128話 イリコダ
翌朝、宿で朝食を済ませてからイリコダへ出発となった。
「思ってたより全然近かったね」
「サヌキからクンビラよりも近かったですねっ」
時間にして2時間半くらい。
途中1回休憩を挟んだにも関わらずこれだからかなり近く感じる。
通勤、片道2時間半。
大阪-東京間くらい?
近いとは言っても、流石に通いってのは現実的じゃないかな。
「やっぱり、こんな近い距離でダンジョンがあるのって珍しかったりする?」
「ん~、ある所には結構密集してたりもするみたいなんで。そこまでじゃないと思います」
「そうなんだ」
朝、ゆっくり出発したのにお昼までまだ時間がある。
なので、まず宿を取り。冒険者ギルドで馬を預け早い目の昼食を取ってからダンジョンへと向かった。
「あんまり強くないんだよね?確か」
「普通のダンジョンって聞いてます」
普通ってのがどんな感じなのか分からないけども・・・。
「エイミー的にはどこのダンジョンが良かった?」
「ん~、ミコモカルが楽しかったですっ」
「ミコモ・・・?どこ??」
「えっと、虫のダンジョンですっ」
「あ、うん・・・そっか・・・」
ミコ・・・そんな名前のダンジョンだったのか・・・いや、そういえば・・・あの街の名前も知らないな・・・。
まぁ、忘れたい過去だから今更知りたくなかったというか・・・。
「でも、クルムスさんに制限掛けられてたのはちょっと不満ですけどねっ」
「俺ら以外からも仕事はある訳だから仕方無い事だけどね」
「それはそうなんですけど・・・」
「でもさ?拠点構えてそこでずっと狩るってなったら。冒険者ギルドの職員さんだったり解体係の人も増えるかもだし」
「はい」
「そうなったら好きなだけ持ち込める様になりそうじゃない?」
「はいっ!」
「とりあえずは、ここのダンジョンが良い感じなのを期待して頑張ろう」
「はいっ!!」
ダンジョン入り口で受付を済ませ。探索を開始した。
「え?あれ?」
「どうしました?」
「モンスター居るね」
「え?」
まだ1階だからと気を抜いていた。
基本的に1階層にはモンスターは居なくて。2階層からなイメージ。
でも、エーリューズのダンジョンも1階層からモンスターが居たから場所に依るっぽい。
そして・・・俺の気配察知スキルがエイミーに初勝利した瞬間だった。
アイテムボックスから大盾を取り出しエイミーに手渡す。
「とりあえずエイミーはタンクで。俺が後衛アタッカーね」
「は、はいっ」
1階層で現れたモンスターはずんぐりむっくりな蝙蝠。
見た目通り、鈍重な動きなのでウィンドアローで簡単に撃ち落としていく。
むしろ、その体型で良く飛べるな。と思う。
「あ、買取素材、回収するの忘れてた」
「アイバットは無視して良いみたいですっ」
アイ・・・あぁ、このコウモリか。
良く見たらコイツ。目が1個しかない。
それで、アイバットか。
難無く1階層を抜け安全地帯に辿り着き。そこで装備を整える。
「次は?」
「ボアファングですっ」
「蛇?」
「猪ですね」
「戦型は?」
「このままで行きましょうっ」
「アイアイサー」
「??なんですか?それ」
「ぐっ・・・気にしないで・・・。オッケーって事・・・」
「はいっ」
街道などで遭遇する野生動物の猪との違いは。
まず、サイズが大きい。そして、名前にファングが付くだけあって牙も大きい。
あれが刺さったら即死・・・は、しないまでもかなりの重症を負うだろう。
「ウィンドアロー」
近付かれる前に倒してしまえば突進力があろうが牙が大きかろうが関係無い。
「あの・・・」
「ん?あ、エイミーが受け止めてからの方が良かった?」
「そうじゃなくて・・・」
「うん」
「1回宿に戻りませんか・・・?」
「え、どうしたの?」
「た、盾が・・・」
「うん」
「臭くて・・・」
そうか・・・。
昨日、ダンジョンから逃げ帰った後。身体は念入りに洗ったし、服も防具も洗って手入れしたけど。武器と盾は手入れしてなかったかもしれない。
「って、なると・・・槍とかもヤバいか」
「忘れてました・・・・」
「とりあえずアイテムボックスに仕舞っちゃおう」
「すいません・・・」
宿に戻り。それはもう念入りに洗った。
「ど、どうですか・・・?」
スンスンスン───。
「たぶん、大丈夫だと思う」
「もう何か自分じゃ分からなくて・・・」
「あー、でも、1回整備に出さない?」
「まだ大丈夫だと思いますよ?」
「いや・・・隙間とかに入ってたりしたら・・・」
「あっ・・・」
「最悪、1回バラして貰って。全部、綺麗にして貰った方が良くないかな?」
「そうですね・・・」
ゾンビの所為でイリコダダンジョンも中途半端に引き返すハメになってしまった。
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