表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/182

127話 スンスン

ゾンビを倒しては安全地帯に逃げ込み呼吸を整える。

が、しかし・・・何時からか安全地帯に入ってもゾンビの臭いが安全地帯に充満していて鼻で呼吸する事が出来ない。


「臭いを運んじゃったかな?」

「というか・・・たぶん・・・私達が臭いです・・・」

「え、あ、そうか・・・」


ゾンビもスケルトンと同様に魔石が取れるらしいが腐って爛れた肉の中に手を突っ込む勇気は流石に無い。

ならば、何故俺達が臭いかというと・・・。


エイミーが大盾で突進したり、短槍で突き刺したりすると簡単に腐った血肉が飛び散る。


俺の場合は特に悲惨で。

ウィンドアローで頭や腹に大穴を空けた時も飛び散るし。

ファイヤーボールに至っては爆散するから辺り一帯に腐った血肉が飛び散った・・・。


俺もエイミーもそれを何度も浴びてるので当然の結果とは言える。


「今日はこのくらいにして帰りましょうか・・・」

「うん・・・」


腐臭を纏ったまま宿に帰ったので入った瞬間につまみ出され。服をしっかり洗濯して身体も3回洗うまで入って来るなと言われてしまった。

なので宿の裏手に回り。庭にある井戸で水を汲み上げて身体を洗う。


「ユウさんのも一緒に洗っちゃうんでこっちに下さいっ」

「じゃあ、お願い」


と、衝立(ついたて)越しに腐臭まみれの服を手渡す。


因みに、普段からエイミーが洗濯をしてくれている。

下着だけは自分で洗ってるけど。それでもエイミーには世話になりっぱなしだと思う。


「お湯持って来たよ」

「あ、ありがとうございますっ」

「水じゃ臭いが取れないからね」

「そ、そんなに臭いですか・・・?」

「臭いね。まぁ、他所から来た冒険者は皆やるんだよ」

「そうなんですね・・・」

「ここのダンジョンはスケルトンだけ。そう思っといた方が良いね」

「はい・・・」


6階・7階のスケルトンは混んでるから除外するとして、2-5階までのスケルトンの魔石の買取価格次第だけど。ここを拠点にする可能性はかなり低くなった。


3回身体を入念に洗い。もう臭いは取れたはずだ。


「ちゃんと洗ったかい?」

「はい」


スンスン───。


「う~ん。まだ頭はちょっと臭うね」

「え?マジっすか。自分では分からないですね・・・」

「まぁ、そんぐらいなら良いよ」

「はい・・・」

「お昼は?済ませたのかい?」

「まだですね」

「残り(もん)で良けりゃ作ったげるから。着替えて部屋に荷物置いたら下りて来な」

「「はいっ」」


春とはいえ、まだまだ肌寒い。いや、めちゃくちゃ寒い。

2人で部屋に駆け込み。もう1度髪や身体を拭く。


「風が無いだけでだいぶマシだね」

「ですねっ」

「まだ髪が臭いって言われたけど。臭い?」


スンスンスンスン───。


「う~ん・・・分からないです・・・」

「エイミーは?」


スンスン───。


「やだっ!」


バチーン───。


「ご、ごめんなさい・・・」

「あ、いや、こっちこそごめん・・・」


何の気無しにエイミーの頭のニオイを嗅いだら思いっ切りビンタされた・・・。

いや・・・うん・・・年頃の女の子に対してやって良い事じゃなかった。

事案って言うか、普通に痴漢行為だ。


「だ、大丈夫ですか・・・?」

「うん、全然大丈夫」


髪の毛も乾かし終えたが、どうにも気不味い。


「お昼ご飯食べに行こっか」

「はい・・・」


階段を下り、食事スペースへと向かう。

お昼も過ぎてるので他にお客さんは居ない。


「やっと下りて来たね・・・って、なんだい?その顔は」

「え?いや・・・ちょっと・・・」

「何やらかしたんだい?」

「それはもう・・・話せば長くなりようもない簡単な話なんですが・・・」

「だったら、さっさと話なっ」

「ぐっ・・・はい・・・頭のニオイ嗅いだら叩かれました・・・」

「ご、ごめんなさいっ」

「はっはっは。そりゃにーちゃんが悪い」

「そうなんです。エイミーごめんね」

「えっ、私の方こそっ」

「ま、とりあえずご飯食べな。寒かっただろ?」

「は、はい。いただきます」


温かいスープが染みた。

自分で思ってた以上に身体が冷えていたみたいで。末端に温かい血液が流れていくのが実感出来た。


それと共にビンタを喰らった左頬もジンジンと痛みだして来たけど・・・。


その後、部屋に戻って作戦会議を開いた。


「スケルトンの魔石ってあんまり高くないんだよね?」

「はい」

「ってなると、ここを拠点にするのはあんまり向いてないっぽいよね」

「はい」

「次の街って名前何だっけ?」

「イリコダです」

「イリコダか。イリコダのダンジョンが良い感じなのを祈るしか無いね」

「そうですね・・・」

「何時、イリコダに向かう?」

「明日でっ!」

「う、うん。早いね」

「今から出発すれば夜中までには着くと思うんですけどね」

「うん。明日でっ」

「はいっ」



女将さんの話では8階を必死の思いで乗り越えて9階に辿り着いた冒険者が昔居たそうだ。

9階に出て来るモンスターは8階と同じくゾンビ。

但し、1区画につき2-3匹出るそうだ。


3匹になったからって臭いが3倍になる訳ではない。ではないが・・・やっぱり臭いは強くなるそうで、そこで心が折れたらしい。


深く潜れば潜る程、ゾンビの数が増えて臭いが強くなると想像しただけでゲンナリする・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ