フワンの意識
遅くなりました!
夏休みも忙しいですね…いつ更新が戻るのだろうか…
「これは…」
「ここまでとは…」
零断達は目の前に広がっている光景に絶句する。
目の前には誰1人気配のない村がそこにあった。
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時は少しさかのぼる。
零段達は謎の病気の正体を知った村から何個かの村により、治し方やその道具を渡しながらその原因を確定させるために発症地の村へ向かった。
「ん?そろそろ村なんだよな?」
零段はある違和感を感じてクラウドに確認する。
『はい。それであっています。しかし…』
「クライドも気づいたか。」
『はい。』
「え、どういうこと?」
ユニには索敵能力できないので零段にどういうことかを聞く。
「あの村から人の気配がしない……いや、こういったほうがいいかもな。生きている人の気配がほとんどしない。」
「…え?」
その信じられない告白にユニ、創也、紫苑が固まる。
「つまり村人全員が……」
「死んでいる可能性があるだろうな。」
その言葉に3人は絶句する。
そして最初に戻る。
「感染し始めた場所だから、相当感染しているだろうと思っていたが、これほどまでとはな。」
「まさか村全員が全滅なんて…」
「しかもこれ最近のことじゃないぞ。」
「どういうことだ?」
「今メニューで状況を確認したんだが、ほとんどの死体はその状態になってから相当時間がたっている。この村が全滅したのは最近のことではないんだろう。一部の死体はその時期がばらばらのが多い。」
「つまり、村の人たちは早々全滅してしまい、その様子を見に来たのかどうかはわからないが、何らかの理由でこの村に来た人がばらばらに死んでいったというわけか。だが、それはおかしくないか?だってあの病気には即効性が・・・」
「ないんですよそれが。だからこの街に来た者はいちいち殺さないといけないんですよ~。」
「、っ!!」
零断が事件の考察をしているところに見知らぬ、いや、零断だけは知っている声が聞こえる。
「・・・その声、なんでお前がこんなことしているんだ。マサ2。」
「なぜといわれてもこれがやりたいことだからかな。そして久しいね、ゼロ君。」
「こんな再開は嫌だったけどな。」
零断は突然あらわれた人物と会話を始める。
また、創也はマサ2という名前を聞いて驚きを隠せない。
「おいおいマサ2だと?GFOで最高の薬師と言われたあのマサ2か!あったことあるけどこんなことする奴じゃなかったぞ。」
「ほうほう。その声は聞き覚えがありますね。たしか・・・そう!情報屋のエクスパージ君だよね?つまりその隣にいるのは占い師のシオン君だね?」
声だけでだれかをあてられた二人は驚いているが、零断はそんなことは気にせず剣を抜く。
それを見て、ユニやフワンも戦闘態勢に入る。
「話を聞こう。何が目的だ?」
零断の殺気も含んだ問いにマサ2はおどけた風に言葉を返す。
「いままでと変わらないよ。実験を繰り返しているだけ。この世界に来た頃は魔物を研究したいたけどもっと面白いものを見つけたからね。ずっとその研究をしたいるだけさ。」
「研究、ね。人の研究か?それは。」
マサ2は零断の質問を聞くとクックックと笑い出す。
「そうさ!人間というものは面白い!どの程度の苦痛によって死ぬのかや、どの程度の病気で死ぬのかが個体によってこれほど違う生物は非常に珍しい!実験したくなるのも仕方ないのだよ。そしてきみたちはいいところに来てくれた!特にゼロ君!私は今、上位の個体が欲しくてね。君をモルモットにさせてもらうよ!」
そういいながらマサ2は煙の出ている球をどこからか出して投げてくる。
「ユニ、障壁を。」
「大丈夫。もうやってる。」
ユニはその球から煙が出ないように球を囲むように障壁を作る。
「上位の存在が欲しければ自分を実験に使えばよかったじゃねぇか。」
零断はそう挑発しながら念話で指示を放つ。
《ユニはこのまま戦闘態勢。フワンは全身に雷をまとえ。それで煙に入ってる薬剤類を分解できる。あと創也と紫苑を馬車へ。》
《了解!(はい。)》
指示が終わるとほぼ同時にマサ2が声を出す。
「それはできないよ。わたしはもう人間ではなく 鬼 だからね!さて話はここまでだ。」
マサ2は話を切ると先ほどと同じものを数個出して投げて魔法を唱える。
零断はユニとともに球を対処し、次に備えながら考える。
【球を取り出しているのはおそらくアイテムボックス。だからあの球は封じるのは難しいな。あと、鬼、か・・・スカルプと同じだな。おそらくマサ2はもう狂ってる。まぁスカルプはもともとだったけど。】
「・・・すべてを刻み込め“ウィンドゴーマッド”」
マサ2が放った魔法は周りの建物もすべて粉々にする勢いの風を生み出す。
「“オーラ”」
「ヴァル。おねがい!」
「ワオーン!!!」
零断はオーラ、ユニは妖精化、風雅はフワンなどを守るために風で上え巻き上げる魔法を使う。
そこにマサ2は何らかの薬品が入った瓶を数本地面にたたきつけて割る。
何かが起こると思い風を防ぎながら待機していると後ろから悲鳴が聞こえる。
「え!なに、これ…体が勝手に!」
零断が振り向くとそこにはフワンを切ろうとしている紫苑と殴ろうとしている創也がいた。
零断が声を出そうとした直後に後ろからマサ2の気配が迫る。
「敵を前に振り替えるとは余裕だねっ!」
マサ2はクナイのようなものを両手に待って切り込んでくる。
零断はとっさに波動の障壁を張ってそれを躱して雷核を無詠唱で牽制する。
「ユニこっちはいい。紫苑の相手をしろ。殺すなよ。」
「了解」
その会話だけを交わせ零断はユニたちに向ける意識を切った。
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一方フワンのほう・・・
「、っ!“ムーブ”!!」
突然攻撃されたのにもかかわらず咄嗟に回避行動をとるフワン。
「なんでっ!!体が!!」
紫苑は自分の行動に驚き、どうにか抵抗しようとしているがなかなか難しいようだ。
一方創也は意識も失っているようで獣のように攻撃を放つ。
二人の攻撃をよけながら零断のほうを見るともう戦闘が始まっているようだった。そこにユニの声が聞こえる。
「創也さんをお願い!」
声と同時に紫苑をフワン、創也を分ける障壁と紫苑の意識を変えるための牽制攻撃がユニから放たれる。
「ユ、ユニちゃん!?!?」
という声と同時に紫苑の目標がユニに変わった。
ユニは紫苑を離れたところまで誘導する。
そしてその場にはフワンと創也が残された。
フワンは一度距離をとるために創也の拳を短剣でそらす。すると創也の拳は地面に突き刺さる。
バックステップをとりながら考えるフワン。
【力では全く歯が立ちませんならどうすればいいですか?ご主人…様は、今、いない…】
そう理解しただけで恐怖の感情が出てくる。
【これはどうしたらいいのでしょうか…教えてください…だれか…】
そう考えているうちに創也はすごい勢いで迫ってくる。
フワンは幼少期から一人で何もせず、できなかった。そして零断とであった。
零断はわからないことがあるとなんでも答えてくれた。だからフワンには自分で考える力が全くないのだ。普通考える力は幼少期に育つものだ。だがフワンにはそれがない。零断はユニにも同じように聞かれたことわできるだけこたえていた。それが普通だ。それで考える力がなくなるなんてことは普通ない。そう。フワンは普通はないのだ。
フワンはどうしようもなくひたすら攻撃をよけ続ける。しかし身体能力を底上げされたであろう創也にどんどん追いつめられる。
「ウゴアアアアアア!!!!!!」
「う、っ!!ぐぅ、、!!!!」
人の声には聞こえない咆哮を放ちながらフワンに拳をうちこむ。
フワンはその咆哮に一瞬動きを止めてえしまい、拳を食らう。
それだけでフワンは大きく吹っ飛ばされる。
【どうすれば、いいのですか…このままじゃご主人様の役に立てない…苦しみから助けてくれたのに、何も恩を返せてない…どうすればいいか、なんて、わからない…】
創也がフワンに迫る。
しかしフワンは動かない。否、うごけない。心も体も悲鳴を上げてしまっているから。
フワンは一歩一歩近づく足音を聞きながら涙を流す。
【どうすれば、どうすればいいのですか…】
《フワンの好きなのにしな。》
《なきたいときになけばいいんだよ。》
《この治療が終わればもう自由だぞ。》
《自分で思ったことをするんだ。それが人だよ。》
「自分で考えて・・・聞くんじゃなくて、私が、考えないと…」
過去に零断に言われたことを思い出し、一つの答えにたどり着く。
それは普通なことだが、それができない人がするのは難しい。
【自分で考える…そんなことが私にできるの…ちがう。できないんじゃなくて、やるんです!ご主人様の言う通り、やらなきゃいけないんです!】
この考えで再びフワンに力が戻る。
しかし、創也の拳はもう目の前まで来ている。
フワンは咄嗟の判断で地面に体を反発させてギリギリ回避する。
【このような回避の仕方もあるんですね。ほかにも、倒す方法があるはずです!力がだめなら魔法で!】
「雲を切り裂くいかずちよ!我が力に応じて解き放て!“ライトニング”!!!」
零断が簡単にしたライトニングの詠唱をフワンに教えていた。フワンが今放てる魔法で一番威力の強いこの魔法を創也に放つ。
空から巨大な雷が創也に落ちる。
ズドォォォォンン・・・・・・・!!!
盛大な音が鳴り響く。
雷が落ちた先には倒れた創也がいた。
「やり、ました……え、そ、それは…」
魔力欠乏で片膝をつきながら肩で息をしていると、創也がゆっくりと立ち上がる。
その顔はいかれた笑顔だった。
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一方ユニはてこずっていた。
「くぅー攻撃は全然よけれるし、つらい戦闘ではないんだけどここまで全部よけられるとムラムラ?ムカムカしてくるなー」
「な、なんでそんなに冷静なの?」
「何でと言われても、強敵といえるまで強くないからかな。確かに攻撃はすべて当たらないけど紫苑ちゃんの攻撃は目をつむってもよけられるしね。後、倒そうと思えばよけられない攻撃をすればいいだけだし。」
ユニの絶対的な余裕に体を操られて混乱していた紫苑の心も冷静になってくる。
「けどこのままはいけないな~どうするかな…あ、もしかして!」
何かを思いついたようで紫苑の地面に魔法を放つ。
「“ホーリースピア”」
無詠唱で大量のホーリースピアを地面に突き刺す。
これは時間稼ぎのようだ。
「さすがにこれは使い慣れてないから詠唱がないとね。『光り輝く聖なる因子よ。かの者の呪縛を解き放て。“ディスペル”』…紫苑ちゃん大丈夫?」
ディスペルをうけた紫苑の体にはユニの魔法から出てきた光に飲まれる。
そして光が収まると力が抜けたように膝をつく。
「か、体が動く…動くよ!ユニちゃんありがとう!!!」
「元に戻ってよかったよ!創也さんにもディスペルしないと!紫苑ちゃんいこ!」
「うん!」
そこに空気をも揺らす音が襲ってくる。
「きゃっ!っと、これはフワンちゃんのライトニングだね。急がないと!紫苑ちゃん行ける?」
「う、うん。少しびっくりしただけ。はやくいこう!」
二人は速足で音のした方向に走っていった。