35話 冒険者ギルド
「ありがとうございました」
「どーいたしましてー。頑張りなねー」
「はーい」
冒険者ギルドの真ん前まで送って貰い。ウィリーさんと別れた。
まぁ、正直に言うと。
直ぐに入らずに心の準備をしてタイミングを見計らってから入ろうと思っていたのに、目の前で降ろされたら入らざるを得ない。
そして、ウエスタンな扉をイメージしてたけど、普通に民家。
冒険者ギルドのはずなのに民家。
意を決し、冒険者ギルドの扉をノックする。
コンコンコン───。
反応が無い。ただのしかb・・・違う違う、留守?
「入らねーならどいてくれねーか?」
「うひゃあ」
「ど、どっから声出してやがんだ・・・って、驚かせて悪かったな」
「あ、いえ、こちらこそ・・・」
いきなり後ろから声を掛けられて変な声が出た・・・恥ずかしい・・・。
「だから、入るか入らねーか・・・」
「あ、すいませんっ」
ガチャ───。
中へ入ると、そこは・・・やっぱり民家だった。
「あの・・・」
「ん?」
「ここって・・・冒険者ギルドですよね?」
「ん?そうだが?」
「いや、どう見ても普通の家なんですけど・・・」
「そんな街にある様なちゃんとしたのを、こんな小っこい村に期待すんなよ」
「あー、はい・・・」
「で、依頼か?」
「いや、登録をしたくて」
「へぇ。冒険者になんのか」
「はい」
「姉貴ー!お客さんだぞー!」
「はーい」
呼ばれて出てきたのはフワフワした感じのお姉さん。
ヤンチャそうな弟とは対照的な感じだ。
「ご姉弟なんですか?」
「はい。やっぱり似てますよね?」
「え?」
「だって、見て分かったんでしょ!?」
「はぁ・・・俺が姉貴って呼んだからだろ?」
「えっと・・・ソックリだったんで」
「ですよね!」「はぁ?」
全然似てないけど圧に負けてしまった。
そして、何となくお姉さん側に付いた方が良い気がした。
「ほらー?やっぱり私とえっちゃんは似てるのよ~」
「えっちゃん言うな・・・エトーだ。こっちは姉の」
「エリーです」
「あ、はい。ユウです。よろしくお願いします」
「つーか、似てねぇだろ・・・」
「似てますよね?ソックリですよね!?」
「似て・・・ますね・・・」
「ほらー?」
「例えばどこが似てんだよ?」
「えっと・・・目・・・とか・・・?」
「俺はどっからどう見ても吊り目で姉貴は垂れ目。真逆じゃねぇかっ」
「いやぁ・・・何でしょう・・・?目の雰囲気・・・?」
「テキトーな事言いやがって・・・知らねぇぞ?」
「えっちゃんはねっ。目がねっ。優しいのっ」
「は、はい・・・」
「一見キツそうに見えて、目の奥が優しいのっ」
「は、はぁ・・・」
「俺ぁ、ダンジョンの見回り行って来る。後は頼んだぞー」
「いってらしゃ~い」
ブラコンのお姉さんとドライな弟なのかな。
まぁ、ここが冒険者ギルドらしいから。とりあえず登録を済ませてしまおう。
「えっとですね」
「うん」
「登録をしたいんですよ」
「うん。後でね」
「え?」
「まずは、えっちゃんの良い所どっちが多く言えるか選手権~♪」
「え?いや、冒険者の登録を・・・」
「後でね」
「え・・・」
「あ・と・で。分かった?」
「は、はい・・・」
それから3時間程、エトーさんの良い所どっちが多く言えるか選手権は続いた。
「エリーさーん。納品したいんだけどー。エリーさーん」
「はーい」
やっと終わった・・・。
「お客さんだから中断ね」
「え?」
「さっと済ませて直ぐ戻るから待っててね」
「え、いや・・・」
「待っててね?」
「は、はい・・・あ、でもっ」
「うん?」
「ついでに登録を・・・」
「そんな事、後でで良いわよ~」
「あ、はーい・・・」
そこから更に2時間。みっちりとエトーさんの良い所どっちが多く言えるか選手権は続いた。
「はぁ・・・やっぱりか・・・」
「えっちゃんおかえり~」
「おかえりなさい・・・」
「だから止めたのによ」
「思い知りました・・・」
「あっ!ご飯作ってないっ!!」
「あぁ、だろうと思って買って来た」
「流石えっちゃん!」
「あぁ・・・分かったからくっ付くな・・・で、お前も食ってくよな?」
「あ、良いんですか?」
「ついでに泊まってけ。今から宿取んのも面倒いだろ」
「は、はい・・・ありがとうございます」
エトーさんが買って来てくれた夕食を3人で囲む。
牛ステーキにトンカツに鶏の丸焼き。
見事に肉のオンパレード。
「ところで、何で冒険者になりたいんだ?」
「えっと・・・こんな事言うと怒られるかもしれないですけど・・・」
「おう。言ってみろ」
「まずは身分証が欲しかったので・・・」
「あー、別に普通だな。そんな事で怒りゃしねぇよ」
「そうですか・・・」
「それから?まだあんだろ?」
「何て言うか・・・なってみたかった・・・?」
「はっはっは。それも普通だな。やっぱ男なら1度は冒険者に憧れんだろ」
「で、ですよね」
「まぁ、そんな軽い気持ちで死んでくヤツもいっぱい居るけどな」
「デ、デスヨネー・・・」
「んで、スキルナシだよな?」
「いや、あります」
「お?何持ってんだ?」
「ウォーターとライトです」
「おぉ、マジか。だったらやってけそうだな」
「ホントですか?」
「ポーターとしてな」
oh...
俺がなりたいのはそこじゃないっ。
「どっちかが攻撃スキルだったら良かったんだけどな。まぁ、スキルが2つあるだけでも儲けもんだしなぁ」
「いや、あの・・・」
「ん?」
「ウィンドアローもあります」
「はっはっはっはっは。って事は・・・」
「はい」
「ウォーターとライトも怪しいな」
「ええっ?」
「まぁ、分かる。最初だからな。舐められねぇ様に見栄張って自分をデカく見せたいのは分かる」
「え、いや・・・」
「だが、嘘は良くねぇ」
「あ、えっと・・・明日、見せますっ」
「おう・・・楽しみにしとくわ」
これほどまでに俺が風属性のスキル使えるのを信じて貰えないのは・・・風属性=エルフで。
エルフ=美形ってイメージに繋がって。
こんな平たい顔のヤツが風属性なんて使えるはずが無いって事だろっ。
くそう・・・俺がもっとイケてるメンズに生まれてればっ・・・。
いつもお読み頂きありがとうございます。




