二手に別れて
「私たちも進もうか。サユハ」
「うん!」
サユハとレロイは右側の塔へ歩を進めた。
「あっ!」
「お主たちは…」
塔の中はまるで左側の塔の造りを完璧に再現したかのように、広場と上へ続く階段だけがあった。そして、塔の中には案の定、ドギとジガンが佇んでいた。
「いつかの腹立つ奴の仲間じゃねぇか。てことはあのバカたけぇ賞金が懸けられてるあいつもいるんだな?」
「お主は…誰だ?サユハの知り合いなのか?」
「うーん。確か、どっかで会った気がするんだけどなぁ…思い出せないや」
「てめぇら、名前を忘れるだけじゃなく、俺の存在まで思い出せねぇのか!?」
「まぁまぁ落ち着けって」
「あっ!」
ジガンがドギを宥めている時にレロイが何かを急に思い出した。
「やっと思い出したか」
「久しぶりではないか、ジガン!」
「俺様じゃねぇのかよ!!」
「おぉ、久しぶりだな。レロイにサユハとか言ったお嬢ちゃん」
「でもこんな所で何してるんですか?」
ジガンは横目でドギに一瞬だけ視線を移した。ドギはその体格からは想像できない落ち込み方をしていた。
「ちょっとな、ここの頂上が目当てでね」
「そうなんですか。あっ!じゃあ一緒に行きましょうよ!ね、レロイもその方がいいと思うよね?」
「確かに人数は多い方が心強いであろうな」
「そうしましょうよ!ジガンさん」
「なぁ、ドギ。どうする?」
ドギは落ち込みから立ち直れず、ジガンの声は届いていなかった。
「おい!ドギ、いつまでそうしてるつもりだよ!タリィたちも進んでるだろうし、俺たちも急いだ方がいいだろ。だから、さっさと立ち直れよ」
「あ、あぁ。そうだよな。どうせ俺様は存在感のないただ図体がでかいだけの男だよ」
「ありゃダメだな。完全に人の話聞いてない。ったく、俺らのリーダーなんだから少しはちゃんとして欲しいもんだな」
「ねぇねぇ、なんでもいいから早く行こうよ!」
「確かにここで時間を潰すのは得策ではあらぬな」
「そうだな。ドギ、行くぞ。ちゃんと付いてこいよ」
ドギを除く三人は階段に向けて歩を進めた。ドギも遅れて、それに続いた。