちゃべってると姉貴が戻って来んぞ?」

「え、まぁ、そうですね」

「捕まる前に寝床に逃げ込まなくて良いのか?」

「あっ・・・さっさと食べますっ」

「はっはっは。とりあえず募集に引っかかったヤツらとの面通しは明日の夜だな」

「はい」

「って事で、明日も朝からダンジョン回るからな?」

「はい。よろしくお願いします」

「あぁ、そうか。ダンジョン内で会う可能性もあるな」

「そうですね」

「って事で、さっさと食って、さっさと逃げちまえ」

「はい・・・」



エトーさんの後ろを着いて行くだけとはいえ、寝不足でダンジョンに行くのは怖い。

そして、エトーさんの○○な所どっちが多く言えるか選手権は体力以上に精神力を削られる。

一刻も早く避難しないとっ・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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