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130話 やまかけ

フルオーダーメイドで防具の発注なんてしたら、いくら掛かるのか戦々恐々としていたが。

店舗スペースの棚に並んでいる既製品を手直しすれば良いとの事で胸を撫で下ろした。


「ここって革防具の工房では無いんですね」

「革製品全般だな」

「革ジャンとか鞄とかもありますもんね」

「注文さえありゃ何でも作るぞ?」

「へぇ~」

「何か気になるのあったか?」

「この革ジャンとか良いですよね」

「ん?だったら、それで良いじゃねぇか」

「何がですか?」

「防具だよ」

「え?」

「ん?」

「防具?革ジャンですよ?これ」

「おう。胸当てやら肩当てやらも革だぞ?」

「ん?あれ?そうか・・・でも、防具ではないですよね?」

「まぁ、上着だからな。だが、防御力に大差は無いな」

「え?」

「むしろ、上半身覆える分。レザージャケットの方が良いんじゃねぇか?」

「え?そうなんですかっ?」

「おう」

「だったら何で革の防具ってあるんですか・・・?」

「んー、様式美ってヤツじゃねぇか?」

「え?」

「防具らしい見た目してる方が冒険者っぽいだろ?」

「確かに・・・でも、そんな事で良いんですか・・・?」

「俺は職人だからな。機能美ってのを追求したいが、需要が無けりゃ商売にならんからなぁ」

「冒険者っぽいやつの方が需要あるって事ですか」

「だな」

「性能としてはレザージャケットの方が良いんですか?」

「そりゃ良いだろ。着るだけで良いんだぞ?」

「あ、なるほど・・・」


それはもう圧倒的にジャケットの方が良い。

慣れてきたとはいえ、装備するのに時間は掛かるし。

ある程度時間が経てばズレてもくる。

それが袖を通すだけで良いってのはかなり魅力的だ。


「どうする?」

「レザージャケットかぁ・・・エイミーはどう思う?」

「私は今まで通り防具を使います」

「そうなんだ?」

「でも、ユウさんはレザージャケットの方が良いかもしれないですね」

「え?そうなの?」

「これって、補強も出来ますよね?」

「おう」

「だったら・・・あっ、デザインはこれで良いんですか?」

「え、うん。この見た目で」

「はいっ」


そこからエイミーと職人のおっさんが話し合いを始めてしまい。

何故か俺は蚊帳の外に・・・。



「それじゃあ、そんな感じでお願いしますっ」

「おう、任せとけっ」


俺の預かり知らない所で俺の防具の仕様が決まった様だ。


「どのくらい掛かりそうですか?」

「んー、まぁ、1週間くらいは欲しいな」

「そんな掛かるんですね」

「あのなぁ。俺はお前の専属じゃねぇからな?他にも仕事があんだよ」

「あ、それもそうですね。すいません」

「それじゃあ、ユウさん行きましょうか」

「うん」

「おい」

「はい?」

「前の防具忘れてんぞ」

「あ、すいません。それ処分しといて貰えますか?」

「ちゃんと自分でダンジョンに還して来い」

「え?」

「ダンジョンで生計立ててんだったら、ちゃんとダンジョンに還して来い」

「あ、はい」


そんな風習があるのか・・・。

防具を受け取り、宿に戻った。


「これからどうしよっか?」

「1週間はダンジョン行けないですしね・・・」

「とりあえず、うどんに必要な物が揃ってるか街を散策してみようかな」

「わ、私も頑張りますねっ」

「??うん」


何を頑張るのかは知らないけど。

エイミーは常に頑張ってると思うから・・・もうちょっとのんびりしても良いとは思う。


光速の赤ずきんとしてはじっとしてられないのかもしれないけど。



それから、宿で昼食を取った後は別行動となった。



「あ、おかえりなさいっ」

「ただいまー」

「何か良いのありました?」

「う~ん。ぼちぼち・・・?」


正直、これといった収穫は無かった。

看板が出ている店もあるが。出てない店の方が圧倒的に多い。

住み慣れればどこが何の店か分かって来るんだろうけど、初見では中々に厳しい仕様だ。


なので、入りやすい店や看板が出ている店。それから露店などは見て回ったが目ぼしい物は見つけられなかった。


「エイミーは?」

「晩ご飯を期待してて下さいっ」

「何か作ったの?」

「はいっ」

「何作ったの?」

「ナイショですっ。えへへっ」


エイミーはまだ厨房でやる事があるとかで俺は部屋に追いやられてしまった。

やる事も無く、ベッドに横になりうつらうつらし始めた頃。


「ユウさん。ご飯の準備出来ましたよっ」

「え、あ、うん・・・後5分・・・」

「ユウさんっ!」

「はいっ・・・あ、エイミー・・・どうしたの?」

「ご飯ですっ」


エイミーに叩き起こされ。

1階の食事スペースで席に着いた。


「お待たせしましたっ」

「うん。ありが・・・ん・・・?釜玉うどんの目玉焼きバージョン?」


いや、卵に火が通ってたら麺と絡まないじゃん・・・。


「良く見て下さいっ。えへへ」

「ん?この白いの白身じゃない?」

「はいっ」

「え、何これ?」

「とろろですっ」

「へぇ~」



エイミーの新作は。

目玉焼きの白身に見立てたとろろの上に黄身を乗せた釜玉とろろうどん。

やまかけ月見うどんって言った方が良いのかな?いや、でも、それだと汁ありっぽいしなぁ・・・。


「食べないんですか?」

「あ、いただきますっ」


名前なんてどうでも良いか。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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