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観察しよう

前回のあらすじ、俺の同種の一団を見つけました。

 

 いやー、仲間がいるって良いなぁ。

 一人じゃないってだけでもイイ。寂しくないしな。

 一人でさまよい続けたほぼ一ヶ月前とは違うぜ。安心感がパネェ。

 というか俺ほんとに一人でよく無事だったな。いや、無事ではなかったか、海流痛かったし。

 

 そんなこんなで今俺は俺の同種、プラクティアの一団にいる。

 プラクティアの生態ってのが気になって今ついてってます。

 

 それにしてもプラクティアって言うのはなかなか謎の深い生き物ってのがわかった。

 体長は平均でだいたい0.3mmくらいとなかなか大きめ。(【図書館】がはかってくれた。)

 いつも集団行動で動いてるっぽい。

 みんなで休んでみんなで進む。そんな感じで移動をしているようだ。

 んでもってそれを統括してるリーダー格がいるのかと思ったけど見た感じそんなやつはいない。

 どうやって集団行動してるんだろうな?

 

 そう思ったのが伝わったのか【図書館】が検索してくれた。

 なんかこのスキル自律してない?

 意思干渉系スキルなのかな?

 わからんわい。

 

 【図書館】からの情報をざっくり説明するとこんな感じ。

 

 ・プラクティアは元々一体の個体から分裂していって増える個体。

 ・元々一体の個体なのでこの集団が一つの生物みたいなもの。(あくまでみたいなものであり、厳密には違う)

 

 とのことらしい。

 なるほど、これは分裂個体の集合体だったわけだ。

 じゃあ俺も分裂できんのかなぁ。

 やりたくはないけど。だって痛そうだし。

 まぁこの量だとオリジナルがどれかなんざ分からんわな。

 

 

 

 プラクティア研究に急な壁が立ちはだかった。

 俺はこれが一番知りたかった。

 しかし、分からないのだ・・・。

 

 プラクティアは何食べてるかわからない。

 

 正直なところこれが一番知りたい。

 というか俺プランクトンになってから何も食してない。ほぼほぼ一ヶ月経つのに。

 死んでないのが不思議。

 しかしどうも一般プラクティアも何も食べてない様子。

 わっかんねー。

 ・・・。

 しゃーねーな、検索するか。

 というかプラクティアの生態について全部検索すればよかったんじゃねーのか?

 ・・・いや、まぁ実際目で見ることって重要だからね!

 思いつかなかったわけじゃないからね!

 

 はい、言い訳乙。

 じゃあ検索するか。

 【図書館】起動!

 

 『プラクティアの食べ物について検索します・・・・・・検索完了、結果を表示します。』

 

 んで、出てきた情報まとめるとこんな感じ。

 

 ・プラクティアは食べ物を食べない。

 ・海水と一緒に勝手に栄養分を吸収するので何も食べる必要は無い。

 

 とのことで。

 なるほど、食べる必要のないからだか。

 ・・・うーん、なんかちょっと残念。

 食べる楽しみがないのはちょっと困る。

 今度進化した時は味覚があるといいなぁ・・・。いや、その前に食べることの出来る体になれるかどうかだな。

 ちょっぴり悲しい事実を知った俺なのであった。

 

 

 

 

 

 プラクティアと過ごして1週間たった。俺もだいぶ馴染めた。

 この群れが一つの生物のようであっても本当に一つの生物では無いので、プラクティア一体一体にも性格や個性はある。

 

 例えばコイツ。

 ちょっと触手が他より短め。色は他のとおんなじ不透明。若干目がつり上がってる・・・ぽい?

 んでもって俺にめっちゃ突っかかってくる。

 ちょっとプラクティアに近づいたら威嚇っぽいことされた。変化を使って触手を尖ったものにしてきたことから警戒してるっぽい。

 まぁこの群れにとって俺は不純物だからなぁ・・・。

 こいつの事は最近「ムカ」と呼んでいる。だっていっつも突っかかってくるし。ムカつくしー。

 

 他にもいる。

 あいつはムカと逆でめちゃめちゃ懐っこい。

 俺はあいつを「ピヨ」とと呼んでる。

 ピヨは一人でいる俺を見つけるとじゃれついてくる。

 遊び相手が欲しいのかなぁ。

 と言いつつ遊んでる。だって俺観察以外することないし。

ピヨは変化が得意で遊ぶ時は触手をいろんな形にして遊んでくる。

 ぐおっと大きく広げて俺を捕まえたり、網上にして俺を捕らえたり、ほそーく伸ばして俺をぐるぐるに縛ったり。

 ・・・あれ?俺遊んでるの?

 捕まってる記憶ばっか出てくるのはなんでだろう。

 でもすぐ離してくれるしピヨは遊んでるつもりなんだろう。

 まぁそんな感じで遊んでる。

 たまにムカに見つかって追いかけられるけど。

 

 ムカとピヨとはよく遊んでる(?)が別に他のプラクティアとも交流していない訳では無い。

 たくさんのプラクティアと交流している。

 みんな俺に仲良くしてくれている。ムカは別だけど。

 もしかしたらプラクティアは同族にとても友好的な種族なのかもしれない。

 それは、嬉しい。

 俺は本当のプラクティア種じゃないけども本当のプラクティアになった気がした。

 元の世界の、いわゆる家族的な繋がりをプラクティアに感じ始めていた。

 

 そんな感じで俺は同族のプラクティアと楽しく、本当に楽しく過ごしていた。

 

 

 

 

 

 幸せとは長くは続かない。

 別れはやってくる。

 

 それは俺がプラクティアの一団とあって一ヶ月たった頃のことだった。

 悲劇は訪れる。

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