表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/182

21話 壁に耳あり

(おもむき)のあ・・・いや、ボロくて業突くババアの居る雑貨屋を後にし、宿屋に戻って来た。


「あんたにゃ悪い事しちまったね」

「え?」

「銀貨8枚ぐらいなんだろ?」

「あぁ、それぐらいって言ってましたね」

「それで払ったのが普通の金貨の10倍の価値のある金貨だろ?」

「あー・・・そうですね」

「あの婆さんも金貨9枚以上儲けた事になるんだから。文句は無いだろ」

「ま、まぁ、そうでしょうね」

「それに、ウチで払ったあの古い銀貨も10倍の価値があるんならしばらくは無料(タダ)で泊まって貰うかね」

「え、良いんですか?」

「貰った(もん)を返すのはシャクだからね。一月(ひとつき)の間1日2食付きでどうだい?」

「それはありがたいです」

「あぁ、でも、急いでるんじゃなかったかい?」

「いや・・・用事は済んだんで、急いでは無いですね」

「そうかい?だったら、何も無い村だけど、ゆっくりしてくと良いよ」

「はい」


エルフの村で得た情報は意外と使えないのかもしれない。

果てしなく永い間、人間との関係を絶った結果、人間から忘れられ。

情報も戦後で止まっているのだろう。


なので、エルフの村で得た知識や情報が全て有用では無い訳では無いが、1から情報収集をしないといけない。

1ヶ月はその為の期間として存分に活用させて貰おう。


「どうする?ウチで昼ご飯食べてくかい?」

「それじゃあ・・・って、今朝貰ったのがあるので。お昼はそれで済ませます」

「まだ食べてなかったのかい?」

「はい・・・ちょっと急いでたんで」

「私は店に戻るから。何かあったら何時でも声掛けとくれ」

「はい。ありがとうございます」

「それじゃあね」


本当は一緒に宿に戻って部屋でゆっくりしたかった。

昨日の疲れと痛みが抜け切らないまま、朝から歩きっぱなしだったし・・・。


筋肉痛は無いけど、靴ずれとか足の裏が痛い。


宿屋のおばさん・・・セリアさんだったかな?に、置いて行かれたので仕方なく村の中を散策する事にした。



異世界=中世ヨーロッパなイメージで、石造りの街並みを想像していたが。この村は基本的に木造建築で土壁の家もあったりする。

まぁ、街じゃなく村だからかもしれないけど。


ぐるっと村を1周回ってみたが、小さな村で30分も掛からずに全体を見て回る事が出来た。


そして、村人達から奇異な目で見られた。

遠巻きから見るだけで、近寄っては来ず。

ヒソヒソと陰口を言われている気がして居心地が悪かったので早々に宿屋に逃げ込んだ。



「そりゃあ仕方無いよ。こんな村じゃ余所者なんて珍しいからね」

「まぁ、はい・・・」

「そんなどデカい荷物背負ったまま歩き回ってりゃ気になるってモンさ」

「あー・・・荷物だけでも置いてから見て回れば良かったですね・・・」

「しばらくはあの部屋自由に使って良いからね」

「はい。ありがとうございます」



部屋に戻ってまず試したのは。

背嚢ごとアイテムボックスに収納出来ないかどうか。


結果から言うと無理だった。

でも、色々入れ替えて試した結果、アイテムボックスの仕組みが少しずつ分かってきた。


アイテムボックス自体の容量は凄く小さい。

でも、中にマジックバッグが入っていて直接マジックバッグの中に物を入れられるから、ある意味アイテムボックスが拡張されている状態になっている。


重さは関係無いみたいなので、重い物をアイテムボックスに軽い物を背嚢に入れる事にした。


「うん。これで、背負っても苦じゃないくらいには軽くなったかな」


マジックバッグを大量にアイテムボックスに入れればアイテムボックスのスキルレベルが上がらなくても入れたい放題になる。

と、思ったけど、マジックバッグって高いみたいだから流石に当分は無理かな。


いや、将来的に大金を手にする予定なんて全く無いから当分もクソも無いんだけど・・・。



背嚢やらアイテムボックスの問題も落ち着いたので、先程買った新しい服に着替えてベッドの上で胡座(あぐら)をかく。もちろん靴も靴下も脱いで。


サンドイッチを頬張りながら足の裏を覗き込むと、赤くなっていて少し腫れている気がする。

そして、踵と言うかアキレス腱辺りは靴ずれで盛大に皮がめくれていた。


「あー、やっぱりなぁ・・・」


どうせなら異世界の定番。ヒールとか回復スキルも欲しかったなぁ。

いや、どうせならド派手な攻撃魔法とか格好良い剣術スキルとかうどん打ちスキルとか欲しかった・・・。


どうも俺にはうどんを打つ才能が無いみたいで、冷凍うどんどころかカップうどんの足元にも及ばない・・・。

カップうどんも美味しい。美味しいけど・・・カップうどんの足元にも及ばない手打ちうどんなんてうどんじゃないっ。


「って・・・意外とこのサンドイッチ美味しいな」

「意外とは無いだろ?意外とは。まぁ、褒め言葉と受け取っとくけどね」

「あ、いや、そういう意味じゃ・・・」


と、タイミング良く部屋の外を通りかかったセリアさんが窓から顔を覗かせた。


「食べ盛りなのに、そんなんで足りるのかい?」

「はい」

「羨ましい限りだね・・・まぁ、アレだよ。陽が沈む頃には夕飯も出来てるから、暗くなったら食べに来な」

「はーい」


セリアさんはキャラ的には恰幅の良いおばちゃんって感じだけど、実際は健康的な範囲での細身。

旦那さんはゴツかった。


昨夜も接客してくれた、この宿屋の子供は・・・あ、ニーナって言ったかな。

ニーナちゃんは見たまんま子供って感じだった。



全員、外人さんって感じだ。

まぁ、外人って言うか異世界人なんだけど。


いつもお読み頂きありがとうございます。


障子にメア・・・セリア٩(๑´3`๑)۶

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ