103話 こんこ
ファイヤーボール。
冬の間ずっと練習していたのでスキルレベルは3まで上がっている。
が・・・正直、使い難い。
虫に対して使うと素材まで燃えてしまうのでNG。
森の中など、燃え移る物がある場所でもNG。
なので街外れで雪の壁に向かって撃ち続けた結果。レベル3まで上がった。
何故、盗賊に対して使ったかと言うと。
「ファイヤーボールを使って下さい」
「え?何で?」
「ウィンドアローよりも派手だからですっ」
「え?うん」
「数が多いから、派手なヤツを使った方が牽制になりますっ」
「あー、なるほど。ウィンドアローだと見えないからスキルって分からないかもだしね」
「はいっ」
という、ウチの優秀な軍師エイミーさんからの助言があったからだ。
因みに、イリアさんのストーンバレットとストーンランスも覚えはした。
必死の思いで飲み込み。覚えたは良いけど・・・正直、使い所が無い。
ストーンバレットはその名の通り、石の弾丸を撃ち出す。
一時、舐め続けてたくらいだから飴玉程度の大きさしか無い。
そして、小さいから素材への影響も小さくて済むと思い。バッタに使ったら頭が弾け飛んでいた。
うん。ウィンドアローと一緒。
ストーンランスは大きくて派手。
その分、MPの消費も大きい。
うん・・・使い難い。
なので結局はウィンドアロー一択になってしまう。
使い慣れてるのが1番。
それでも一応は試行錯誤した。時間はいっぱいあったし。
ファイヤーボールを発射せずに留めておけば光源になる。
まず、ライトがあるし。留めておく事が出来なかった。
発動したら即発射。
スキルレベルが上がった事でサイズや威力の調整はある程度出来る様になったので火を着ける時に使ったりはしてる。
そっと置くくらいの精密な操作が出来れば活用出来るのだろうが・・・どれだけ抑えても軽く叩き付けるくらいの威力になってしまうので色々と飛び散る。
薪だったり葉っぱだったり火だったりが・・・。
貫通力で言うとストーン系。威力ならファイヤー系。隠密性というか避け辛さ?ならウィンド系。
それぞれに特性があって用途に応じて変えていくのがベストなんだろうけど、現状では使い慣れているウィンドアローがあれば事足りてしまう。
アイスアロー?アイスバレット?みたいのがあれば夏場には重宝しそうだけど、欲しいって思う物は逆に手に入らない気がする。
そして、今現在欲しいスキルは・・・雪を止ませる、天候を操るスキル・・・。
まぁ、そんなのは無理だと分かってる。
やっと、やっと・・・エイミーの手が上がり、ようやく休憩になった。
「ユウさん顔凄いですよ?ふふふっ」
「いや、エイミーだって凄いよ?」
「え?あ・・・み、み、み、見ないで下さいっ」
今日は、雪がパラついていたが積もる様な量では無いので気にせず馬を走らせた・・・。
まぁ・・・雪を舐めていた。
まず、雪が痛い。針でも刺されてるんじゃないかってくらいに痛い。
次第に顔の感覚が無くなっていき、鼻がもげるんじゃないかと思った・・・。
そして、厄介なのが。
涙と鼻水が止まらない。その涙と鼻水が顔に張り付いて凍るのだ・・・。
今、俺とエイミーの顔はそんな涙と鼻水で出来た氷でグシャグシャになっている。
馬を降りた俺達は・・・まず火を熾してから、着替えたり馬の世話をしたりした。
「本当はまだ進む予定だったんですけど・・・」
「いや、無理でしょっ」
「はい・・・顔が取れるかと思いました・・・」
「馬の体温のおかげでお尻とか手は暖かいんだけどね」
そう。
この場所に着いてからそこそこ時間が経っているが馬達からはまだ湯気が立ち昇っている。
「そろそろ拭いて来ますね」
「俺も」
馬は寒さに強い動物らしいが。
流石に、この気温で汗だくのまま放置すれば確実に風邪をひくだろう。
「はぁ~・・・寒いっ」
火の前に戻ると、また身体が芯から冷えていて、当分ここから動きたくない。
「ん?エイミーどうしたの?火に当たりなよ」
「そこに行くと動けなくなるから・・・先にテント張っちゃいますねっ」
「あ、俺もっ」
「ユウさんはそこで暖まってて下さい」
エイミーさん・・・エエ子や・・・じゃなくてっ。
「いやいや、2人でやった方が早いし」
火の暖かさって誘惑に負けそうになったけど、それは流石にマズい。
「1人で出来ますから。大丈夫ですよっ」
まぁ、そうか。
別に2人でやったからって掛かる時間が半分になる訳じゃないし・・・って、ダメだっ。
「いや、俺もやるからっ」
「え、はいっ」
2人で手早くテントを組み、タープなる物も組み立ててみた。
六角形の布を支柱とロープを使って固定するだけだが、これが意外に便利だったりする。
雨や雪除けに使えるし。夏場は日差しも遮れる。
今は雪と風除けに大活躍している。
火の側に設営したから注意は必要だけど、さっきまでよりもだいぶ暖かい。
そんなタープの中で火に当たりながら、俺とエイミーは丸くなり。
馬2頭は雪でテンションが上がって飛び跳ねたり転がったりしている。
そんな童謡の雪みたいな風景だったりする。
猫じゃなく人だし、犬じゃなく馬だけど・・・。
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