1ページ目 いじめ
あくまで個人的意見ですのでご注意を
自分がすることを、全員がしたらと、問え。
byジャン=ポール・サルトル
最近僕は色々なことを考えるようになってきた
将来への不安、人間関係の不満、家族に対する不信
思うことはさまざまだけどまだ小学生でしかない僕にはどうもできない事も多い
その上、考えることが多いからよくこんがらがってしまう
だから一つ一つ落ち着いて考えるためにもこうやって日記みたいにして書いていこうと思う
まずは…、そうだな
いじめについて、かな
僕のクラスには俗にいういじめと呼ばれる現象が起きていた
被害者は袴田輝星君、輝星と書いて『きらぼし』と読むのだそうだ
彼はその名前から来るイメージとは裏腹に大人しい、あえて悪く言うならちょっと暗い子だった
そして彼は変な名前でありその名前と違って暗い子であるという、ただそれだけの理由でいじめを受けていた
最初は簡単ないたずらとかそのレベルだった
普通の友人関係であっても双方笑いながらその後仲よく遊ぶレベルの、軽いものだ
ただ輝星君は気が弱かったから、それに対して強く拒絶ができなかった
それにその程度の事で大きく拒絶したらむしろ輝星君が悪者にされかねないレベルであった
彼らはそれに気をよくしたのだろう
だんだん輝星君に対するいじめは悪化していった
まずいたずらに参加する人間が増えていき、その次にいたずらが移動中に足を引っかける等の少し危険なものに変わった
ここに来ると普通ならいじめとして声を上げていいものだが彼はただ耐えているだけだった
後々聞こえてくる話だと母親に相談したところ
「その程度になにびびってるの!それぐらい何でもないような顔して無視してやればいいのよ!」
と言われたらしい
無視した結果がいじめの悪化では元も子もないとは思うのだけど、確かにこれぐらいでいじめだと言ったら今後周りのみんなにハブられるかもしれないと考えたのかもしれない
あと1年で卒業するわけだし周りの反応より自分の命のほうが重要じゃないかと思うけど当事者にならないとわからないものもあるだろうし、外野があまり言うべきではないよね
そして輝星君はその状態で1ヶ月ほど我慢した
僕のクラスは40人で1クラスだったがその内半分以上がいじめに参加していたように思う
残りの人は僕みたいに傍観するだけか、そもそもそのことに気づいていない人だった
僕が傍観していた理由は簡単だ
『彼が笑顔だったから』だ
確かにちょっとどうかと思うものもあったが彼はいつもそれを笑顔で流していた
だから仲いいだけだろうと流していたのだ
実は、こういうケースは意外と多いらしい
端から見たらどうかと思う事でも当人同士ではじゃれあいのつもりだった、といったりそのまた逆もしかり
だから彼へのいじめは、誰一人いじめだと思うことなく1ヶ月以上続いた
そのうち、彼へのいじめは悪化していった
走って移動している最中に彼にわざとぶつかったり、彼の名前のことを散々にからかったりだ
特に彼の名前に対する誹謗中傷がひどかった
「お前に輝星なんて名前は不相応だ!お前なんてダサ星で十分だ!や~い、ダサ星!」
等といった暴言が飛び交っていた
さすがにここまで聞くと担任に告げ口をする生徒もいたのだが、この担任がまた酷かった
クラスメイトが告げ口した次の日の朝礼で形ばかりの注意をしただけで、それ以外にはなにもしようとしなかった
それどころか放課後に輝星君を呼び出して
「いじめって言うのはな!いじめられる側に原因があるんだぞ」
等といいながら1時間ほど注意をしていた
確かに一般的に言われる「いじめられる側にも原因がある」というのは一理あると思う
だからと言っていじめる側に罪がないとか頭頓珍漢なことは言わない
何があろうとも加害者になった時点で有罪なのだ
僕が一理あるというのは、いじめられる側の立ち振る舞いにいじめられるようになった原因があるのでがないか、ということだ
例えば、物凄く口が悪くてクラスの嫌われ者だった、とか何をやるにも大声ではやし立ててクラスからうざがられていた、とかだ
輝星君に関してはこれは全く当てはまらない
だって彼がいじめられた理由は彼の名前という彼自身の力ではどうしようもないことだし、彼の性格は確かに明るいかと言われると首をかしげるが根暗だったかと言われると否定される、いわゆる大人しいという部類に入る性格だったのだ
改名に関しては15歳以上にならないと自分の力では申請できない上、きちんとした理由があるとお役所に判断されなければ改名できないのだから無理な話だろう
結果、彼に対するいじめはむしろエスカレートしていった
彼の物がなくなるのは日常茶飯事、ひどいときにはクラス内で起こった出来事を彼のせいにされる等もあった
さすがにここまで来ると良識派の生徒もどうしようもなかった
先生は事なかれ主義で役に立たないし他のクラスの先生に相談しようにも
「担任の先生に相談しなさい、彼ならちゃんと聞いてくれるはずだ」
と言ってきいてくれなかった
そうやら担任の先生が自分のクラスでいじめがあるとばれたくないがために事前に根回しをしていたようだ
外面だけはいい先生だったらしく、周りからの信頼は篤かったんだ
いじめている生徒に注意をしようにも
「んだよ、ノリわりーな
こいつが過剰反応して先生にチクりやがったからお仕置きしてるだけだろ」
とか意味不明な事を言ってやめようとしない
しまいには
「なに?お前あいつのこと好きなの?
じゃあキスしろよ!キース!キース!キース!キース!」
などと言われる始末
良識派の彼らにできる事はこれ以上悪化しないようにやんわりと注意するぐらいしかなかった
そしてある日、輝星君は自殺した
自室で首をつっていたんだそうだ
部屋に残された遺書には
『おかあさん、おとうさん
なまえにふさわしいこになれなくてごめんなさい』
と書かれていたらしい
ニュースでやっていたが輝星君は改名に必要な書類を全て揃えたうえで親に直談判したらしい
でも親に
「お前は俺たちが一生懸命考えた名前にケチをつけるのか!」
「なんでそんな悲しいこと言うの!」
「いじめを名前のせいにするんじゃない!」
等と言われ結局許可をもらえなかったらしい
ニュースになったことからもわかる通りこのことは大々的に報道されており、そのおかげで担任の先生は教師を辞めさせられた
でもだから何だというのだろう
その教師を辞めさせたところで輝星君の命は戻ってこないし、彼の両親を改心させたところで彼の命は戻ってこない
さらに彼のことを報道して同情を集めても彼は戻ってこないしそれで全国の学校に自浄を促してもいじめがなくなるわけでもない
さらに彼に対して色々な意見が集まるけれども、彼らはいずれも彼が受けたいじめの当事者ではない
結局のところこのいじめに対して意見ができるのは被害者である輝星君だけであるのだろう
生きている僕らはこのいじめを受けて自分たちの行動を省みて気を付けるぐらいしかできないのだろう
いじめっていうのは閉じられたグループがある限り必ず発生してしまうものであり、僕が僕であるように人間が人間であるなら無くすことは不可能なものなものなのだろう
うん、そう考えるとこの件に関してはこれでひとまず整理できただろう
今日はここまでにしておく
なにかありましたら質問ください
ちなみに『笑顔だったから』っていうのは私の体験談です