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123話 カタクチ

元祖を名乗って良いと許可を出したお礼に宿泊費用は無料(タダ)にしてくれるとの事だ。

ただ・・・商業ギルドを通して正式にやるらしく、女将さんにエイミーが引っ張られていった。


折角、サヌキに帰って来たので。駆け付け3杯くらいうどんを食べようと思っていたが。

女将さんが居ないのでは食べられない・・・。


「うどんが食いたいのか?」

「はい・・・」

「だったら、商業ギルド前の宿のうどんが美味いぞ」

「いや、あそこより東門のトコの雑貨屋のばーさんのうどんが美味い」

「はっ。お前らまだまだだな」

「「なんだとっ?」」

「ウチの嫁さんのうどんに勝るもんは無ぇよ」

「お前のトコのぶっさいくな嫁さんがか?」

「あぁ?てめぇぶっ殺すぞっ」


と、乱闘が始まってしまったので。避難を兼ねて商業ギルド前の宿のうどんを食べに行く事にした。


「ユウさんどうしたんですか?」

「あ、エイミー」


宿に入る直前に商業ギルドから出て来たエイミーとバッタリ会った。


「いや、ここのうどんが美味しいらしくて」

「ん?アタシに喧嘩売ってんのかい?」

「な、なんでですかっ」

「帰って来たらまずはウチのうどん食べるのが礼儀じゃなかい?」

「いや、そう思ってたんですけど。飛び出してったじゃないですか・・・」

「直ぐ戻るのにそれも待てないってのかい?」

「何時、戻るかも分からないし・・・」

「言ってなかったかい?」

「はい」

「そりゃ、すまなかったね。戻ったら急ぎで作るから。それなら待てるね?」

「はい」


再び宿に戻ると。


「何やってんだいっ!」


まだ乱闘は継続中だった。

しかも、規模が拡大してる気がする。


ただ、それも女将さんの一声で収束した。


「それで、何が原因なんだい?」


全員の視線が俺に集まる。


「え?」

「やっぱりアンタの所為かい」

「いやいやいや、違いますよっ」

「だったら何なんだい?」

「俺は女将さんのうどんが食べたかったって言っただけですよ」

「ほぅ。だったら何でこんな騒ぎになってんだい?」

「そしたら、どこのうどんが美味しいとか、あっちのうどんが美味しいって言い出して」

「ほぅ・・・」

「あ、あの人ですっ。あの人が商業ギルド前に美味しいうどんがあるって」

「て、てめぇっ!」

「ほぅ・・・アタシのうどんより美味しいってのかい?」

「マ、マールさん落ち着いてくれっ。俺は・・・ここのには劣るがあそこのも悪くないって・・・」

「まぁ、そうだね」

「そしたら、あいつがっ!」

「あ、てめぇっ」


と、(なす)り付け合いに発展し。

その結果・・・。


「人の女房を悪く言うのは頂けないね」

「お、おう・・・」

「歯ぁ食いしばりなっ」

「え?」


バチーン───。


女将さんにビンタを喰らい・・・壁まで吹っ飛んでいった・・・。

よろけたとかじゃなく、浮いていた・・・。


「まだ文句があるヤツ。暴れたいヤツは居るかい?」


全員が無言で首を横に振る。それはもう振りまくる。


「ならこれで終いでいいね?」

「「「「「はいっ」」」」」


それからしばらく待っていると。


「お待ちどーさん」

「え?これって・・・」

「アンタが言ってたのを試してみたんだよ」

「これって・・・」


釜玉うどんじゃなく、(つゆ)に入ったうどん!


「いただきますっ!!」


ズルズルズルッ───。


「あぁっ・・・」

「どうだい?」

「美味しいですっ!ちょっとエグ味があるけど」

「そうなんだよねぇ。イリコを使ってみたんだけど、どうもねぇ」

「イリコ?」

(いわし)の煮干しだね。トビウオとかの煮干しもイリコだけど。基本的には鰯だね」

「へぇ。でも、このエグ味が何とかなればめちゃくちゃ美味しくなると思います」

「まぁ、そこはこれから色々試してみるかね」

「期待してますっ」

「思い付いた事があったら何でも言っとくれ」

「はいっ」


無難に鰹節と昆布の合わせ出汁で良いじゃん。ってのは、あまりにも無粋だろう。

いや、待てよ・・・。


「思ったんですけど」

「うん?」

「イリコ出汁と醤油ですよね?」

「そうだよ」

「鰹と昆布の合わせ出汁にイリコ出汁を加えるってのはどうですか?」

「手間だねぇ」

「えぇ~・・・」

「まぁ、それも試してみるかね」

「はいっ」

「釜玉だと誰が作っても大差無いだろ?」

「いや、あれは奥が深いと思いますよ」

「そ、そうかい・・・?」

「はい。まず、うどんの太さとコシをどれだけ出すか。茹で時間も大事ですね。それから・・・」

「わ、わ、わ、分かったよっ。釜玉うどんは奥が深い」

「はい。分かって貰えましたか」

「それでね?」

「はい」

「今は最初に出した店って事で賑わってるけど。目玉として汁に入ったうどんをやりたいと思っててね」

「それは素晴らしい考えだと思います。釜玉うどんも美味しいですけど。やっぱり基本は汁に入ったうどんです」

「ふむ」

「この汁がまた奥が深くて。鰹と昆布の合わせ出汁。そこに醤油を入れる訳ですけど。この配分をどうするべきか。そして、その1つ1つも厳選した物じゃなければ・・・」

「ちょ、ちょいとお待ちっ。一気に言われても分からないよっ」

「あ、すいません」

「いくらでもうどんは食べさせてあげるから。アドバイスが欲しいんだけど」

「それはもう是非っ」

「そこでだね・・・そっちのアンタ」

「わ、私ですかっ?」

「うん。2人分の意見をアンタから聞かせて貰えたらありがたいんだよね」


ん・・・?


「私がユウさんの意見も聞くって事ですか?」

「うん」

「それで、アンタから私に聞かせとくれ」

「分かりました・・・」



ん・・・?

何で俺から直接じゃないの?

間に人が入るとちゃんと伝わらない可能性もあるのに。


いつもお読み頂きありがとうございます。


今、書いてる所が中々に苦戦中で1話に3日以上掛かってます。

ストックが失われていくー( °◊° )…ヒエー

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― 新着の感想 ―
[一言] 優にうどんを語らせるのは危険だということをすでに学習しているマールさんであった。めでたしめでたし。
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