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39話 ルール

「厳密に言うと、魔石っつーか鉱石になるらしいが」

「コボルトの討伐証明部位ですか?」

「おう」

「何に使えるんですか?」

「錆にくかったり、丈夫らしいが。その分、加工もしにくいらしくてな。やっぱ人気はねーな」

「だったら、なるべくスルーしたいですね」

「だな」


あんな可愛い顔でキューンなんて鳴かれでもしたら、トドメなんて絶対に刺せない。

いや、待てよ・・・。


「思ったんですけど」

「おう」

「コボルトって捕まえたら売れそうじゃないですか?」

「お、おまっ・・・極悪だな・・・」

「えっ、でも・・・」

「まぁ、分からんでも無いが・・・ダンジョン産のモンスターはダンジョンから出すと死んじまうからな」

「あー、そうなんですね」

「にしても・・・お前のその発想はウマくハマりゃ金持ちになるかもな。そのウチ」

「本当ですか?」

「まぁ、その前に刺されなきゃだが」

「えっ」

「なんつーか、容赦なさそうだしな」

「そ、そうですか・・・?」

「いや、あんなコボルト捕まえて売っ払うなんて発想はヤバいだろ」


ペットとして販売したら売れそうな気するんだけどなぁ。

これはやっぱり異文化というか、異世界文化と現代日本人の文化の差なのかもしれない。



4階はオーク。

見た目はイメージ通り二足歩行するデカい豚。


肉は食用らしく広く出回っているらしい。

豚肉だと思っていたのはオーク肉と知ってちょっとショック。

まぁ、気にしなければ美味しいから問題無い・・・。


そして、コボルトと違って可愛さの欠片も無いのでエトーさんが容赦無く斬り殺していく。


「オークの討伐証明部位は左耳だ」

「はい。でも、さっきから回収してないですよね」

「まぁ、見回りだからな。荷物増やしてどうすんだ?って話だしな」

「それもそうですね」

「心配しなくても、帰りには適当に拾ってく」

「はい」


4階も所狭しと冒険者が狩りをしていた。

5階のモンスターはアグリーキャット。猫型のモンスターでコボルトと違って獰猛な感じで可愛くは無かった。

1組だけ狩りをしていて、数組のパーティーが安全地帯で休憩をしていた。


「オーク何箇所か空いてたぞ」

「マジっすか?」

「3階からの階段側だ」

「ぐっ・・・どうする?」

「ラッシュブルのが稼げるし、もーちょいで順番だからスルーで良いだろ」

「そうだな」

「よし、だったら行くぞ」

「おうっ」


と、2人組のパーティーが駆け出した。


「怪我せずしっかり稼げよー」

「「はいっ」」


そして、6階へと降りていく。


「さっきのって」

「ん?あぁ、あいつらは順番待ちだ」

「え?何のですか?」

「4階のオーク。6階のラッシュブル。どっちも肉が取れるから安定して金になる」

「なるほど」

「特にラッシュブルは人気だな」

「へぇ~」

「角に皮に肉と買取対象だからな」

「それは、かなり儲かりそうですね」

「まーな。だから、順番待ちが出来ちまうんだよな・・・」

「でも、俺だったら。パーティーを2つに分けて。狩り組と運搬組で延々とやりたいですね」

「まーな。その方が圧倒的に効率が良い」

「はい」

「だから、それは禁止した。フロアの独占もな」

「あ、そうなんですね」

「つーか、自分で狩った分しか持ち出すのは禁止。自分で持ち切れない分まで狩るのも禁止だ」

「なるほど。それだと、直ぐに順番も回って来ますね」

「おう。まぁ、このダンジョンは金を稼ぐ為じゃなく、レベルアップの為に使って欲しいからそういうルールにしてんだ」

「はい」

「んで、さっさとここは卒業して。もっと稼げる難易度の高いダンジョンに行けって感じだな」

「なるほど」



その後も1階づつ説明をして貰いながら14階の最奥部までやって来た。


「よし、んじゃ戻るか」

「あれ?あそこに階段ありますよ?」

「あぁ、あの下はボス部屋しかねーから行っても意味ねーんだよな」

「あ、ボスが居るんですね」

「いや、ボスはもう居ない」

「え?」

「基本的にダンジョンは最深部にボスが居て」

「はい」

「ボスは倒したらそれっきりだ」

「へぇ~」

「んで、ボスを倒すと宝箱が出る」

「おぉー」

「ここは難易度も低いからサクっと攻略されて。当然、宝箱も空だ」

「なるほど」

「つーか、宝箱自体もそれなりの金額になるから宝箱すら無ぇ」

「なるほど。やっぱり宝箱からは良い物が出るんですか?」

「まぁ、そりゃな。ただ、ダンジョンの難易度に依るから、ここのは大した事無かったんじゃねーか?」

「ここの宝箱だとどれくらいのが出ます?」

「そうだな・・・小っこいマジックバックでも出りゃ御の字ってトコか?」

「おぉー」

「何だ?マジックバック欲しいのか?」

「欲しいですね」

「そりゃそうか。有ると無いとじゃダンチだしな」

「はい」


まぁ、あるっちゃあるし。

どちらかと言うと、アイテムボックスの拡張の為に欲しいんだよね。


「納得したか?」

「はい」

「んじゃ、戻るぞ」

「はい」


帰りも狩りをしている冒険者、休憩をしている冒険者、1人1人に声を掛け、ハッパを掛けたり休憩を勧めたりしながらの帰還となった。



「で、これからどうすんだ?」

「どう・・・とは?」

「ここで冒険者やんのか?」

「あー・・・どうしましょう・・・?」

「なんだそりゃ?」

「いや、皆パーティー組んでますよね?ソロの人は見かけなかったですし」

「まぁ、そりゃな」

「俺なんかと組んでくれる人居ます?」

「そりゃ居んだろ。あんなスキルあるんだしよ」

「でも、戦闘経験皆無ですよ?」

「そうなのか?」

「はい」

「とりあえずは募集掛けてみろ」

「はい」

「それで無理なら、俺が声掛けてやる」

「はい」

「あー、それから。宿はどうすんだ?」

「この村に宿ってありますよね?あれだけ冒険者の人達が居るんだから」

「確か、埋まってるはずなんだよな」

「え、じゃあ・・・どうしましょう?」

「ウチに泊まるしかねーな」

「あ、そうでした。ギルドに泊めて貰います」

「良いのか?」

「え?」

「格安なのに誰も泊まってない理由考えろよ・・・」

「え・・・何かあるんですか・・・?」



昨日も泊まったけど・・・別に幽霊も出なかったし・・・何かあるの・・・?


いつもお読み頂きありがとうございます。


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