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30話 野こえ山こえ

馬の世話はイーロさんに丸投げして、イリアさんとずっと喋っていた。

イーロさんは昨夜寝ずに火の番をしていたみたいだけど大丈夫なんだろうか?

もしかして、慣れたら御者台に座りながらでも寝れたりするとか?


と、思っていたら大あくびをしていた。やっぱ眠いのか。



その後、何度かの小休止を挟みながらも昼過ぎには次の村に到着した。


イリアさんに紹介された宿屋でチェックインを済ませベッドに横になる。


「あぁ・・・虫が居なくて揺れてもいないって最高・・・」


でも、ゆっくりしてる訳にはいかない。

宿屋のおばさんに井戸の場所を尋ね、洗濯をする。


濡れたまま背嚢に突っ込んでいたのも洗い直して部屋に干そうと思っていたら宿屋のおばさんが干してくれると言うので、お言葉に甘える事にした。


急いでやらないといけない事が山積みだと思っていたけど、冷静になって考えると洗濯して干すだけだった。

部屋干し予定だったから明日までに乾く様にって焦ってたけど、外で干せるなら直ぐ乾くんじゃないかな?たぶん。


荷台で揺られながら林檎を丸ごと1個食べたのでお腹は空いていない。

うん。する事が無くなった。


する事が無くなった時の恒例。

ステータスを眺めたりアイテムボックスの中を無駄に入れ替えたりしていた。


生活魔法のウォーターのレベルが1から2に上がっていたり、俺自身のレベルも上がっていたり。

それに伴ってHPやMPも微妙に増えている。


でも・・・ストーンバレットを覚える事は出来ていない。

やっぱり飲み込まないといけないのか・・・。


ストーンバレットとストーンランスはしばらく保留。



暇を持て余し、宿屋を出て村の中を見て回る事にしたが。この村も小さいので直ぐに回り切ってしまった。

そして、イリアさんとイーロさんの周りには人集りが出来ていて大盛況だ。


今晩は宿に泊まれるからそこまで急ぐ必要は無いけど。

明日はまた野宿らしいので虫除けを買いたい所なんだけど、何時になったら客足が落ち着くんだろうか。



う~ん。

やっぱりテントって買った方が良いんだろうか。

あった方が良いのは分かるけど、アイテムボックスには入らないし。背嚢がこれ以上重くなるのも物が増えるのも辛い。


アイテムボックスのレベルがサクサク上がって、容量が増えてくれれば買うんだけどなぁ・・・。



陽が傾き始めた頃ようやく人も疎らになり虫除けの香を売って貰った。

香って言うから、蚊取り線香的なのを想像してたけど、これも軟膏みたいな感じでマントに塗るように言われた。


試しに塗ってみると目がシパシパして喉もイガイガする。

虫○ナーズみたいな感じか。

匂いもちょっと薬品っぽい匂いがする。


「やっぱりテントの時もこれって使うんですか?」

「夏場は使いますが、この時期はまだ使ってないですね」

「え、そうなんですか?」

「はい。この時期は朝晩冷え込むので温かい場所に虫が寄って来るので」

「あー、はい」

「テントの下にすのこを敷けば、ほぼ寄って来ないですね」

「なるほど」


そうか。

マントに包まってるとはいえ、地面に直接寝たから。

熱源になって、それで虫が集まったのか・・・。


その他にも色々と野宿の際のアドバイスを貰う事が出来た。



その日の夕食はあまり美味しくなかった。

アリスさんやマグナスさんの料理が美味しかったから異世界の料理が全て美味しい物だと思い込んでいた。

俺の口に合わないだけだったり、この宿屋だけが不味いって可能性も捨てきれないけど。



翌朝、俺が起きた時には既にイリアさんとイーロさんは出発の準備を終え。出発のギリギリまで商売をしている所だった。


「やっとか。そろそろ出発すんぞ?」

「あ、はい。すいません」

「次の村は近いのでまだ大丈夫ですよ」

「そうなんですね」

「ですが」

「はい」

「売れ行きがそろそろ怪しくなってきたので、ちょっと早いですが出発しましょうか」

「はーい」

「イーロ」

「うん。そろそろ店仕舞です!ありがとうございましたっ!」


そこからは怒涛。

もの凄い勢いで商品が飛ぶ様に売れていた。



店仕舞して、出発となり。1度目の休憩の時に。


「終わりって言ってからの売れ方凄かったですね」

「どーせ買うんだからさっさと買えば良いのにな?」

「その分、雰囲気に流されて要らない物まで買ってくれるからあれで良いのよ」

「まーな」


なるほど。

そんな仕組みなのか。


「あれだけ売れてるのに全然荷台の荷物減らないですよね」

「その分、仕入れてますから」

「各村で仕入れてるんですか?」

「はい」

「仕入れた物を次の村で売って、また仕入れるって感じですか」

「流石に隣の村では売れませんが。村に依って需要と供給のバランスが少しずつ違うので、なるべく安い物を仕入れて、なるべく近くで高く売れる。というのが理想でしょうか」

「なるほど」

「それでは、そろそろ出発しましょうか」

「はい」

「今日は山越えなので道が悪くなります」

「は、はい」

「なので気を付けて下さい」

「え、はい・・・」


そんなハネるって事?

よし・・・今日はストーンバレットを口に入れるの止めとこう。

飲み込んだりしたら・・・暴食で覚えれるかもしれないけど、まだ踏ん切りは付いてない。



段差でハネたり、石に乗り上げたり。そんな感じでハネるのを想像していたが実際はハネると言うよりも落ちる。だった・・・。

道の所々に穴が空いていて、そこに車輪が落ちる。そして、勢いそのままに無理から通過する。

基本的に穴にハマらない様、避けながら馬車を操っているんだろうけど。それでも、たまに穴に落ちる。


それがまた・・・忘れた頃にやって来る。

構えて警戒していると来ない。

まぁ、それはそういうものかもしれない。


とりあえず俺は人生初の乗り物酔いに苦しんでいる・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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