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波動の龍者  作者: ケイマ
第1章
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近くの森にて


あれから数日。王都の使者は無事に王都へ帰っていった。滞在期間はちょうど一週間ほどであった。零断はその一週間の中で、波動を使うことはできなかった。この引きこもり生活で身についたものはもともと使えた雷魔法を上達させたことくらいだ。まぁ実際それでもそうとうすごいんだが。まさに自分で

『ピ○チュウ!10万ボルト!』

という感じで出せるくらいだ。身体強化は完璧だ。すべての筋肉に対して適量を調べその量を流す癖をつけた。ここはウィリアムの教えだ。そういう反復練習のコツを教えてくれた。流石老師。そして、あと、一つ高速移動手段を思いついた。まさに高速なので外でしかできなくて、試しもできていないが。

というわけで、1週間ぶりのグレンとの剣闘。予想通り完敗だった。一度癖で身体強化を使ってしまい、グレンをふっ飛ばしたが、そこはおいておこう。筋トレとかは多少やっていたが、本当に1週間動かしていないと勘も動きも鈍ってしまう。そう実感したのであった。

次にウィリアムに作ってもらった剣だが、これも問題なく完成した。相当レアな鉱石を使ったのと、ウィリアムにとってもここ最近の中で比べ物にならないほどの傑作らしい。剣から魔力を感じる。ちなみに、魔力を出しているだけだと何かと面倒なので特製の鞘で、その魔力は抑えている。ちなみに、その剣から出る魔力は零断とほぼ同じで、周りの魔力を変換してるので基本無限だ。そして、零断以外の人が振ろうとすると暴走する。まさに認めた相手以外には従わないと言っているようだ。剣の色は刃の部分は黒く、刃のない場所は赤黒くなっていて、刃に近づくにつれて黒くなっていっている。持ち手も黒。


名前は零断が決める事になっているが、零断は自分でもネーミングセンスがナッシングということに気づいているので、なにかひらめくまでは『俺の剣』と呼ぶことにしている。けど、可哀想とは思っているようだ。早々名前をつけようと思っているようだ。

そして今日。その剣で試し切りをしたいという零断の要望でグレンと零断は近くの森にきている。ちなみに、零断がテニラ村から出るのは初めてである。そして、今から向かう森はテニラ村の普通の兵士が一対一で戦っても勝てない相手がうじゃうじゃいるところだ。ちなみにグレンにかかればこの程度なら瞬殺である。初めての村の外。それがすごく物騒な場所で零断はドキドキと不安が混ざり合った複雑な気持ちだった。

「グレン、もうそろそろ魔物が出てくる頃合いか?」

「ああ。そうだな。まぁ、この森は大きな魔物しか出てこないから不意打ちはないと思ってくれ。まぁ、その分普通よりは強いがな。」

「お、噂をすればあそこに変な…気持ち悪い奴がいる…」

それは、でっかいミミズだった。しかも緑色。約20メートル位だ。

「あーあれか。あれはフォレストワーム。森ならあいつはどこにでもいるぞ。特に技は持ってないが、でかい奴なら力が強くて、小さければ弱い。まぁ、正直雑魚という方が速い。ほら、殺ってこい。」

結構しっかりと説明をしたあとから零断を急かしてくる。今の距離は10メートルほどだ。

「了解!初戦闘だ!気合入れて行くぜ!"ブースト"」

"ブースト"は身体強化のコマンドである。この言葉を呟けば全身に身体強化がかかる。

零断は走り出してから瞬間的にフォレストワームとの距離を詰め、すれ違う際に斜め上から振り落とす。すると、スパッと気持ちよく切れ、フォレストワームは真っ二つになり、変な液体を噴出していた。

「おおー。さすがやるな。ちなみに俺らの傭兵隊はこいつ一体倒せるか倒せないかくらいだ。結構強いんだぞ?」

「へぇ、まぁ、多分俺が規格外なんだろ。個人職持ちだし。」

「だな。というか、俺達な」

「ああ。そうだな。」

自慢しているかしてないのかわからない零断の口調に苦笑しながらグレンが突っ込む。そして、その言葉を聞いた零断も少し笑い、肯定する。なんというか、いい雰囲気だ。

その後、魔石のとり方をグレンに教わる。

魔石とは、通常魔道具などに使う魔力が入った石のことである。この石が入ってるか入っていないかで魔物と動物がわけられる。魔石が良ければよいほど高レベルな魔物である。ちなみに、フォレストワームは結構高く売れる。強さをSABCDEFで分けるとCランクだ。普通は数名が囲んで倒すレベルだ。二人は異常である。

その後、森にズバズバ入っていく二人。零断は感覚的に歩いているだけだが、グレンはその危険性を知っていて入っている。この森は魔物のレベルが高く、あまり攻略されていない。だから、グレンは攻略したいのだろう。ここまで順調に入れたことが無かったので尚更かもしれない。

と、ふとグレンが急に立ち止まり、後ろに続いていた零断とぶつかる。

「うお、どうしたグレン?何か変化があったのか?」

「いや、違う。その逆だ。いつもこの辺に来るとどんどん魔物が多くなってくるはずなんだ。それなのに今日は全く襲ってこない。」

「………俺はいつもがどんな感じかを知らないからなんとも言えないな。引き返すか?」

「いや、進もう。森で何かあって村に危害が及ぶと面倒だしな。」

「了解だ。気を引き締めていこう。」

二人はさっきとは違う雰囲気になり、表情も真剣そのものだ。それから前へ歩いて行く。


ーーーーーーーーーーーーー


その後、30分ほど歩いたところで一旦休憩をすることになった。グレンの予感では

【もうそろそろ何かが起こる気がする】

らしい。時々こういう感覚が来て助けられたことがあるらしい。

ただの勘違いだったこともあるらしいが。

ともかくそこら辺に座り、セリアに持たされた弁当を開く二人。その中身は簡単に言うと塩抜き海苔抜きのおにぎりだ。保存状態の良い葉に包んである。二人とも4つずつだ。色んなところで似た物同士のようだ。

やはり、男同士二人でいるときは男の会話をする。と言ってもそんなえっちぃことではなく、グレンが前々から気になっていた地球についてだ。少し話し始めるとついつい熱中してしまい、小一時間ほど話してしまった。くだらんことから意外と大事なところまで。

「というと、零断のいた地球は一人の男に一人の女だったわけか。」

「ああ。そういうことだ。というか、この話結構熱心に聞いていたが、何かあるのか?」

「いや、そんな大きなことではない………俺ももうそろそろ相手が欲しいなぁってだけだ………」

「いや、まだ25だろ?まだまだ行けるさ。」

「は?何言ってんだ?25で結婚してない奴なんて超珍しいぞ。」

「えぇ?!まじか!ちなみに、平均何歳で結構してるんだ?」

「結婚が許されるのが15歳だからな。基本18では結婚してるな。王都とか人がいっぱいいるところでは一人の男に何人もの女がいることが多い。まぁ女のほうが人数が多いしな。はぁぁぁ………それなのになぜ俺には相手が見つからないのやら。」

「仕事熱心すぎるんだよ。となり町にでも行って恋愛してこい。ん?18ってことはセリアはもう相手が決まってるのか?」

「それが決まってないんだよ。マジで俺の血筋大丈夫か?俺はどうやって生まれてきたんだ?って位だ。それはそうと、零断。セリアのことが気になるのか?お?狙ってるのか?」

「いやいや、それはないなぁ。地球では早いんだけど、もう誓った人がいるからなぁ。と言っても結婚はできないし、ただただ付き合っていただけだけど。まぁ、日の大半は"彼女"と過ごしていたな………あいつ、今何やってるんだろうな………」

グレンと会話をしていたはずなのに"彼女"の事を考えたら一気に自分の思想に入ってしまった。

【まず、なぜ俺がここにいるか、だ。あまり深く考えてなかったし。まぁ全くわからないんだけどな。けど、俺も、"彼女"も"アイツ"も完璧に同じタイミングでログインしたんだ。この世界にきている可能性が高い。だから………」

「…ぃ ぉぃ、おい!零断!どうした?」

「うへぇ?!?!あ、ごめん!会話の途中だったな。つい、自分の思想に入ってたわ。」

「………まぁ、大切な人を残してきた可能性があるわけだしな。しょうがないさ。

もう結構休んだし問題ないだろ?もうそろそろ行くぞ。」

「ああ!了解した!」

二人はさらに深く森を歩いて行く。


ついに次本格的な戦いです!!

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