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109話 ブラックウォーター

「これオススメなんですけど。どうですか?」

「どうせてめぇの仕込んだ醤油だろ?」

「ぐっ・・・そうですけど・・・」

「すっ込んでろ」

「良いじゃないですかっ。味を見て貰うくらいっ」

「俺に対抗するなんざ100年早ぇよ」


片っ端から醤油の味見をさせて貰ってる。

いや、させられてると言うべきか・・・。


5種類くらいまでかな・・・?

味の違いを見極めようと思えたのは・・・。

もう、その辺りから全部同じに思えて来た。


どれも黒くて塩っぱい水・・・。


「あ、そういえば」

「おう」

「全部、濃口(こいくち)なんですね」

「ん?他に何かあんのか?」

「え?ほら、薄口とか」

「なんだそりゃ」

「もっと色が薄くて。でも、実は塩分濃度は高い」

「あー、発酵を抑えて早めに仕上げるヤツか?」

「たぶん、それです」

「あんな邪道は作らねぇ」

「えぇ~・・・」

「なんだ?じゃあ、俺の醤油は要らねぇって事か?」

「それは要りますっ」

「どっちだよ・・・」


醤油は要る。

でも、出来れば薄口が欲しい。


「買うんだな?」

「はい」

「で、どれが美味かった?」

「えっと・・・どれも美味しかったです」

「そうだろう、そうだろう。うんうん」

「なんで、オススメを下さい」

「全部だ。俺が仕込んだのはどれもオススメだな」

「いや、流石に全部は・・・」

「なら・・・コイツとコイツだな。こっちは麹に・・・」

「おやっさん!」

「あぁ?」

「昨日の二の舞です・・・」

「何がだ?こっからが良いトコなんだよ」

「いや、えーっと・・・寒仕込みの樽の様子が・・・」

「なんだと!それを早く言えっ!!」


と、おやっさんはかっ飛んでいった。


「えーっと、おやっさんのオススメ2本と俺が仕込んだヤツ1本で良いですね?」

「は、はい・・・」


命の恩人だから逆らえないな。


「俺の兄弟子なんですけど」

「はい」

「おやっさんに追い出されて。今は海の向こうで醤油蔵をやってるんですよ」

「ほぅ」

「その人は薄口?のを作ってるはずなんで気になるなら1回行ってみて下さい」

「行きます」

「返事、早すぎじゃないです?」

「いや、そりゃ行くでしょ」

「ま、まぁ・・・港に行けば見える距離ですし・・・」

「あ、そんな近いんですね」

「距離も知らずに即答してたんですか?」

「ユウさんは。ここの親方と同じ人種ですから・・・」

「なるほどっ」

「え?」

「それじゃあ、向こうの場所は~」

「はい」

「え?ちょっと?」


なんか、ハミられた・・・。

そして、そのまま2人で向こうに行って何か話してる・・・。


「大体分かりました」

「うん、そっか・・・

「醤油を瓶詰めしてから持って来てくれるみたいなんで。私達は馬の準備をしてましょう」

「うん」


外に出て馬の準備を済ませ待っていると。


「お待たせしました」

「はい。ありがとうございます。あ、お代は」

「もう頂きました」

「そうなの?後で渡すね」

「だ、大丈夫ですっ」

「いやいや、ちゃんと払うから」

「いつもユウさんにはお世話になってますからっ」

「いやいや、お世話になってるのは俺の方だし」

「あのー。重いんでそろそろ受け取って貰えません?」

「あ、すいませんっ」


一升瓶サイズで3本。

1本ずつ藁で包み。3本をしっかりと固定する様に特殊な結び方をしている。


「そう簡単に割れないとは思いますけど。一応、割れ物なんで気を付けて下さいね」

「はい。ありがとうございました。また来ます」

「お待ちしてまーす」


醤油を抱え、ゆっくりと馬を進め。

お見送りしてくれているが、早く引っ込めと念じながら。

見えなくなってからアイテムボックスに醤油を収納した。



「ちょっと出て来ます」

「うん。いってらっしゃい」


宿に戻るなりエイミーはどこかに行ってしまった。

お昼時だから何か買いに行ってくれたのかもしれない。

辛うじて宿屋がある程度の寒村だから食べ物屋さんってここしか無い気もするけど。


戻って来たエイミーの手に食べ物は無く・・・。

お腹空いてるけど我慢して待ってたのにっ。と、思ってしまったが・・・船の手配をしてくれたらしい。

流石、エイミーさんっす。


「馬は?」

「一緒に連れて行きます」

「船なのに大丈夫かな?」

「向こうに着いてからも結構距離があるみたいなんで」

「なら、仕方無いか」


馬2頭が乗れるサイズの船が用意出来るのかも心配だし、船の上で暴れないかとか色々と心配事はあるがエイミーさんの決定は・・・絶対っ!


「一旦、島に上がって。移動して、また船を手配して別の島に行きます」

「ほぅ」

「そこが目的地のサヌキです」

「え?なんて?」

「サヌキですか?」

讃岐(さぬき)?」

「はい」

「あ、いや、そんな訳無いか。ごめん、勘違い」

「??何か問題があったら止めますよ?」

「ううん。ちょっとした勘違いだから大丈夫」



讃岐って香川の旧国名だけど、ここは異世界なんだからそんな訳が無い。

・・・よね?


いつもお読み頂きありがとうございます。


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