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36話 登録

「えっ」

「そんな驚く事か?」

「え、いや、でも、そうか・・・」

「そんな意外か?俺がサブマスなのが」

「あー、でもエトーさんまだ若いですよね?」

「まぁ、そうだな。っても、田舎のギルドなんてそんなもんだぞ?」

「エリーさんがギルマスなのも・・・」

「まぁ、姉貴はあんなんだからな・・・」

「はい・・・」

「まぁ、俺が事務仕事なんて出来ねぇから俺の代わりにやって貰ってるって感じだ」

「なるほど」


夕食後、色々と話を聞かせて貰っていたが驚いた事にエトーさんとエリーさんがこの村にある冒険者ギルドのギルドマスターとサブマスターだった。

エトーさんで20代前半くらい。エリーさんはそれの1つか2つ上くらいだろう。


「って事は、基本的にエリーさんが冒険者ギルドを運営してて。エトーさんは・・・」

「勘違いすんなよ?穀潰しじゃねーぞ?」

「あ、はい・・・」

「俺の本業は冒険者なんだよ」

「なるほど。さっきもダンジョン行くって言ってましたしね」

「ここのダンジョンは階層も浅くて、敵も弱いから初心者向けのダンジョンでな」

「はい」

「っても、初級者・初心者向けってだけで素人向けって訳じゃねーんだが。たまに、そこを勘違いいたバカが潜ったりすんだよ」

「あぁ~」

「まぁ、それと、しくったヤツの回収だな」

「しくったヤツ?」

「怪我して動けなくなるヤツがたまに居んだよ。んで、それを回収する為の見回りだな」

「なるほど」


あれ?どっちも一緒じゃないの?


「って事で・・・明日は一緒に行くか」

「え?ダンジョンですか?」

「以外にあんのか?」

「ですね・・・よろしくお願いします」

「出来たわよ~」

「ありがとうございます」


何が出来たかって?

そう。

冒険者ギルドのギルドカードが完成した。


見た目としてはICカード。いや、クレジットカード?

厚さはクレジットカードだけど、ICカードみたいに弾力がある。

冒険者ギルド。ランクG。ユウ。と、その3点しか書かれていないが。これでようやく身分証を得る事が出来た。


「んじゃ、簡単に説明すんぞ」

「はい」

「冒険者ギルドの規約としてはだ」

「はい」

「悪い事はすんな」

「はい」

「・・・・・・」

「え?」

「以上だ」

「いやいや、もうちょっと詳しくっ」

「う~ん・・・ってもなぁ・・・場所が変わればルールも違うんだよな」

「えっと・・・じゃあ、共通のルールだけでも」

「んー・・・そうだな。ランクについて言っとくか」

「はい」

「Gから始まって上はSまである」

「はい」

「ランクが上がれば受けられる依頼も増えるし、同じ依頼でも報酬が上がる」

「はい」

「ここだと依頼の大半はドロップ品の納品だな」

「ダンジョンのですね?」

「おう」

「依頼を(こな)していくとランクが上がって、失敗が続くと下がったり?」

「だな」

「失敗すると違約金も発生するから気を付けてね~」

「最初は常設依頼だけ熟す方が良いな」

「なるほど」

「他は追々でってトコだな」

「はい」

「まずは見せてくれよ」

「え?」

「ウォーターとライト」

「あぁ、そうですね。ちょっと待って下さい」

「おう」


コップに入った水を一気に飲み干し。そこに向けて指を差す。


「ウォーター」


「おー、ホントだったな」

「はい」

「んじゃ、次はライトもいけるか?」

「はい」

「んじゃ、ロウソク消すぞ?」

「はい」


「ライト」


「おぉー。どっちも実用レベルだな」

「ウォーターはまだ出が悪いですけどね」

「出るって事が重要だろ。そんだけで荷物も減るし、もし遭難したとしても水がありゃ当分保つしな」

「遭難ってダンジョンでですか?」

「まぁ、ダンジョンでもだな」


個人差はあるけど、水も食料も無い状態だと人は2-3日しか保たないって聞いた事がある。

食べ物は無くても水があれば、それが一気に2週間から1ヶ月まで延びるって話だし。

マグナスさんも言ってたけど、やっぱり水は生命線か。


「そこは、まぁ、依頼によりけりだな」

「なるほど」

「とりあえずだ」

「はい」

「明日、ウィンドアロー楽しみにしてるわ」

「あのっ」

「ん?」

「風属性って、エルフが使えたって話じゃないですか」

「だな」

「それで、エルフなんて居ないから。誰も使える人は居ない」

「おう」

「もし使える人が居たとしたら、どうなると思います?」

「んー、どうって・・・どうもならんだろ」

「え?」

「どれだけ使えるかにも依るだろーが、他の攻撃スキル持ちとおんなじ扱いじゃねーか?」

「え、いや、そうなんですか?エリーさん」

「ん~、最初は珍しがられるかもしれないけど。これといって何も無いと思うわよ?」

「そうなんですか?」

「うん」

「ホントに使えそうな口ぶりだな」

「いや、だから使えますって」

「ま、それは流石に明日だな」

「はい」

「それじゃあ、明日の備えて今日はもう寝るとするか」

「俺ってどこで寝たら良いですか?」

「あぁ、部屋があるからそこで寝てくれ」

「はい」


案内されたのは4畳半くらいの部屋で3段ベッドが2つある。

ベッドに座る事さえ出来ない、ただ寝るだけの部屋だった。


「今、泊まってるのは誰も居ねーから好きなトコで寝てくれ」

「はい」

「明日は朝から行くけど、そこまで早くじゃねーからゆっくり寝てて良いぞ」

「はい、分かりました」

「んじゃーな」

「はい。おやすみなさい」

「おう」



当たり前だけど人生初ダンジョン。

そして、ここまで猪とか獣とは遭遇したけど、モンスターはまだ出会っていない。

人生初ダンジョン、そして人生初ファンタジーな生き物。


俺のウィンドアローが火を噴くZE☆


まぁ、ウィンドアローが火なんて噴いたらそれはファイヤアローだろうけどっ。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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