局長室
前回のあらすじ、俺、日本語喋ったらやばそうなとこに連れてかれた。ってあらすじみたいに振り返ったけど現実は変わらなかった。
目の前にあるドアのプレートには相も変わらず「局長室」の文字。
どないしよか。
なんかここのトップっぽい所に連れてこられたんだが何故なのだろう。
俺がやったことがなにか不味かったのだろうか。うーん、心当たりはない。日本語は多分大丈夫だろう。だって美人職員さん喋ってたし。はっ、まさか、あの美人職員さんに話しかけたからか?!実はあの美人職員さんは転生局の局長の娘で話しかけられたのがキモかったからお父さんに報告、おうなにしとんじゃワレェ的なことをするために連れてこられたのでは?!まっずいなぁ・・・。下心は少ししかなかったんです!
とまぁこんな感じで悶々と考えていると美人職員さんがドアをノックしてしまった。
コンコン
「局長、例の異常者を連れてきました。」
「どうぞ、開いていますよ」
ドアをガチャリと開ける美人職員さん。
あー、局長さん話したらわかってくれるかなぁ・・・。
ドアが開かれて目に入って来たのはまたまっ白い部屋だった。そしていくつものクラッカーを構えている白い服きた男性。
ぱん!ぱんぱん!
「ようこそ〜!死後の世界、転生局へ!この度はご愁傷様でした〜!どう?ここ?真っ白でしょ?いやー、目がチカチカして困っちゃうよね〜。あ、いーよそこのソファに座ってよ。今飲み物出すからさ!いやー久々のお客さんだよ!ここ全然お客来なくってさー。来るのは仕事関係の人ばっかりで!面白くないんだよ〜!それからそれから・・・・・・」
話通じそうになかったわ。だめだ。
矢継ぎ早に言葉が飛んでくる。テンションたっけえなぁ。俺があのテンションでいたら1分も持たない。断言出来る。そんなレベルで高すぎる。
呆気にとられてると、美人職員さんがソファに座るように促してくる。
美人職員さん動じてない。
マジか・・・あのハイテンションは普通なのか・・・。
それがここの局長との出会いだった。
飲み物が出されて少し一息つけた。出された飲み物は無色透明。でも味はある。でもでも味は表現しづらい味だった。甘いのか酸っぱいのか渋いのか辛いのか分からない、それが率直な意見だった。まぁ俺は好きだけどさ。
あの歓待ぶりからおうなにしとんじゃワレェはないと考えられるな。安心安心。でもそれ以上にこのシチュエーションには安心感は得られない。怖ーよこの人。今も黙っちゃいるがニコニコこっち見てるし!キモいわ!
不審な視線を感じたのか例の白い服の男が話し始めた。
「そろそろ話をしようかな。まずは自己紹介といこう。ボクはここ、転生局の局長をやっている者だよ。名前はサドゥリグ・ベロニア・アロニス。まぁ長いし気軽にアロニスって呼んでくれて構わないよ、星川真琴さん?」
おおっと。俺の名前を知ってるのか。
でもこんな胡散臭いヤツ生前にあったことないし見たこともない。そもそも転生局など知らない。記憶をたどってみても検索エラー。結論、アロニスなんてやつ知らない。なんで俺の名前知ってんだよ?
そんな考えが顔に出てたのだろうか、アロニスは苦笑しながら答えた。
「あぁ、なぜ名前を知ってるんだ、みたいな顔したね。それはね、ここのお仕事に関係してるんだよ。そしてそれを説明するためにここに連れてきてもらったんだよ。」
・・・・・・?
仕事説明だけのために連れてこられたのか俺?
よく分からんな。つーか最初のハイテンションどうしたよ。あれか、今は仕事モードってわけか。メリハリがついていて大変よろしい(教育学部的思考)。
でもおかしいだろ普通に考えて。説明するだけなら他の奴らはどうなっている。明らかに説明を受けたという感じはしていなかった。むしろ何もされていないという感じだった。そしてここに入る前に美人職員さんが言ってた言葉。異常者。ここが関係しているようだな。
・・・切り込んでみるか。
「その説明ってもしかしてさっき言ってたイレギュラーってヤツに関係してるんですか?」
そう言うとアロニスは露骨に驚いた。
「おっと、正解。見かけによらずキミは頭の回転が早いようだね。」
なんだよ見かけによらずって。
俺だって頭いいよーだ!
ま、生前の成績は中の下くらいだったんだけどね。それはヒミツ。
「じゃあ異常者のことも含めて説明しようか。
まずここは死後の世界だ。つまり死んだ後の世界。キミも死んだんだろ?確かー、トラックにはねられたんだっけ。それで死んだからキミはここ死後の世界に来たんだよ。
そしてここは死後の世界のうちの転生局。あらゆる世界の魂の転生を扱っているところになる。死んだ魂は一度ここに来て、転生局を経由してから転生し、新たな生を受けて誕生する。ここまではいいかな?
因みに世界と言ってもキミの世界のことだけじゃないよ。この世界を含めて世界は数え切れないほどある。キミの人間が栄えた世界を始め魚の世界、獣の世界、機械の世界、はてまて剣と剣の世界だとかまぁいろんな世界があるのさ。
ビックリだろ?そんな全ての世界の転生をになってるのがここ転生局。すごい所だよここ実は。」
うーむ。
頭が追いつかぬ。
つまりはいろんな世界の死んだ魂がここに来て転生して行くという事か。で、世界は俺の知ってる世界だけじゃないということか。なるほど、だからあんな魔王みたいな外見の人とか黒いオーラの生物とかいたのか。納得納得。でも現実離れしすぎて怖いな。
「で、普通は転生は死んだ魂の元の世界に転生するんだけど、世界のバランスを保つために稀に異世界に転生させることがあるの。生物数が少なすぎるところに転生させたりしてバランスを保つわけね。それに選ばれた魂にはタグと呼ばれるものがついているんだけど星川真琴くん、キミの魂にはタグが付いていた。
つまりはキミの転生先は異世界になります。おめでとう!!」
・・・はぁ?
待って、今なんつった?
「キミの転生先は異世界です。」
え?嘘でしょ?嘘だと言ってくれよ。
「まだ聞き足りない?
キミの転生先は!なんと!君の元いた世界と違う世界、つまりは異世界です!」
はぁー!?