108話 人の振り見て
醤油蔵は山の中にひっそりと・・・いや、存在感ありありで建っていた。
そう思うのは、醤油=和風という安直な考えで、蔵も和風建築のはず。と思い込んでいたからだ。
洋風というか、石造りの建物が山の中から突如現れたのでイメージとの差異が大きくびっくりしてしまった。
「ユウさん?行かないんですか?」
「あ、ごめん。行く行く」
馬を進め建物に近寄ると中から人が出て来た。
「ん?なんだ?客か?」
「は、はいっ」
「ん?ホントに客か?ウチには醤油しかねーぞ?」
「醤油を買いに来ました」
「まぁ、そうだろうな。今来た道を戻りゃ大きい通りに出る」
「んん??」
「迷子だろ?」
「え?醤油を買いに・・・」
「マジかっ!」
「は、はい・・・」
「それを先に言いやがれ」
最初っから言ってるんだけど・・・。
「は、はい、すいません」
「あぁ、そうか。おーい、誰か!!」
「はーい」
「コイツらの馬を頼む」
「はい。それは良いんですけど・・・」
「客だ客」
「あぁ、なるほど。だったら、この道を戻れば」
「客だっつってんだろ。このどあほぅ」
いや、おっさん・・・お前もさっきおんなじ事言ってた・・・。
「え?お客さん・・・?何の?」
「醤油に決まってんだろうがっ!さっさと馬連れてけ、このスカタンがぁ!」
「は、はいぃぃ」
「それじゃあ、お願いします」
「お願いしますっ」
「はーい」
「よし。お前らには自慢の蔵を見せてやる」
「おぉー」
「腰抜かすなよ?がっはっは」
「おやっさん、おやっさん」
「ん?なんだ?」
「そろそろ・・・」
「なにがだ?」
「もう日も暮れてますし・・・」
「あぁ?何言ってんだ?」
「そろそろ解放してあげて下さい」
「お、おい。お前らどこ見てんだ・・・」
「あー、もうっ。こっちは俺がやっときますんでおやっさんは向こう行ってて下さいっ」
「お、おう・・・」
「知らない天井だ」
「あ、気が付きました?」
「え?ここは・・・」
誰しも1度は言ってみたい言葉ランキングの6位を言う事が出来た。
いや、知らんけど。
どうやら、蔵元のおっさんから蔵を案内され。
醤油への愛が強すぎて、語りだすと止まらないらしい。
厄介なおっさんだ・・・。
その結果。
俺とエイミーの意識は別の次元に行ってしまい・・・エイミーはまだベッドで寝ていて。
俺は・・・床っ!?
「流石に、一緒に寝かせる訳にはいかないかと思って」
「まぁ、そうですね・・・」
いや、慣れてるけどもっ・・・。
何か敷くとか・・・床に直だから身体の色んな所が痛い・・・。
「時間も時間なんで泊まってって下さい。あ、夕飯、食べれます?」
「はい・・・って・・・」
外を見ると完全に陽も落ち、暗闇が辺りを包んでいた。
あれ?でも、ロウソクとかの揺れる灯りじゃない・・・。
「あ、ライト?」
「お?気付きました?俺、スキル持ちなんですよ」
「おぉー」
「凄いでしょ?」
「俺も使えますよ」
「ライト」
「おぉっ。自分以外でライト使える人って初めて会いましたっ」
「そうなんですか?」
「田舎だから冒険者とかも来ないんで」
「あー、なるほど」
「やっぱり都会だとスキル持ちも多いんですよね?」
「たぶん、多いと思います」
「たぶんなんですか?」
「隠してる人も多いと思うんで」
「へぇ~。やっぱり冒険者って色々あるんですね」
「はい」
これは・・・俺の事を見た目だけで冒険者だと判断されたっ?
「スキルってのは切り札になりますからねっ」
「まぁ、でも・・・商人だと関係無いでしょ?」
「んん?」
「ん?買付に来た商人の丁稚さんじゃないんですか?」
oh...商人だと思われてた・・・しかも、丁稚っ!
「ぼ、冒険者です・・・一応・・・」
「え?そうなんですか?」
「はい・・・」
「へぇ~。あ、そっちの子もそろそろ起こして夕飯にしましょう」
「え、あ、はい・・・」
冒険者としての風格。
どこか売ってないかな・・・。
エイミーを起こして、夕飯をご馳走して貰った。
醤油はあれども思うように使えない日々が続いていたので醤油尽くしの料理に舌鼓をうった。
が・・・流石に全部醤油味だとしつこい・・・。
「ごちそうさまでした」
「どうでした?」
「美味しかったですよ。まぁ、全部醤油味だとは思わなかったですけど・・・」
「ははは。やりすぎちゃいましたか」
「いや、でも、美味しかったです」
「おぉ、だったらお買い上げですか?」
「それはモチロン!」
「ありがとうございまーす」
種類がいくつもあるらしく。
実際に買うのは明るくなってからという事になった。
1つ1つ味をチェックしてから買っても良いとの事だ。
ありがたい。
本日2度目の更新です。
ここ最近1話当たりの文字数が減ってるのでその補填です。
当分、1日2話更新はしないと思います。たぶん(*´ェ`*)




