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41話 パーティーから追放された異世界人。ユニークスキル〈暴食〉で成り上がる。

翌朝、アイテムボックスに入っている果物で朝食を済ませ。

現冒険者ギルドへと向かった。


「お、やっと来たか」

「おはようございます」

「今日はどうすんだ?」

「えっと、その前に」

「おう」

「パーティーの募集どうなりました?」

「今朝、張り出したトコだからまだ反応はねーな」

「だったら今日の予定は無いですねぇ・・・」

「そうか。なら、依頼受けねーか?」

「え?依頼ですか?」

「おう」

「俺でも出来るヤツですか?」

「おう」

「ソロですよね?」

「いや?」

「え?パーティー見つかったんですか?」

「まだ反応はねーってさっき言ったトコだな」

「あ、そっか・・・って、どんな依頼か早く教えて下さいよっ」

「はっはっは。依頼者は俺だ」

「え?」

「いやぁ、松明持つのが面倒でな」

「あぁ、明かり係ですか」

「おう」

「それで、報酬は・・・」

「寝床用意してやってんのに、まだ毟り取ろうってか?」

「あ、いや・・・そうですね・・・すいません・・・」

「冗談だ、冗談。報酬はダンジョンの攻略法を指南するってのでどうだ?」

「おぉー、ありがたいです」

「んじゃ、契約成立だな?」

「あ、でも、その間無収入になるじゃないですか?ご飯も報酬に入れて貰えませんか?」

「んー、指南っつっても実戦だからな。素材の剥ぎ取りもやるぞ?」

「あ、なるほど」

「まぁ、メシぐらいは食わしてやるから安心しろ」

「おぉー、ありがとうございます」


これで当分の間は寝食に困る事は無い。

それに、もしこのままパーティーに入ったら確実に足手まといだから。


パーティーから追放された異世界人。ユニークスキル〈暴食〉で成り上がる。


みたいな話が始まってしまう。

いや、成り上がれるならそれでも良いか。


「で、どうだ?これからダンジョン行けるか?」

「あ、はい。大丈夫です」

「んじゃ、用意してくっから待っててくれ」

「あ、俺も・・・短槍とか取りに行きます」

「おう」


準備を終え、エトーさんと2人でダンジョンへ向かう。


「反応無いって言ってましたけど。見つかると思いますか?」

「パーティーか?」

「はい」

「まぁ、見つかんだろ。今朝、張ったトコだから早けりゃ今日中には何か言って来るはずだ」

「そういえば、張ったってどこに張ったんですか?」

「ウチの前に掲示板があって。そこに依頼やらパーティー募集やら告知を張っつけてる」

「あ、そういえばそんなのあった様な気がします」

「これからはちゃんとチェックしとけ。冒険者としてやってくんだろ?」

「はい・・・」

「冒険者にとって情報は命だからな」

「はい」

「早けりゃ明日にはパーティー入りだ。それまでに最低限の常識ぐらいは叩き込んでやる」

「お、お手柔らかにお願いします・・・」

「良いのか?ハンパなままどっかのパーティーに入っても」

「え?」

「さっきも言っただろ?冒険者にとって情報は命だ」

「あ、はい」

「使えねーって事が一瞬で広まるぞ?」

「え・・・そしたら・・・」

「ここじゃ組んで貰えなくなるな」

「えっと・・・ご指導ご鞭撻の程を・・・」

「まっ、程々にな」

「は、はい・・・」



ダンジョンに入り、エトーさんによる指導が始まった。


「ポーターとしてやってくなら昨日の感じで十分だ」

「はい」

「後ろから着いてって、邪魔をしない。これさえ出来てりゃ問題ねーな」

「はい」

「でも、冒険者としてやってきたいんだろ?」

「そうですね。はい」

「だったらまずは戦闘の経験を積んで慣れるのが大事だな」

「はい」

「っつー事で、スライムから行くか」

「はいっ」

「弱点は核だ。あれを潰せば死ぬ」

「はい」

「って事で頑張れー。あ、俺は今回後ろから着いてくだけだからな」

「え?」

「アドバイスはする。それに危なくなったら助ける」

「はい」

「だから、まずは好きなよーにやってみろ」

「はいっ」


ダンジョンを進みスライムを探す。


「おい」

「はい」

「倒せ倒せ」

「え?」

「通り過ぎてんぞ?」

「え?マジですか?」

「ほれ、そこに居る」

「あ・・・」

「もっと集中しろ」

「すいません・・・」

「謝ってる暇があったら手ぇ動かせ」

「はい。行きますっ」


短槍を構え。スライムに近寄る。


「あれ?」


昨日、見た時は全然逃げる素振りも向かって来る素振りも見せなくて。

エトーさんに足で(つつ)かれても何の反応も示さなかったのに・・・コイツは明らかにこちらを警戒している。

警戒と言うか、今にも飛びかかって来そうなくらいに臨戦態勢だ。


「どーしたー?手ぇ止まってんぞー?」

「何か、昨日と違いません?」

「んー?細けー事は気にすんな。あんま時間ねーぞ?」

「はい・・・」


アドバイスくれるんじゃなかったっけ・・・。

まぁ、スライムなんて最弱のモンスターだろうし。

アドバイスなんて必要無いのかもしれない・・・。


覚悟を決め。

腰を落とし短槍を構え摺り足でスライムに近寄って行く。


と、やっぱりこちらに飛びかかるタイミングを伺っている様に見える。


「サクっと行っちまえ」

「は、はい」


と、なぜか振り返って返事してしまった。

これが失敗だった。

再びスライムに向き直ると、目の前にスライムが居た。


これは比喩では無く。

気付いた時には視界の全てがスライムだった。


「おいっ」


短槍から手を離し。両手で顔に張り付いたスライムを剥がそうと必死に藻掻く。


子供の頃、プールで溺れた記憶が走馬灯の様に蘇る。

走馬灯って確か、過去の経験から似たシチュエーションを探して助かる確率を上げるとか何とか・・・って、俺余裕だなっ。



そして、そのまま気を失い。

気付いたらダンジョンの外に寝かされていた。


いつもお読み頂きありがとうございます。


ありそうなタイトルですよね(*´-`)


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