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111話 夢現

船で海を渡り島に辿り着いた。

島という言葉のイメージで勝手に無人島をイメージしていたが。

こちら側の港も中々の規模で、この島に住んでいる人は意外と多いのかもしれない。


「思ってたよりも時間が掛かってしまったから・・・ちょっと急ぎましょう」

「うん」


これも、島という言葉のイメージで勝手に思い込んでいたのだが。

思いの外、この島は大きい。


例えば、日本にしても。

国自体が島なんだから、島だからって規模が大きい物はいくらでもある。

でも、思い浮かべていたのは1時間、長くても2時間も歩けば1周出来てしまう様な大きさの島だった。


なので、島の反対側に着いた時には完全に陽も沈んでいた。


「やっぱり遅くなっちゃいましたね・・・」

「うん」

「ちょっと行って来ます。馬、お願いします」

「はーい」


エイミーが入っていったのは宿屋っぽくない。これまで見た目はまんま民家の宿屋もあったし色々なんだけど、ちょっと毛色が違う建物だった。


「こっちです」

「うん」


他と比べてちょっと立派な建物から出て来たエイミーに先導されて、村の外れまでやって来た。


「ここなら良いそうです」

「ん?なにが?」


あれ?宿屋の場所を聞いて来たんじゃなかったの?


「ここならテントを張っても良いって許可を取って来ました」

「あ、うん」


わざわざ村の中で野宿するのか・・・。


「あっ、言ってませんでしたっけ?」

「ん?」

「この島に宿は無いんですよ」

「そうなの?」

「はい。・・・なんで」

「うん」

「そろそろテントを」

「あ、ごめん。直ぐ出すね」


テントはエイミーに任せて俺は馬の世話に追われた。

休憩も少な目で飛ばして来たので、馬2頭の汗を拭いたりマッサージをしたりといつも以上にお世話を頑張った。


村の中なので安全は安全なのだろうが。馬や荷物を盗まれる可能性は捨てきれないので交代で番をする事になった。

明日の動き出しは漁が終わってからなのでエイミーに先に寝て貰い日の出近くなってから交代した。

起こすのが遅い。と、エイミーに怒られたが子供はちゃんと寝ないといけない。

俺はもう大人・・・では無いけど、成長期も終わりが近いし仮眠出来れば1日くらいはどうとでもなる。


と、思っていたが・・・。

相変わらず、俺の寝起きは悪い様で。

気が付いた時にはエイミーに手を引かれ港に向かっていた。


「え?」

「あ、起きました?」

「う、うん・・・」

「もうちょっとで着きますよ」

「え、顔洗いたいんだけど・・・」

「さっき洗いましたよ」

「え・・・?じゃあ、歯磨きを・・・」

「さっき磨きました」

「朝ご飯を・・・」

「さっき食べましたね」


うん。記憶に無い。


「聞いて来ますね」

「うん、お願い」


港に到着し。早速、エイミーが情報収集に向かった。


「分かりました」

「うん。じゃあ、行こっか」

「はいっ」


俺とエイミー。それと、馬2頭。

2人と2頭が連れ立って漁港の中を歩くのはかなり目立つ様で奇異の視線を向けられている。


エイミーは全く意に介していないが・・・。


「あの、すいません」

「はい?」

「コールさんですか?」

「そうですが、どちら様でしょうか?」

「向こうに渡りたいんですけど。2人と2頭を乗せて貰える船を探してて」

「あぁ、なるほど。私の船だけでは無理ですが、もう1人誰かに声を掛ければ何とかなるでしょうね」

「もう1人も紹介して貰えたら助かります」

「そうですね。アテはあるので何とかなると思いますが」

「良かったっ」

「流石にタダと言う訳には」

「相場の金額を払いますっ」

「でしたら、受けさせて頂きます。出港は何時(いつ)頃の予定ですか?」

「早いほど良いです」

「でしたら、今から声を掛けて来ます」

「ありがとうございますっ」

「あ、ちょっと気になったのですが」

「はいっ」

「誰かからの紹介ですか?私の名前もご存知でしたし」

「コリングさんですっ」

「なるほど・・・。では、このお話は無かった事に」

「「えっ?」」

「1度引き受けた依頼を断るのは申し訳無いのですが。あの男とは関わりたくないので」

「そ、そんな・・・」


あの野郎・・・。

この辺じゃ顔が利くとか言ってたクセに嫌われてるじゃんっ。


「いや、アレです」

「ん?」

「コリングさんにはこの島に渡る時に乗せて貰っただけなんですよ」

「ですが、あの男の紹介なのですよね?」

「そうなんですけど・・・それも、宿屋の女将さんからコリングさんに言えって言われただけなんで・・・」

「あぁ・・・ケイリルさんですか・・・」


いや、名前は知らないけど・・・。


「はいっ」


あ、エイミーは知ってるのね・・・。


「う~~~~~~~~~ん・・・・・分かりましたっ・・・」


お・・・?


「ケイリルさんの顔を潰す訳にはいきませんからね。受けさせて頂きます」

「「おぉー」」

「知り合いに声を掛けて来るので少々お待ち下さい」

「「はいっ」」



危ない、危ない。

危うく向こうに渡れない所だった・・・。


あの野郎・・・覚えてろよっ・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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