131話 七三
釜玉とろろうどん。
想像以上に美味しくて、うどんの無限の可能性を感じずにはいられなかった。
「皆さんの評判も良かったですし。後は、ダンジョン次第ですねっ」
「あ、もしかして、うどんの布教してたの?」
「はいっ」
「いやぁ、でも、今回の釜玉とろろも美味しかった」
「本当ですかっ?えへへっ」
「良く思い付いたよね」
「はいっ。釜玉って卵かけご飯みたいじゃないですかっ」
「え、うん・・・」
何ていうか・・・元も子もないような事を・・・。
「だから、とろろご飯みたいにしても美味しいかな?って」
「うん、美味しかった」
「えへへ」
「それだったら、ワサビとか添えても良いかもね」
「ワサビですか・・・?」
「ワサビか。サッパリして良さそうだな」
と、厳ついおっさんが入って来た。
「あ、大将さん」
「んで、これはウチで出して良いんだな?」
「はいっ。商業ギルドで契約はして貰いますけどっ」
「ちゃっかりしてんな。まぁ、俺はそういうのに疎くてな。カミさんに丸投げするわ」
それから、エイミーと女将さんが商業ギルドに契約に向かった。
「あれはお前のアイディアなのか?」
「いやいや、エイミーですよ」
「ふむ。冒険者にしとくにゃ惜しいな」
「いや・・・ああ見えてエイミーってめちゃくちゃ強いですからね?」
「あんな小っこいナリでか?」
「はい」
「ふむ。人は見かけに依らんもんだな」
「意外ですよね」
「で、お前はどうなんだ?」
「え?俺ですか?」
「お前もちゃんと強いのか?」
「んー、まぁ、そこそこは強いんじゃないかと思います」
「そこそこかよっ」
「もし、俺とエイミーで戦ったら。7:3でエイミーじゃないかな」
「おいおい、だらしねぇな。男がそんなんで良いのか?」
「タイプが違うんですよ。エイミーは接近戦、俺は遠距離が得意なんで」
「ふむ」
「噛み合わないっていうか。得意な条件でやった方が勝つって感じかもですね」
「なるほどなぁ」
俺の得意な条件。
狭いけど距離がある場所でやればそこそこの確率で勝てると思う。
いや、でも、エイミーなら余裕で避けて一瞬で接近されそうな気もする。
恐ろしい・・・。
「良いコンビっぽいな」
「え、そうですか?」
「違うのか?」
「あー、どうだろ。エイミーに頼りっきりな気がしてるんで・・・」
「はっはっは。似たもの同士って事か」
「え?」
「あの嬢ちゃんもお前の足を引っ張らない様に必死だっつってたからな」
「そうなんですか?」
「お互い認め合ってるってこったな。良い関係じゃねぇか」
「そ、そうですかね」
「まぁ、あんな小っこい女の子を頼ってる男ってのはどうなんだ?って話だがな」
「本当にそう思います・・・。っても、エイミーが有能過ぎて・・・」
「そんなにか?」
「はい。そんなにです」
「そんな有能なのに、お前を相方に選んでるって事はだ」
「はい・・・」
「お前もよっぽどって事だろうな」
「い、いやぁ・・・それほどでも無いですよ?俺は」
「まぁ、どっちかは分からんけどな」
「どっち?」
「女ってのはな?生まれた時から女なんだよ」
「は、はい・・・」
「女の子なんて生き物はこの世に存在しねぇ」
「はい・・・」
「女ってのは、計算高く恐ろしい生き物だ。しかも、有能なんだろ?」
「はい」
「そんなやつがお前を選んでんだぞ?」
「はい」
「それに見合う。もしくは、それを上回るモンがお前にあるって事だ」
「いやぁ・・・」
「冒険者としての能力的なのか、ヒモとしての能力なのかは分からんけどな」
「どっちって、そこっ!?」
「はっはっはっはっは。7:3でヒモだと予想してるけどな」
「結構キツい2択で。しかも、分が悪かったっ!」
「強そうには見えねぇからなぁ」
「そこは否定出来無いっ・・・」
「男なら頼られる様な男になれ」
「はい、分かりました」
「ホントに分かってんのか?」
「分かってますよ。大将からこんな話をされた~って女将さんに言えば良いんですよね」
「おい」
「え」
「それだけは勘弁して下さい」
「弱っ」
「当たり前だろっ。カミさんに頭が上がる男なんて居ねぇよ」
「だから上さんって言うんですかね・・・」
「かもしれんなぁ・・・」
大将はそう呟き、遠くを見つめた後で目を閉じた。
そんな世知辛い世界で僕たち男の子は今日も頑張って生きています。
いつもお読み頂きありがとうございます。
自分の中で11月いっぱいまでは毎日更新をしよう。そして、12月からは奇数日更新に戻そう。と、思っていたんですが、、、微妙にストックがあるので、しばらくは毎日更新を継続します( ˙꒳˙ )




