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40話 死活問題

「あー、まぁ、お前が苦じゃなけりゃ良いんだ」

「そんな脅されると怖いんですけど・・・」


何故か理由を教えて貰えないまま冒険者ギルドに帰って来た。


ダンジョンの14階で折返し、いくつか素材を回収して来たが。

エトーさんが腰に下げていた袋が実はマジックバッグでオーク肉やラッシュブルの肉など食材だけ解体してマジックバッグに回収していた。


理由はギルド職員の素材の買取は禁止されているらしく。持ち帰っても換金出来ないらしい。

なので、自分たちで食べる分。自分で使う分の素材しか持ち帰らないそうだ。


そう言われると確かに。

冒険者からの買取を規定の金額よりも安く個人的に買い取って。

それをそのまま適正価格で買い取ると差額分が右から左で儲けになる。


書類上の事だろうから、そんな規約を無視する事も出来るだろうけど。

冒険者とギルド間での信用問題に発展し兼ねない問題なだけに抜き打ちのチェックや違反者への厳罰があるらしい。


「で、まだ分かんねーのか?」

「え?やっぱり・・・幽霊とか・・・」

「んなもん出るなら、俺らが住んでねーよっ」

「あ、それもそうか」

「姉貴だよ、姉貴」

「え?エリーさん?」

「そっ、姉貴の病気だよ」

「あ、あー・・・」

「まぁ、お前が苦じゃねーってんなら良いんだが」

「もしかして、あれって毎日続くんですか?」

「もしかしなくてもだな」

「それは流石にキツいですね・・・毎日、エトーさんの良い所どっちが多く言えるか選手権はしんどいです」

「うっせぇ。わざわざ言うなっ」


エトーさんをイジった代償だろうか。

その後で開催された選手権はエトーさんのストップが掛かる事も無く。

夕方から夕食まで。夕食の後から朝までの2構成で耐久レースとなった。


ちなみに、今回はエトーさんの可愛い所どっちが多く言えるか選手権だった。



「まだやってたのかよ・・・」

「まだまだ続くわよ~」

「いや、姉貴は仕事だろ・・・」

「今日くらいは休みにしても良いんじゃないかしら」

「いや、意味分からんっ」

「ええ~」

「ええ~じゃねぇ。姉貴は仕事だ。お前はさっさと寝ろ」

「パスで・・・」

「は?」

「パ・・・あれ?エトーさん?」

「あぁ、もう良い。寝て来い」

「え、あ、はい・・・おやすみなさい・・・」


エトーさんの良い所ならまだしも、可愛い所なんて・・・。

結局の所・・・選手権と銘打ってはいるが、勝敗なんて関係無く。

俺はひたすらパス。エリーさんが俺にエトーさんの事を語り続ける。

そんな拷問でしかない選手権がようやく終わった。


ベッドに潜り込み眠りに着いたのも束の間。

手が空く度にエリーさんに起こされる・・・。


全く寝た気がしないまま昼が過ぎ、気付けばエトーさんが帰って来ていた。


「まだ寝てたのか・・・って、寝れてねーなその顔は」

「はい・・・」

「まぁ、姉貴だろうな」

「はい・・・」

「思い知っただろうが。これが、宿も兼ねてるのに誰も泊まらない理由だ」

「何とかならないですか・・・?」

「帰りに見て来たが。やっぱり宿は空いてなくてな」

「詰みましたね・・・」

「今、ギルドの建物を建設中でな?」

「はい」

「ザックリとガワは出来てるはずなんだよ」

「はい」

「雨風は凌げるだろうから、寝るのはそこで出来る様に話をつけとく」

「おぉっ」

「日中は大工やら色々と出入りがあるから荷物はこっちに置いとけ」

「はい」

「どっかのパーティーに入れりゃ、相部屋なり何なりと出来んだろ」

「入れてくれる所があればですけどね」

「ライトに攻撃スキル持ちなんだ。直ぐに見つかると思うがな」

「はい」

「で、募集は掛けたのか?」

「どうやれば良いんですか?」

「あー、こっちでやっとく。希望とかはあるか?」

「いや、特には無いです」

「んじゃ、任せとけ」

「はい。お願いします」


あ、やっぱり・・・組むなら可愛い女の子が良いとか・・・は、流石に言えないか・・・。


「メシは食ってくだろ?」

「良いんですか?」

「まぁ、今日までな?明日からは自分で何とかしろ」

「はい」

「あぁ、そうだ」

「はい」

「俺だけで行こうかと思ってたが、お前も一緒に来い」

「どこにですか?」

「寝床」

「え?」

「お前の今晩からの宿だよ」

「あぁ、冒険者ギルドですか?」

「おう。一応、面通ししといた方が良いだろ」

「そうですね」

「姉貴。ちょっと出て来る」

「うん」

「メシはコイツの分も頼む」

「はぁい」


建設中の冒険者ギルドはイメージ通りの外観で。

村の規模にそぐわない、かなりしっかりした造りになっていた。


「浮いてますね」

「浮い・・・あぁ、そういう意味か」

「実際に浮かんでるとは言ってないですよ」

「この辺りは元々(なん)も無かったからな。ダンジョンが見つかった事でこれから人も集まるし、どんどん発展してくから。こんぐらいのは作らねーとな」

「なるほど」


その後、大工さんや出向して来ている冒険者ギルドの職員さんを紹介して貰い。

宿泊の許可を貰った。


布団やベッド等の寝具を用意すると言ってくれたが、パーティーが見つかるまでの仮住まいなのでそこまでして貰うのは申し訳無いと断った。

気候的にも何も無くても寒くは無いし、マントに包まれば十分なので。


ただ・・・虫が出ない事だけは入念に確認を取った。


建設中の建物で虫なんか出るかよ。と、笑われたし。

こんな段階で虫が出てたら完成する前に虫に食われて倒壊する。とも言われたが、俺としては死活問題なので必死だ。


現冒険者ギルドに戻り夕食をご馳走になってから、建設中の冒険者ギルドへ向い。

指定された部屋でマントに包まり眠りに就いたが、眠過ぎて逆に中々寝れなかったりした・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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