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20話 めひび乗せる派ですか?乗せない派ですか?

「さては・・・」

「!?」

「金持っとらんのじゃなっ!」

「いやいやいや、ありますよあります」

「ふむ・・・まぁ、(じき)に分かる事じゃな」

「えっと、それでオススメは・・・?」

「まずはマントじゃな」

「はい」

「これは、それなりに良い物を使わんと意味が無い」

「はい」

「それから靴じゃな」

「え?靴ですか?」

「その靴で旅をする気か?」

「え?ダメですか?」

「お主が良いのなら構わんが。その靴じゃと痛くないのか?」

「あー、そうですね・・・」

「もうちっとしっかりしたのが良い。それで、これじゃ」

「はい」



マント、靴から始まり。

その後も、続々と旅の必需品が続いていき。俺は「はい」と「なるほど」しか返す事が出来なかった。


「そんで、これが全部入る背嚢(はいのう)がこれじゃな」

「はい」

「これがまた逸品での。見た目よりも遥かに多く入るんじゃ」

「おぉ・・・もしかしてマジックバッグですか?」

「そんな訳無かろう」

「あら・・・」

「もしや、マジックバッグでも買えるぐらいに持っとるのか?」

「い、いや・・・遥かに多く入るって言ったんで・・・」

「まぁ、これは、見た目より入る普通の背嚢じゃ」

「なるほど」

「というか、お主」

「はい?」

「本当は買う気なぞ無いんじゃろ」

「え?買う気満々ですよ?」

「元の荷物はどうするんじゃ?」

「あ・・・」


どうしよう。

まさか手ぶらで来ました。とは言えないし・・・。


「えっと・・・予備に回したり・・・もうダメなヤツは捨てたり・・・」

「ふむ」


何とか誤魔化せ・・・。


「捨てるぐらいなら買い取ると言うたらどうするんじゃ?」


てなかった!全然っ。


「まぁ、()い。お主に深く関わると面倒臭そうな気配がプンプンしとる」

「はい・・・流して貰える方がありがたいです・・・」

「占めて・・・そうじゃの、端数繰り上げで金貨1枚にしといてやろう」

「結構しますねぇ・・・じゃなくてっ!」

「ん?」

「繰り上げって何ですか。繰り上げって!」

「手間賃じゃ。手間賃」

「いや、そう言われると仕方無い気もしますけど・・・」

「じゃろ?」

「参考までに・・・繰り上げなかったらいくらなんですか?」

「銀貨7枚ちょいぐらいじゃな」

「繰り上げ過ぎでしょ!1.5倍近いじゃないですかっ」

「四捨五入じゃ」

「それだと最大で銀貨5枚ちょいが金貨1枚になるじゃないですかっ。銀貨7枚ってのも怪しくなってきたな・・・」

「銀貨7枚はホントじゃ」

「えぇ~」

「セリアの紹介じゃからな。金貨1枚と言いたい所じゃが、銀貨8枚で良い」

「まぁ、それぐらいなら・・・」

「というか、本当に払えるのか?」

「払えますよ」


さっき、この油断も隙もあったもんじゃない婆さんが店の奥に引っ込んだ隙にアイテムボックスから取り出しておいた金貨を1枚ポケットから取り出す。


「これでお願いします」

「うむ・・・!?・・・ほれ、銀貨2枚のお返しじゃ」

「はい」

「ほ、他に要る物は無いのかえ?」

「今の所浮かばないですね。あんまり多くても旅の邪魔になりますし」

「ふむ・・・」

「他に、これは絶対要るって物あります?」

「そ、そうじゃな。ちと待っとれ」


ただ待っているのも難なので、試しに今買ったばかりの背嚢を背負ってみる。


「よっ・・・ぐっ・・・」


結構、重いな・・・。

これを背負ってひたすら歩くとか考えただけでゲンナリするなぁ・・・。


「これとかどうじゃ?」

「何ですか?それ」

「簡易のテントじゃな」

「おぉ」

「慣れれば2-3分で組み上がる優れ物じゃ」

「あー、でも・・・これ以上増やしたくないんですよね」

「ふむ・・・」

「背負ってみたら意外と重たかったんで」

「よし。ならば軽い物じゃな。もうちぃとばかし待っとれ」

「は、はい・・・」


いや・・・もう要らないんだけど・・・金持ってるって思われたのか、いきなりやる気出してきたよな・・・。



「これはどうじゃ」

「いや、あんまり・・・」



「これはどうじゃ」

「いやぁ・・・」



「これならばどうじゃ」

「いや・・・」



「これでどうじゃ!」

「いや、もう良いです」



「これはどうじゃ」

「いや、もう良いですって」

「なんの!まだまだこれからっ」



「ふふん。これならば買うじゃろう」

「いや、ホントにもう良いんで。帰りますね」

「待てっ。帰るならば金を置いていけっ!」

「ええっ」

「有り金全部置いてくんじゃっ」

「言い争いが聞こえるから気になって来てみりゃ。メディンさんアンタいつから盗賊になったんだい?」

「セリア、知ってたね?」

「何をだい?」

「この小僧っこの金じゃよ」

「ん?何の事だい?」

「戦前の金貨だよっ」

「あぁ、そういやウチで支払った銀貨も古かったけど、あれがそうなのかい?」

「やっぱり、まだ持っておったな。良いから出すんじゃっ」

「そんな価値あるのかい?」

「10倍はあるよっ」


マジかっ。


「らしいよ?」

「セリアっ!」

「メディンさんアンタねぇ。商売だからある程度は仕方無いけど。子供相手にそれは無いんじゃないかい?」

「価値の分からないのが持ってた所で宝の持ち腐れなんじゃから。儂が有効活用してやろうってだけじゃよ」

「あたしゃ、そういうせせこましいのは嫌いだよっ」

(うるさ)いのぉ。これも商売じゃ」


2人の言い争いがヒートアップしていき、俺としては非常に居た堪れない気持ちでいっぱいだ・・・。

こういう時の対処法は・・・外の音をシャットアウト!


意識を別の所に持っていきノイキャンすれば良い。


「行くよっ!」

「えっ、あ、はいっ」


水沢うどん、ひもかわうどん、館林うどん、桐生うどん、グンマー帝国のうどんに思いを馳せていたら急に腕を掴まれ店の外に引っ張り出された。


「あ、あの、大丈夫なんですか?」

「何がだい?」

「いや、俺の所為で喧嘩になっちゃって・・・」

「はっはっはっはっは。あんなもん喧嘩のウチにゃ入らないよ」



伊勢うどんよりは遥かにコシのある喧嘩だった気はするけど・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


週2-3回更新だと自分でペースが把握しにくいので、2日に1回の更新を目安にやっていこうかと思います。

前作と比べると更新頻度は半分以下になりますが、1話当たりの文字数は気持ち増えております。

1.25倍ぐらいになってます(`・ω・´)


誤差の範囲∠( ゜д゜)/

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