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34話 爆睡

イリアさんとイーロさんの2人が交代で食事を取り。出発の時間となった。


「大丈夫ですか?」

「はい。吐き気は治まったんで」

「ここから1時間程だと思いますが。何かあれば直ぐに言って下さい」

「はい」

「吐くなら外にだぞ?」

「はい」

「周りの荷物は全部売り(もん)だからな?」

「はい、大丈夫です。たぶん」

「たぶんかよっ」

「イーロさんが場所代わってくれたら大丈夫なんですけど」

「俺が吐くわっ」

「ですよねー」

「てめぇ、わざと言ってんな?」

「はいっ」

「はぁ・・・早く準備なさい・・・」

「くっ・・・覚えてろよっ」

「ずいぶん元気になりましたね」

「ははは・・・何かイーロさんと喋ってると気が楽になります」

「そうですか。程々にお願いします」

「はーい」


イリアさんの言っていた通り、1時間程で次の村へと到着した。

そして、早々に宿を取りベッドに潜り込んだ。


俺は悪夢から逃れる様に深く深く泥の様に眠った。


そして、目が覚めた時イリアさんとイーロさんの姿は既に無かった。


この村に到着したのが昼過ぎで、そこから直ぐに寝て・・・どうやら20時間くらい寝ていたらしい・・・。


「うん。それで、イリアちゃんに頼まれたんだけどね」

「はい」

「まずは・・・えっと、これだね。これを渡す様にって」

「あ、はい」


渡された小さな革袋を開けると銀貨が12枚出てきた。


「あぁ・・・」


ちゃんと買い取ってくれたって事か。


「それから」

「はい」

「冒険者ギルドに行きたいんだって?」

「はい」

「明日の朝なら隣村に馬車が行くから。それに乗ってきな」

「良いんですか?って、言うか・・・隣村に冒険者ギルドがあるとか?」

「ん?あるよ?」

「あ、なるほど・・・」


キッチリ仕事は(こな)してくれてたのか。


「隣村ってどれくらいの距離なんですか?」

「んー、馬車なら2時間もあれば着くよ」

「だいぶ近いですね」

「って事で、もう1泊だね?」

「そうですね。お願いします」

「あいよー」


ぐぅ~~~~。と、そんなタイミングで盛大にお腹が鳴った。


「はっはっは。昨夜も食べてないからね。急いで用意するからちょっと待ってな」

「は、はい・・・」


人を殺してもお腹は減る。

1日寝ただけで。それはそれ、これはこれ。と頭の中で割り切っている自分が居る。


忘れた訳じゃない。

今も頭にはあの時の映像がチラチラと浮かぶ。


でも、やっぱり・・・1日振りに食べるご飯は美味しかった。



「もう大丈夫そうだね」

「え?」

「はっは。最初、来た時の顔ったら酷いモンだったよ?」

「そんなにですか・・・?」

「何があったかは知らないけどね」

「はい・・・」

「しんどい時は思いっ切り休んで、飛び切り美味しいモンを思いっ切り食べれば大抵の事は何とかなるんだよ」

「そうですね。はい」

「って事で、おかわり要るかい?」

「はい。お願いします」

「あいよ」


たぶん、まだ完全に割り切れてはいない。

でも、これで何か1つ乗り越えた気はする。


もしかしたらそれは人として越えてはいけない何かなのかもしれないけど・・・。



お腹が膨れた所為か部屋に戻ると急激に眠気が襲ってきたので、そのままベッドに入り眠りについた。


まぁ、何て言うか。

乗り越えた気になってただけで、悪夢に(うな)されて汗だくで飛び起きた。


そう簡単に乗り越えられたら苦労は無いよね・・・。



寝過ぎた所為か魘された所為かは分からないけど、眠れぬ夜を過ごした。


「おはようございます」

「おはよう。しっかり寝れたかい?」

「そうですね、はい」

「話は通してあるから。もうじき迎えに来ると思うよ」

「ありがとうございます」

「それまでに食べちまいな」

「はい」


さっと朝食を済ませ、お礼を言ってるとお迎えが来た。


「あぁ、ウィリー。この子だよ」

「乗せてくだけで良いんだよね?」

「うん。頼むよ」

「はーい」

「よろしくお願いします」

「うん。じゃあ、早速だけどもう出れる?」

「はい。荷物取って来ます」

「それじゃ外で待ってるね」

「はい」


部屋に戻り背嚢を背負い、宿屋のおばさんにお礼を言い宿を後にした。


外へ出ると荷馬車が停まっていて。

ロバは1頭。荷台も(ほろ)は無く、イリアさんの馬車よりもだいぶ小ぶりだ。


「よろしくお願いします」

「はーい」


荷台に乗り込み背嚢を置き腰を下ろすと。


「もっと前の方おいでよ」

「あ、はい」

「いやー、行きは暇だから話し相手が出来て良かったよ」

「あ、はい」

「帰りは荷物も無いからスピードも出せて直ぐだけど、行きはゆっくり行かないとだから面白くないんだよねー」

「納品しに行くんですか?」

「ううん。売りに行くんだよ」

「あぁ、なるほど」


村で収穫したのであろう野菜が荷台には積まれていた。


「これ全部ウィリーさんが作ったんですか?」

「全部じゃないよ。近所のじーちゃんばーちゃんの分もだね」

「あぁ、売りに行ってあげてるんですね」

「そっ。それで、高く売れれば俺の取り分が増えるって感じ」

「なるほど」

「そうだ。えっと・・・」

「??」

「名前なんだっけ?」

「あっ、言ってなかったかもです。ユウです」

「ユウか。んで、ユウは隣の村に何の用事なの?」

「冒険者ギルドに行きたくて」

「依頼?」

「いや、登録をしたいな。って」

「おぉー、冒険者になるんだ?もしかして攻撃スキル持ちとか?」

「あー、まぁ、一応・・・」

「そっかー、いいなぁー。やっぱ男の子の憧れだよね」

「ウィリーさんも憧れました?」

「まぁ、そりゃーねー」

「俺、なろうと思ってるんですけど。詳しくなくて」

「うん」

「良かったら冒険者について教えて貰えませんか?」

「え?僕が?」

「あ、ダメなら良いんです。すいません」

「あぁ、そうじゃなくって。僕も大して詳しくないよ?」

「良かったらお願いします」

「う~ん、そうだなー」



ウィリーさんから聞いた冒険者の話はアリシアさんから聞いたのと大体同じだった。


そして、驚愕の事実。

これから行く村の側には何と・・・ダンジョンがあるらしい!


いつもお読み頂きありがとうございます。


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