大鎌男と露出女
「あーあ、リャクトもあんな言い方しなくてもいいのに…リャクトなんて大ッッ嫌い!」
サユハは人影のない闇に包まれた街をただあてもなく、彷徨い歩いていた。そんな寝静まった街を二人組の男女が歩いてきた。
一人は頭を覆い尽くす青いバンダナを巻いて背中に大鎌を携えている男だ。もう一人の女は露出度の高い服を着こなし、腰まである長い茶髪を二つに縛っている。
「ねぇ、なんで私までかり出されなきゃいけないの?せっかく、ゆっくり休みを楽しんでたのにぃ」
「俺に言うなよ。文句を言うならあいつに言ってくれ」
「わかってるぅ!でもさ、かり出されるだけならいいけど、なんでラディムと一緒なのぉ?それが納得できないぃ」
「俺じゃ不満か?」
「別にラディムが嫌いな訳じゃないんだけどさ、あんたと一緒だったら仕事が楽しくないからぁ」
「仕事は楽しむものじゃないだろ」
「そうだけどさぁ…どうせするなら少しは楽しみたいじゃん」
二人とサユハがすれ違い、サユハはそんな二人をなんとなく見つめていた。
「なんだろ?あの人たち…こんな時間に…」
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宿で朝を迎えたが、サユハは戻ってこなかった。
「どうするのか、お主の話を聞きたいのだが…」
「俺の考えとしては星敬祭に展示されるのだけは避けたい。だから狙うとしたらここに運び込む時だな」
「では、二日後になるのだな」
「そういうことになるな」
レロイは俺の言葉の終わりを待たずに部屋の扉に手を掛けた。
「私はサユハを探しに行かせてもらおう」
「あぁ、勝手にしろ。サユハを見付けたらいつまでもいじけてないでさっさと帰ってこいって伝えてくれないか?あいつに面倒起こされるとこっちまで迷惑するからな」
「承知した」
レロイは部屋を出ていき、俺はその背中を見送った。