116話 調理前が卵で調理後は玉子
「エイミー。急いで出汁取らないとっ」
「大丈夫ですっ。ふんすっ」
「え?」
「安心して見てて下さいっ」
「う、うん・・・」
とは言っても・・・白くてむっちりしたうどん。それだけでは完璧ではない。
香り豊かで甘じょっぱい汁。
その2つが合わさる事で至高の料理へと昇華されるんだし・・・。
「大きいお鍋ってお借りしても良いですか?」
「うん。これで良いかい?」
「はいっ」
「鍋で湯がくのかい?」
「はいっ」
「だったらアタシが沸かしとくよ」
「ありがとうございますっ。あ、お湯はもっと多めでお願いしますっ」
「あいよ」
お湯が沸き、全ての生地も切り分けられた。
「一気に茹でるとあんまり良くないので。少しずつ茹でていきます」
「ふむふむ」
吹き上がったらびっくり水を入れて落ち着かせ。10分程茹でた所で麺を取り出し器に盛り付けた。
「完成かい?」
「はいっ」
「そのまま食べるのかい?」
「えっと、あそこにあるのって卵ですよね?」
「そうだよ。ランチに使おうと思ってね」
「何個か売って貰えませんか?」
「アタシも食べさせて貰えるなら何個でもあげるよ」
「ありがとうございますっ」
3人分の器にエイミーは卵を躊躇なく落とした。
「月見?」
「??それで、これを混ぜます」
お、おう・・・。
「それと、ユウさん醤油をお願いします」
「うん。どうぞ」
「醤油をちょっと垂らしたら完成ですっ」
えぇ~~~~・・・。
「いただいても良いかい?」
「はいっ、どうぞっ」
チュルチュルチュル───。
「へぇ。こりゃ美味しいね」
「ユウさんもどうぞっ」
「う、うん」
うどんだからそりゃ美味しいさ。
でも、汁の無いうどんなんて・・・。
「なにこれっ!!!!」
「「!?」」
「ちょー美味い・・・何て言うか・・・凄く美味いっ」
「良かったですっ」
「いや、もう何て言うか言葉に出来ないっ」
「あ、でも、これはこうやって・・・」
チュルチュルチュル───ゴクン───。
「え?噛まないの?」
「はいっ。うどんは喉越しですっ」
なにそれ格好良い・・・。
噛まずに飲み込めるか心配だったが、やってみたら意外と簡単に飲み込めたが・・・。
「なにこれっ!!!ちょー美味いっ!!!」
「でしょっ?えへへ」
「へぇ~。面白いね」
「お代わりっ」
「はいっ。茹でるからちょっと待って下さいねっ」
「アンタ、二日酔いなんじゃなかったのかい?」
「吹っ飛びました」
「都合の良い身体してるね」
「そ、そんなもんですよ・・・人間なんて」
「そりゃそうだ。はっはっは」
茹で上がりを待って。計3種類の卵掛けうどんを食べた。
「どれが1番良かったですか?」
「全部、美味しかった」
「アタシは最初のかねぇ」
「私も最初のが1番美味しいと思いました」
みんな違ってみんな良い・・・。
「俺には・・・」
「はい」
「うどんに優劣なんて付けられないっ」
膝から崩れ落ち。
orzの体勢になってしまったが・・・そんな、うどんに優劣を付けろだなんて無理難題を吹っかけられたんだから仕方の無い事だ・・・。
「この子はどういう子なんだい・・・?」
「こういう人です・・・」
「アンタも大変だねぇ」
「だいぶ慣れましたっ」
「おっと・・・目頭が熱くなっちまうね・・・」
人の頭の上で何を言いやがってるんでございましょうか。
おっと・・・目から汗が・・・。
「どれも美味しかったと思うんですけど。やっぱり最初のがコシもあって良かったと思います」
そう。それ大事。
どれも美味しかった。
「噛めばモチモチ、シコシコとしてて。喉越しも面白くて楽しい料理だねぇこれは」
「はいっ」
「ちょっと相談なんだけどね」
「はい」
「この料理をウチで出したいんだけど、いくら出せば良い?」
「??」
「アンタらが考えた料理なんだろ?」
「ち、違いますっ。私はお母さんから教わりましたしっ」
「ふむ。でも、こんな料理見た事無いからねぇ」
そうなったら・・・。
ここに来れば卵掛けうどんがいつでも食べられるっ。
「商業ギルドで契約しても良いよ」
「え?」
「売上に対していくらかをアンタらに払う契約だよ」
それってもしかして・・・。
不労所得ってやつ!?
「レシピ代だけ払うのでも構わないし。どうだい?」
「ふろうs・・・じゃない。売上に対しての方でっ」
「善は急げだ。商業ギルドに行くよっ」
「「は、はいっ」」
商業ギルドで行った契約は思っていたよりもキッチリしたもので。
書面で血判なる物まで押すハメになった・・・。
そして、不労所得には変わりないが・・・未来永劫と言う訳ではなく。
1年という期間限定の物だった。
契約に当たり、料理名が必要という事で判明したのが。このうどんは卵掛けうどんでは無く釜玉うどんと言うらしい。
エイミーも親から由来までは聞いてないらしいから確証は無いが。
釜で茹でて玉子をぶち込んだうどん。なんだろうとは思う。
いつもお読み頂きありがとうございます。




