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23話 完全回避ピーラーの軌跡(ごめんなさい

今日の朝食は目玉焼きにトーストだ。

異世界のはずなのに、全然異世界感が無いっ。

日本に居た頃のメニューと大差無い・・・。


「おにーちゃん、おにーちゃん」

「ん?あ、ニーナちゃんおはよう」

「あ、おはようございます。あのね・・・?」

「うん?」

「昨日の事はおかーさんには内緒にしてね?」

「あぁ、マッチの事?」

「こ、声が大きいっ」

「あ、ごめん」

「絶対だからねっ?」

「うん」

「んん?ずいぶんと仲良くなったみたいだね」

「う、うん」

「昨日はあんなに臭い臭い言ってたのにねぇ?」

()ってないっ、()ってないからっ」

「んん?言ってたじゃないかい」

「へぇ~、そんな事言ってたんだぁ~?」

「言ってないっ。言ったけど、言ってないからー」


と、走って逃げていった。


「何か迷惑掛けたみたいだねぇ」

「あぁ、そこまでじゃないんで大丈夫ですよ」

「目に余る様なら何時でも言っとくれ」

「はい」



そんな賑やかな朝食を終え、村の外に出て魔法。いや、スキルなのかな?の練習を開始した。


「ウィンドアロー」


ふむ。


「ウィンドカッター」


なるほど。


厨二病全開だな・・・。


手を翳してウィンドアローとかウィンドカッターとか唱えてるけど何も出ていない。

アローって言うぐらいだから矢だろうし、カッターだから刃?

木に向かって撃ってみたけど、何の反応も無い。


そうか。

まだLv.1だから弱いのか。


今度は葉っぱに向かって撃ってみる。


「ウィンドカッター」


ふわっ───。


「弱っ!!!」


団扇(うちわ)とか下敷きで扇いだ時の比じゃない。

手で扇いだ時くらいの風力しか無いっ。


これが刺さったり切り裂いたり出来る様になる未来が想像出来ない・・・。



それでも滅気ずに練習を再開したが、数発撃つとMPが枯れたのか発動しなくなった。


「よし。今日はこんな所かな」


MPを使い切った所為か身体が微妙に重い気がしないでもない。

気の所為かもしれなけど。



「おや?出てったと思ったらもう帰って来たのかい?」

「はい」

「昼はまだだよ?」

「え?」

「昼ご飯まではまだ時間があるよ?」

「あぁ、違いますよ。用事が済んだんで帰って来ただけです」

「そうかい?って事ぁ、今日はもう用事は無いのかい?」

「んー、まぁ、そうですね」

「暇なんだったら仕込み手伝っとくれ」

「はい。俺に出来る範囲でなら」

「よし。だったら着いて来とくれ」

「はーい」


カウンターの奥に入ると短い廊下があり、廊下を通り隣の建物に移動した。


「基本的に店の方に誰かは居る様にしてるけど、居ない時はこっちに言いに来とくれ」

「はい」

「こっちに住んでるからね」

「そうなんですね」

「それで、こっちに厨房もあるから。旦那は大抵ここに居るよ」


なるほど。

セリアさんが作ってるとばっかり思ってたけど、料理は旦那さんの担当だったのか。

ゴツくて、料理と言えば焼くかそのまま生で食べるかの2択みたいな見た目だけど・・・。


「ん?なんだ?あぁ、一昨日から泊まってる・・・」

「はい、ぎょ・・・ユウです」


テンプレとして名字というか家名持ちは貴族って扱いになったりするから、下の名前だけ名乗った方が良いはず。


「ギョ・ユウか。変わった名前だな。どこの出身だ?」

「あ、違います。ユウです」

「ふむ。マグナスだ。で、どうしたんだ?」

「いやね。やる事無いって言うもんだから、料理の手伝いでもして貰おうかと思ってね」

「それにしたって・・・客だろ?」

「立ってる者は客でも使えって言うじゃないかい」

「親だ、親。客は使うな」

「似たようなモンだろ?」

「違ぇよっ。まぁ、それは良いとして、料理出来んのか?」

「出来ないですね」

「何しに来たんだよっ」

「いや、俺も良く分からないまま連れて来られたんで・・・」

「あ、あぁ・・・そうか・・・」

「って事で、あとは任せたよ」

「おいっ」


旦那さんに丸投げして振り返りもせずに去っていった。

そして、丸投げされたのは俺だ・・・。


「まぁ、しゃーねぇか・・・。ジャガイモの皮むきぐらいは出来るか?」

「やった事無いです・・・」

「ふむ・・・。ちょっと待ってろ」

「はい」


いくつか棚をガサゴソと漁り、見つけた物をこちらに投げて寄越した。


「ほれ。これなら出来んだろ」

「これって・・・」

「ピーラーっつんだ。使い方は分かるか?」

「はい」

「剥いたヤツはここに。皮はここに頼む」

「はい」

「待て待て」

「え?」

「の前に、手ぇ洗って来い」

「あ、そうですね。どこで洗えば良いですか?」

「いや、俺が水出すからここで良い」

「え?」

「ふふん。俺ぁ王都で冒険者やってたからな」

「お?おぉ・・・」

「ほれ、そこに手ぇ出せ」

「は、はい」


「ウォーター」


チョロチョロチョロ───。


ちょっと水量が少ない・・・。


「ふぅ・・・皮むき頼んだぞ」

「はい」


ピーラーと言っても、見慣れたプラスチック製の物ではなく。

木製の枠に刃が付いている。でも、形は全く一緒だ。


「あ、これだと芽が取れないんですけど」

「お?料理出来ないのにそんな事は知ってんのか?」

「毒ありますよね」

「おう。大した毒じゃねぇが、食わないに越した事ぁ無ぇな」

「はい」

「芽は後で俺が取るから、お前は皮だけ剥いてくれりゃあ良い」

「はい」


そこからは一心不乱に皮を剥いていく。

単純作業が結構好きで、こういう作業は熱中してしまう。



「うおっ。もうそんな剥いたのかよ」

「え、あ、はい」

「ホントは料理すんじゃねぇのか?」

「しないですね」

「やらねぇだけで、向いてんのかもな」

「いやぁ・・・どうでしょう・・・」

「っつー事で、暇だったらこれからも手伝いに来るか?」

「そ、そうですね・・・」



宿屋の旦那さん。マグナスさんって言ったかな。

元冒険者らしいから、色々と有益な情報も得られそうだし。

暇な時は手伝いに来ても良いかもしれない。


暇な時は・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


そろそろ主人公のステータスを載せようかと思っています。

本文ではなくあとがきにでも( ˙꒳˙ )

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