転生先は・・・?
前回のあらすじ
俺、異世界に転生するってよ
・・・マジかー・・・。
いや、薄々嫌な予感はしてた。ここに連れてこられてこんな怪しい説明受けてたら嫌な予感の一つや三つ出て来るっつーの。
・・・・・・・・・しゃーね、諦めよう。
未練がないといえば嘘になる。家族のこととか気になるしね。
でも今更喚いて騒いで泣いたところでどうにもならないだろう。もう20歳だ、割り切れる。いや、割り切っちゃいけないのかな?
でもまぁいいさ。
なにせ死んでるんだから。
じゃあ割り切って次の人生楽しもう。
そっちの方が気が楽だ。
アロニスはニコニコしながら反応を待ってる。
こんにゃろー、驚きはしたけどもう俺は大丈夫だっつーの。ここは普通に対応してやる。
「なるほど、それは仕方ないですね。」
「あれ?さっきまで顔が百面相してて面白かったのに。」
コイツ1回殴ろうかなー。
「まぁ何にせよ納得してくれたのはありがたいよ。喚かれてもこればっかりはどうしようもないんだ。ごめんね。」
うん、まぁそうだろ。あっちも仕事なんだしな。
「じゃあ話の続きをしようか。
次は異常者の話をしよう。」
お、遂にその話か。
なぜ美人職員さんがすっ飛んでったのか気になってたし。割り切ってきてからはちょっぴりワクワクしてきた。
俺がワクワクしてる反面アロニスは急に真面目な雰囲気をまとって話し始めた。
「異常者って言うのはその名の通り異常な者だ。
通常死した者は死んだ後に死後の世界 お迎え局の職員が魂を回収し、転生局に連れてくるんだ。
そう、連れてくるのは魂だけなんだよ。死んだ者を見つけたらお迎え局の職員が魂を肉体から切り離す、その時同時に記憶も魂から切り離される。
ここらで異常者がなにか分かってきたんじゃないかな?
つまりさ、キミみたいに自分の記憶を持った魂なんてここにはいるはずがないんだよ。」
なるほどそういう事か。
つまり俺は記憶持ちの魂、普通は生まれるはずのない異常ってことなのか。
まぁいつもどおり心当たりなんざございません。
「理解してくれたかな?
だからこの娘、アシュフラクト、アシュリーもびっくりしたってワケ。」
おおー、美人職員さんの名前ついに判明。
アシュリーさんね、覚えた。
いつかデートしましょう。
「あ、アシュリーはここの副局長だからめちゃくちゃ強いよ?不用意に手を出したら魂ごと粉砕されて存在なくなるからね。」
先手を打たれちゃいました。
可愛い顔してるのになー。怖いのかー。でも諦めない。
「あと言い忘れてたけどキミは異常者であるが故にボクらと話したりできてる。キミ自身は自分の世界の言語を喋ってるつもりだろうけどね。」
まぁ今更そんな話はどうでもいい。
問題はこれからだ。
俺は異常者としてどういう処分を受けるかという事だよ。
最悪魂に関わるからな。
「で、俺は異常者ってのは分かりました。
それで、俺の処遇はどうなるんですか?
記憶とか切り取られちゃうんですか?」
そう言うとアロニスはちょっと悩んで答えた。
「あー、うーん、まぁいいんじゃない?このまま転生しちゃって。記憶あっても行くとこによっては無駄になっちゃうし。」
「局長!!」
「いいよ、アシュリー、異常者の処遇は局長に一任するって言われてるし。」
アシュリーさんはどうやら俺のこのままの転生には反対らしい。でもアロニスはそのままで転生させるつもりようだ。
俺的には記憶は欲しいなぁ。
「大丈夫だって彼ならさ、どの世界に行ってもね。それに・・・」
「ところで!俺はどこの世界に転生させられるんですか?」
なんかアレだったんで口を挟みました。
喧嘩しそうだったし。オレケンカキライ。
・・・でもどこに転生するのかワクワクしてて我慢出来なかったってのもある。
反省はしていない。
「ああ、気になってるだろうね。それじゃあ決めちゃおうか。
アシュリー、場所どこが空いてる?」
「今は第865室が空いてます。」
「おっけー、じゃあ転生先決めに行こうか。」
そう言ってアロニスは俺とアシュリーさんを連れて部屋を出た。
暫く歩いた。とっても歩いた。でも魂だからか全然疲れなかった。
上行ったり下行ったり横行ったり斜め行ったりと歩いた。どんだけ広いんだここは。
道中アロニスがちょっとだけ説明してくれた。
「この世にはたくさんの世界があるって言ったよね?ホントに世界は沢山あってボクらにも把握出来てないところもあるくらいさ。で、その中の一つにランダムに転生させられるんだよ。いい世界に行けるといいね。」
「いい世界って・・・悪い世界もあるんですか?」
「そりゃもちろんあるさ。こわーい世界もね。でもその中でも一番の最悪の世界がある。ボクらが把握してる中でも最悪の世界、通称“黒の庭”、そこだけはヤバいよ。」
「黒の庭?えっと・・・どうヤバイんですか?」
「なんでもありなのさ。キミの常識の外のものは数え切れないほどある。何が起こるかわからない。なんでもありってのはそういう事さ。なんでもありこそ怖いものは無い。だってなんでもありは自分の想像と予想を軽く飛び越えていくからね。」
なんでもありの世界、黒の庭か・・・。
なるほど話を聞いてる限り怖そうなところだ。
・・・まぁ無数にある世界のうちの一つだし?行くとは決まってないし?大丈夫だし?
そこ、フラグとか言わない。
「まぁ無数にある世界のうちの一つだし、行くと決まってないし大丈夫大丈夫、心配しないでよ。」
アロニスも同じこと考えてたらしい。
表情的にアシュリーさんもそんな感じ。
・・・・・・だからフラグじゃないから!!
ホントに建設されちゃうから!!!
そんなこんなでつきましたるは第865室。
扉を開けると俺を待っていたのは・・・
大きな福引のガラガラだった。
・・・リアクションに困る。
というか転生先アレで決めんのかよ。
福引じゃねーんだよ。金色当てたらハワイに転生させてくれんのか?
ボケーッと見てるとアロニスがなにか渡してきた。
「これスイッチね。
これを押したら転生先決定装置が動いて君の転生先が決まる。
まぁ気楽に押しちゃえ押しちゃえ!」
そんなこんなでスイッチを渡される。
サクサク進むなぁ。
一応俺の転生先決めるんだよね?こんな軽くていいの?
でも押しちゃう。かるーく。
いい世界に行けますように!
ガラガラガラガラ・・・
福引のガラガラが回る回る。
そしてリンゴくらいの大きさのたまが出てきた。
コロン、カラカラ・・・
アロニスが確認しに行った。
さぁ!どこなんだ?!
「・・・ねぇアシュリー。これってさぁ・・・僕のせいかな?」
アシュリーは呼ばれてアロニスの傍に。
なんだ何だ?
「・・・これは・・・!」
なんだよ怖いなぁ。でもこの感じ知ってるぞ、ヤバイやつじゃないかな。
嫌な予感を抱えつつ俺もつられて見に行く。
そこのボールに書いてあった文字は俺の思考を停止させるには十分な力を持っていた。
“黒の庭”
フラグ回収おめでとうございます。
ぎゃあ。
なかなか転生しないですね^^;
あと1話くらい転生局にはいるんじゃないかな?