119話 ktkr
「あら?もう、この街を出ていかれるのですか?」
「はい」
冒険者ギルドに馬を引き取りに来たら。眼鏡のお説教お姉さんとバッタリ遭遇してしまった。
「何か仕出かすのではないかと思ってペールさんに探りを入れて頂いてのですがあまり意味は無かった様ですね」
ペールさんがわざわざ絡んで来てたのはそういう理由があったのか。
「期待していたのに残念です」
「え?」
「儲け話の匂いを感じたのですが」
何それ怖い。
「醤油はもう手に入れられたのですか?」
「あぁ、醤油は・・・あれ?薄口醤油買いに行ってないっ」
「ユ、ユウさんっ。今は鰹節が優先ですっ」
「え、あ、そっか・・・」
あれ?そう?
「急ぐので失礼しますっ」
と、エイミーに手を引かれ冒険者ギルドの裏手にある厩舎で馬を引き取り。サヌキの街を後にした。
サヌキを出てからの道程は・・・まず、来た道をそのまま戻った。
そこからもずっと海沿いの道・・・途中は道も無くなり、道なき道を進むハメになり。
エイミーが想定していたよりも時間が掛かり、目的地に着いた時には出発してから10日も経っていた。
「やっと着いたね」
「すいません・・・」
「なにが?」
「私の計算が甘くてだいぶ時間が掛かってしまいました・・・」
「早ければ7日だっけ?」
「はい・・・」
「雨もあったし。しょうがなくない?」
「それでもっ。8日か9日で着いてたはずですっ」
「いや、1日2日は誤差じゃない?無理して怪我したりするよりは全然良いと思うんだけど?」
「はい・・・」
エイミーのおかげで俺はかなり助かってるんだけどなぁ。
それに、俺からしたらエイミーは完璧超人なんだけど・・・この妙な自信の無さはちょっと謎だ。
いや、自信自体はそれなりにあるか。
少しでも予定通りにいかなかった時に自分を責めすぎる嫌いがある。
そこがちょっとだけ引っかかる。
「先に宿を確保しますね・・・」
「うん。それから冒険者ギルド?」
「はい。馬を預けてからダンジョンの情報収集もしたいです」
「ダンジョンあるんだ?」
「はいっ。ダンジョン兼鉱山があるらしくてっ」
「鉱山って鉄とか採れる?」
「はいっ。ユウさんさえ良ければ狩りしませんかっ?」
まだまだ懐は温かい。
無理してまで狩りはしたくないけど、収入が無い以上は時間と共に減っていく。
「人気のダンジョンなの?」
「はいっ。モンスターも強くないみたいだし、採集の方も人気みたいですよっ」
「よし、じゃあ久しぶりにダンジョンで狩りしよっか」
「はいっ!」
「っていうか・・・」
「はい?」
「小っさくない?」
「ん?あぁ、ここの人ですか?」
「うん」
馬に乗ったままだから確証は持てないけど、どうにも小さい気がする。
「何でかは分からないですけど。小さい人が多いみたいです」
「へぇ」
「実はドワーフなんじゃないかって噂もあるくらいです」
ドワーフ・・・ファンタジーな種族ktkr。
あ、でも噂だから違うのか。
エルフは居るけど、ドワーフは居ないのか・・・ってエルフも伝説上の生き物扱いか。
「あ、宿ありましたっ。交渉して来ますねっ」
「うん、お願い」
2頭の手綱を持つ為に馬から下りたが・・・やっぱり周りの人はめちゃくちゃ小さい。
イメージにあるドワーフ程は小さくないし、ずんぐりむっくりもしていない。
普通の体型だけど、小さい。
ヒゲモジャでもないしね。
宿を確保して。冒険者ギルドで馬を預けてから早速ダンジョンへと向かった。
本当なら・・・先に鰹節を入手しに行きたい所だが・・・落ち込んでいるエイミーの為にもダンジョンに行った方が良いだろうと判断した。
山手にダンジョン兼鉱山があり、海側には港があり。
そのどちらへもアクセスしやすい様に、その中間に街がある。そんな感じの立地だった。
そして、海側がどうなっているのか分からないが。
山側。ダンジョンがどうなっているのかは判明した。
大きな岩山があり、取って付けた様な木製の梁で出来た入り口がある。
その手前で冒険者ギルドの職員さんに受付を済ませダンジョンへと入っていく。
中に入って行くと、等間隔に松明が焚かれていた。
「お金掛かってますねっ」
え?あ、そうか。
松明だって無料じゃない。
1本の松明で1-2時間は燃え続けるみたいだけど。それを絶やさずにってなるとそれなりの金額になりそうな気がする。
冒険者ギルドなのか、ここの領主様なのか分からないけど。その価値があると判断してお金を出しているのだろう。
そうなると、ここのダンジョンがかなりの経済効果を生み出しているのは間違い無さそうだ。
真っ直ぐな通路を進み、突き当りまで辿り着くと安全地帯があり階段が姿を現した。
「え?」
「あ、ここのダンジョンは上に上るみたいですっ」
ダンジョンって下に潜っていくだけじゃないのか・・・。
ってか、上に上っていくのって魔王城とかじゃないの・・・?
いや、まさか・・・違う・・・よね?
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