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37話 ダンジョン

翌朝、朝食もご馳走になりゆっくりしてからダンジョンに向かう事となった。


「どれくらいですか?」

「ん?何がだ?」

「ダンジョンまでです」

「こっから10分くらいだな」


村を出て5分くらい歩いてるから片道15分か。


「思ってたより近いですね」

「楽で良いだろ?」

「はい」


と言っても、途中からは山道になり意外と体力を奪われた。


そして、山の中を進むと。木の数が一気に減り殺風景な場所に出た。

ガレ場って言うのかな?岩がゴロゴロと転がっていて1歩進むのにも一苦労する。


「あそこだ」

「え、こんな所にあるんですか」


山の中を進んでいただけに、木に囲まれた古代遺跡みたいなダンジョンを想像していた。


「崖が崩れて顔を出したのか、最初からこんな感じだったのかは分かんねーけど。1年くらい前に村の子供が発見したんだよな」

「え、そんな最近なんですか?」

「おう。だから俺が派遣されてきたのももーちょいで1年ってトコだな」

「え、エトーさんってあの村の人じゃなかったんですね」

「ダンジョンも無い、田舎の村でどーやって冒険者やんだよ?」

「あ、確かにそうですね」

「元々は王都で冒険者やってたんだけどよ」

「はい」

「足を怪我して引退しようと思ってたトコに、ここでギルマスをやるって話が出てな」

「はい」

「そんで姉貴と越して来た訳だ」

「なるほど。あ、って事は、怪我はもう良いんですか?」

「いや?ダメだな。冒険者としては無理だ」

「え?でも」

「あぁ、ここみたいな初心者向けなら余裕だが、ガチのトコでは無理ってこった」

「なるほど」

「腐ってもBランクだしな」

「おぉー」


って、それがどのくらい凄いのかはイマイチ分からないけど。


「ま、喋ってても難だ。さっさと行くか」

「はい」

「あ、ライト頼むぜ?」

「はい」


そして、某RPGに出て来るヤツにソックリな四角に縁取られた地下へ向かう階段を降りていった。


短い階段を降りると入り口からの明かりで少し先までなら見通せるが、石畳で出来た通路の奥の方はどうなっているのかここからでは窺い知ることは出来なかった。


「あ、そうか・・・」

「どうしました?」

「いや、モンスター相手にやらせるのは危険か」

「あー、そうですね」

「つーか、見るだけならここに来るまでにやらせりゃ良かったな」

「確かにっ」

「って事で・・・」

「はい」

「1回出るか」

「は、はい・・・」


降りたばかりの階段を上がり外に出た。


「じゃ、テキトーに頼む」

「はい」


「ウィンドアロー」


ザシュ───。


「お?今、何やったんだ?」

「え?だから、ウィンドアローを」

「マジ?」

「マジです」

「ふむ・・・ちょっと、あの岩に向かって撃ってくれねーか?」


と、一際大きな岩を指定された。


「はい」


「ウィンドアロー」


バスッ───。


「ふむ・・・何か変な事してる風でも無いしなぁ。ホンモンっぽいな」

「だから、本物ですって」

「なるほどなー」

「何がなるほどなんですか?」

「気の弱そうな、身体もヒョロっちい。大凡(おおよそ)、冒険者に向いてそうなトコが1個も無ぇヤツが何言ってんだ?って思ってたが」


え?そこまで思われてたの?


「まぁ、そりゃ、こんなスキル持ってたら冒険者にもなってみてーよな」

「は、はい」

「んじゃ、気を取り直して行くとするか」

「はい」


そして、再び階段を降りてダンジョンに入った。


「そういや、手ぶらだけど。スキルだけで戦うつもりか?」

「あ・・・」


短槍は背嚢に入れっぱなしで存在自体を忘れていた・・・。


「まぁ、良い。とりあえずこれ渡しとく。ほれっ」

「わ、わ、わ」


と、投げ渡されたのは。


「解体用のナイフだが、無いよりはマシだろ?」

「はい、ありがとうございます」

「やらねーぞ?」

「いや、貸してくれた事にですよっ」

「んじゃ、(はぐ)れなけりゃ危険は無ぇ。しっかり着いて来いよ?」

「はい」


そして、人生初のダンジョン探索が開始された。


「1階はスライムしか出ねぇから。基本スルーで2階に向かう」

「はい」


スライムか。

ティアドロップ型というか、タマネギみたいな形の青いヤツがまず頭に浮かぶ。

ファンタジーなモンスターと言えば、まず浮かぶのがスライムかゴブリンだと思う。

あぁ・・・ドラゴンとかのがファンタジーっぽいかもしれない。


でも、やっぱり最初のモンスターとしてはスライムだよなぁ。


「居るな」

「スライムですか?」

「おう」

「え・・・どこに・・・?」

「そこだ」


と、エトーさんが指を差すが見当たらない。

そして、エトーさんは剣も抜かずにそのまま歩き続け、不意に立ち止まった。


「これだ、これ」

「え?」


と、エトーさんが足でツンツン(つつ)いてるのは無色透明のスライム。

形はイメージしていたのとは違い、毒を持ってるバブリーな方っぽい。

そして、当然かもしれないけど顔は無い。


「パッと見、水溜りですね」

「だな。住む場所に依って色とか特性も違うが、コイツが基本だな」

「なるほど」

「中に核があるだろ?」


良く見ると中に小さな石みたいのがある。


「はい」

「これを潰せば死ぬ」

「はい」

「んじゃ、行くか」

「え?倒さないんですか?」

「スライムの使える素材は核だけで、潰したら使い物になんねーんだよ」

「なるほど・・・」


初ファンタジーモンスターとの遭遇はあまりにも微妙な・・・バトルにもならず、ただただスルーして横を通過して行くだけで終わった。


「2階からはゴブリンだから気ぃ抜くなよ?」

「は、はいっ・・・」



気を取り直してっ。


ここからは気を抜けない。気を抜けば、きっと簡単に怪我をする。

それどころかアッサリと死んでしまうんだろう。


ファンタジーだけどリアルな世界。

これが俺がこれから生きていく世界。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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