連支塔
「あっ!待ってましたよ、旦那!」
ゼイラは村の入口で佇んでいた。
「ちっ、勝手に逃げやがって」
「すいませんねぇ。手持ちがなかったもんで」
ゼイラは片手を頭の後ろに当て、ニヤけている。
「ちょっと!あんた、持ち合わせもないのにあんなに食べてたわけ!?それに逃げるなんて卑怯もいいとこじゃない!最ッッ低!!」
「まぁまぁ、そんなに怒んないでくださいよ」
「サユハ、こいつに逃げるなっていうのはな、ローブマンの素性を知るより難しいぜ。だから、諦めろ」
「そんな、酷いじゃないですか、旦那。ローブマンの素性を知るよりは簡単ですよ」
「こういう人って本ッッ当嫌い!!」
サユハは嫌悪感を全面に出し、一人で歩いていった。
「あらら、オイラ嫌われちゃったみたいですね」
「お前は大多数の人に嫌われるタイプだろ」
「私もそう思う」
「そんなぁ…オイラ、なんか悪いことしましたか?」
ゼイラは半分ふざけたようにがっかりしている。
「悪いのはお前の性格だ」
「でも、旦那は俺のこと好きですよね?」
「どうだろうな。それより、サユハの奴を追うぜ。レロイ、行くぞ」
「承知した」
「旦那ぁ…旦那までそんな寂しいこと言わないでくださいよ」
俺たち三人はすでに小さくなったサユハの後ろ姿を追うようにして、歩きだした。
サユハと合流してから、どれくらい歩いただろうか。ある程度歩けば、すぐに俺たちの目的地、連支塔が見えてきた。
連支塔は隣あった二つの塔が内側に傾いていて、その頂上が支え合うように接している。二つの塔の高さは空にかかるか、かからないか程の高さを誇っていた。周りには木一つないからなのか、その存在感は異質さを感じさせる。
俺たちは連支塔の元まで歩を進めた。レロイは連支塔を感心しながら見上げていた。
「これが連支塔というものか」
「着いたな。じゃあ、どうやって分けようか?」
「そうですね。オイラはどうでもいいですよ」
サユハは俺とゼイラの会話を聞いて、首を傾げた。
「…?なんの話してるの?」
「あぁ、誰がどっちの塔を登るかを決める話です」
「あんたには聞いてない!」
サユハはゼイラの返答にすぐに表情を怒りに染めた。
「旦那、サユハさんが俺のこと毛嫌いするんですけど…」
「リャクト、なんで二手に別れる必要があるのよ?」
「そんなの、この塔が二つあるから二手に別れるに決まってるだろ」
ゼイラは俺に無視されたことに落ち込んだのか、俯いている。
「そっか。でも、絶ッッ対この人だけは嫌だから!!」
サユハは力を、いや、怒りを込めてゼイラを指差した。
「わかった。だったら、俺とゼイラでサユハとレロイでいいだろ?」
さっきまで怒りの色を見せていたサユハの表情が一変した。
「うん!レロイ君、よろしくね」
サユハはレロイに駆け寄り、レロイの腕に自分の腕を絡ませた。
「レロイもそれでいいだろ?」
「承知した」
「じゃあゼイラ、行くぜ」
「わかりました…」
その場に二人を残し、未だに落ち込んだままのゼイラを連れて俺は左の塔に歩を進め、入った。塔の内部は何一つなく、ただ入口の対角線に階段があるだけだった。
その中心に意外な人物が二人、佇んでいた。
「あれは…」




