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波動の龍者  作者: ケイマ
第3章
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謎の病気の正体

長らくお待たせいたしました。

まさかの2ヶ月も更新しないとは自分でも思っていませんでした…

これからもなるべく早く更新したいですが、次回更新も未定です。

創也と紫苑の村を出て、半日ほどで少し大きめの村に着いた。

いや、村というよりは街と言ってもいいくらいの大きさだ。


「……距離は少ししか変わってないのにこんな人数…」


ユニが驚きの声を上げる。

村長に事情を話して通してもらった場所には20人を超える人が横たわっていた。


「…人数がいきなり増えたな。創也。どうすればいいかわかったか?」


手元を動かして何もない空間に集中している創也。

おそらくメニューを使って色々調べているのだろう。

創也は目線を外さずに答える。


「おそらくだけど、ある程度強い魔物の魔石をすり潰して緑膜草をすり潰したものと混ぜ合わせれば溢れ出た魔力を抑えられるようになると思う。そこからは何もしなくて大丈夫だと思うよ。数ヶ月にかけて体の魔力が放出してしまうけど、だんだんと放出する量が減っていっていずれ今まで通りになるから。他に方法はあるけど、ここらへんの村では集まらない素材ばかりだからこの方法が一番現実的だな。」


「緑膜草ならばこの村で生産しています!ま、孫は助かるんですね!」


「はい。しかし、最低でもCランク以上の魔物じゃないといけないのでそれをどのくらいで集められるか…」


「それに関しては問題ない。俺がある程度持ってる。」


「「え?」」


零断が大量に持っていると言った瞬間、2人が零断の方を向く。


「そんな期待しないでくれ。あまり量はない。500個くらいしかないから全員を助けられるかどうか…」


「…ちなみにランクの比率を教えてくれるか?」


零断は正直に答える。


「Cランクが200個、Bランクが200、Aランクが100個くらいかな。」


「ランクが高ければ高いほど何人も助けられる。Cランクですら一個で5人は助けられるのにAランクだったら50人いけるぞ。」


「なら大丈夫か。とりあえずこの村にはこの後になる可能性も考えてAランクを2つぐらい渡せばいいか。」


零断はアイテムボックスからAランクの魔石を取り出す。

零断がなぜこんなに高ランクの魔石を持っているかというと、帝国と王国の間にある山脈にいる時、戦闘訓練としてAランクの魔物を索敵して倒しまくってたからである。

幸いなことに山脈の上層にらAランクがゴロゴロいるので全く問題がなかった。

C、Bランクの魔物は風雅が勝手に倒した時に魔石を持ってきたものである。

本来ならばもっと多く倒しているはずだが、魔石を狙い撃って倒したり、大技でぶっ放したり、風雅自身が食べたりもしているので数が少なくなっている。

ちなみに魔物が魔石を食べると魔力が回復する。


「Aランクの魔石…売れば何円になるのだろう…」


「あ、売らないでくださいね?俺は人を助けるためにAランクの魔石という大きなものを渡しているわけですから、それ以外の目的に使うのならばこの魔石は回収します。」


創也の呟きが聞こえた零断は村長に先に釘を刺しておく。


「当然、治療のために使わせてもらいます。本当にありがとうございます。」


村長はもともと売る考えがなかったような反応をする。

その反応に安心した零断は次の行動へ移す。


「それで、感染経路とか、そこらへんはわかるか?」


「それがわかれば簡単なんだけどな。まぁ、感染する理由はわかったぞ。」


「それだけでもわかれば十分さ。」


「まぁ確かに。んで、その感染方法というと、俺も聞いたことない『魔力感染』っていう方法だ。」


「魔力感染?聞いたことないですね。どのようなものなんですか?」


今まで黙っていたユニが会話に参加する。


「すごい不思議な感染方法だよ。感染した人の魔力を浴びると感染する可能性がある。」


「た、確かに最近町に魔物が攻めてきました。そしてその時…」


「感染元の方角から来た冒険者に助けてもらった。ってことか?」


創也が村長の言葉を遮って結論を言う。


「…はい。」


村長が複雑な表情で頷く。

冒険者が来てなければ魔物に蹂躙されていたし、助けてもらった現在はその助けてもらったのが原因で多くの人が苦しんでいる。

村長の身からしたらすごく複雑なのだろう。


「日常的に村間を移動するし、魔法も普通に使う。そして、使えば使うほど感染者を増やすってことか。創也、3つ質問いいか?」


「俺が答えられることなら。」


「ああ。わかる範囲でいい。まず、薬を使った人が魔法を使ったら感染するのか?」


「……ああ。薬を服用してから一ヶ月はだめだろうな。まずまず魔力を使うときに少し効果の変わった魔力も輩出してしまうみたいなんだよ。また、魔力を放出することで魔力の効果を変えているみたいなんだ。だから魔力を放出し無くなれば効果を変えられることはないし、効果の変わった魔力はもともと人間が持つ魔力ではないから次第に消えていく。そして、その元に戻るまでの期間が約3週間。だから、大目に見て1ヶ月は使わない方がいいってことだ。」


「つまり、魔力の放出を抑えて1ヶ月で感染せずに魔法を使うことができるってことだよね?」


「そういうことだ。」


零断はわかったようだが、村長などの周りにいる人が理解できなかったようだったからか、ユニがその話をまとめる。


「了解した。2つ目はこの病気が人為的に作られたものなのか、だ。」


「…おそらくな。その可能性が高いと思う。」


「その根拠は?」


「この病気は新種だ。俺のメニューはこれまでに起こったことなら全てわかる。しかし、この病気は過去に例がない。なら、新たに自然に発生するか、人為的なものしかない。」


「ならば二分の一の確率になるだろうな。けど、創也はなぜ人為的だと思ったんだ?」


「過去に似たような例すらないんだよ。似たような病気があればそれが少し変化したと解釈できるが、今までこんな病気はなかった。」


「だから、人為的だと。いや、ほぼ確実に転移者なんだろうな。」


零断の言葉に創也も頷く。


「相手が転移者とわかったなら、今すぐに行動すべきだろうな。村長、予定通り魔石は置いていくから病気になったやつを治してやってくれ。俺たちはすぐに発信源に向かう。」


「わかりました。この村の住民を助けていただきありがとうございました。」


村長等のこの場にいた村人は深々と零断達に頭を下げる。


「気にしないでいいさ。困った時は人間助け合うのは当然だろ?」


「はい…ありがとうございます。」


零断達は緑膜草をもらい受けてから紫苑やフワンが待つ馬車に戻る。

その最中に村人大勢から感謝されたのは考えるまでも無いだろう。


「今日までに何人もの人がこの病気で亡くなっていたんだね。」


「そうだな。だからこそ、これ以上被害を大きくしてはならない。…大切な人を失う苦しさは誰であろうと変わらないからな。」


過去を振り返り、遠い目をしている零断のことをユニと創也は眺めていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「と、いうことがあったんだ。」


「…やっぱり零断さんやユニちゃんが言うように人為的な可能性が高かったんだ。」


零断達は発症源にさらに近づくために馬車に戻ってすぐに出発を決めた。

村長に大急ぎで緑膜草を用意してもらい、零断のアイテムボックスに入れてある。

この緑膜草を使って他の患者も治していく予定だ。


そして今、村に行っていた組が待ってた組に説明し終わったところだ。


「発症源や感染方法、治し方などが分かったことで創也と紫苑はこれ以上この問題と関わらなくてもいいのだが…」


零断は遠慮がちに2人に伝える。

実際2人が一緒に行動しても得は今の所ない。ならば避難してもらって、生きててもらいたいのだ。

しかし、零断のその考えとは2人の考えは逆だったようだ。


「いや、流石にここまで来て無視はできない。これから先は俺が何かすることはできないかもしれないけど、出来る限りのことは手伝う!な、紫苑!」


「うん!次は私の番だよ!」


「紫苑の番ってどう言うこと?」


気合が入っている紫苑にユニが質問する。

今のところ何が出来るかなど全くわからない紫苑だから、これを機に聞こうと思ったのだ。


「私がこの世界に来て手に入れた能力は『未来視』だから、これから起こることとかいろいろわかるの!」



『未来視』の能力は多くの魔力を使って仮定の未来を見ることができる能力だ。

しかし、その未来は仮定であり、遠くなればなるほど確実性は薄くなっていく。また、1日後の事は見ることすらできなくなるのだ。なので、大まかなこと。例えば今日の天気を調べるときや、狩の対象がどちらに逃げるかなどを確定させる時しか使っていない。

そしてもう1つ。自分が危険になった時にその直後の未来を見せるのだ。そして危険な時の未来視には魔力を使わない。いわば能力の本能とも呼べる力だ。

しかし、自分1人が対象なので近くの味方が危険になっても未来を見る事はできない。


実に便利そうで不便な能力である。


だが、紫苑はこの能力を使いこなしている。常に魔石を持ち歩き、即座に未来視を使えるように常日頃準備をしている。

戦闘になると危険だと未来視が発動し、未来を使って隙を作られるので厄介だ。



これが創也のメニューの説明を簡単にしたものである。


「メニュー。実に便利だな。家庭に一台欲しいレベルだそれ。」


零断が羨望の眼差しを創也に送るが創也の表情は申し訳なさ方が多い。


「いや、確かに便利だが戦闘には全く使えないし、俺自体に戦闘の才能がないから全部紫苑に任せっきりなんだよ。魔法の才能もないからメニューを使って完璧に理論を理解した魔法しか使えないから正直不便だよ。」


その創也の言葉に紫苑は顔を赤くする。


「まぁ、たとえ戦闘ができなくてもその情報量と創也自身の判断力は非常に優秀だから誇っていいと思うぞ。おそらく、創也の情報で紫苑は何度も助かっているだろうしな。」


「そうだよ!創ちゃんはその力を誇っていいんだよ!いつも申し訳なさそうにしてるけど、助かってるのは私の方!例えば魔物と戦う時にどんな行動をするかとか教えてくれるし、他にも……」


零断の素直な評価に紫苑が乗って創也のことを褒めまくる。それが原因で次は創也が顔を赤くする。


「本当に創也さんと紫苑さんは愛し合ってるんだね。」


「そうだな。いい夫婦になると思うよ。」


そんな2人を見ながら零断とユニは2人を温かい目で見守っていた。



これから起こることをしらずに

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