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波動の龍者  作者: ケイマ
第3章
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甘えたい

だんだん更新期間が延びるくせに文字数が少なくなって行く…

紫苑への説明も終わり、出発は明日ということになった零断一行。とりあえず創也と紫苑が努力と信頼で村の人々からもらった家の部屋を3つ借りれることになったのでこの日はそこで過ごす予定である。

日が出ているうちは村の人々に挨拶やいろいろ見せてもらっていた。

そして日が沈み、紫苑が用意してくれた料理(すごく美味しい)を食べた後、零断は部屋にて1人でくつろいでいた。

そこにコンコンッとノックがかかる。


「誰だ?」


「私だよ。」


「ユニか。入っていいぞ。」


扉から入ってきたのは寝着姿で枕を持った零断の部屋で寝る気満々のユニだった。

そんなユニに零断は意地の悪い顔で対応する。


「どうしたユニ?寝着で夜遅くに男が寝る部屋に来るなんて。」


「零断さん!その言い方だと私がいやらしいことを求めてきたような風に聞こえるよ!」


「いやらしいって、どんなこと?」


「えっと…それは…って、そんなこと言う必要ないでしょ!私は零断さんに甘えにきたの!」


零断はユニをいじりながらもベットで横になる。もちろんとなりに1人入れる隙間を残して。

ユニは口を尖らせながらも零断のとなりにいそいそと入って横になる。


零断の胸を頬ずりしながら幸せそうにしているユニの頭を撫でながら零断はユニに質問する。


「それで、突然どうしたんだ?」


「…私、最近零断さんに甘えなさすぎてる気がしたの。だから今日は誰の邪魔も入らないからひたすら甘えようと思ってね。」


ストレートな好意を浴びて内心少し照れながらも平然とした様子で返答する。


「たしかに最近は謎の病気で忙しかったもんな。いつも部屋はフワンが一緒か馬車で寝てたし、あまり甘えられてなかったのも事実か。」


「そうだよ。もっと私に甘えられなさい。」


「なんで上から口調なんだよ。まぁいいけど。ユニは少しいじるだけで顔真っ赤にして恥ずかしがるから可愛いからいくらでも甘えてきていいよ。」


「ま、まぁ、照れて赤くなるのは否定しないけどそんなに恥ずかしがってる?」


「ああ。顔真っ赤にして慌ててから拗ねちゃうからね。本当に可愛いよ。」


「うぅ…相変わらず零断さんにいじられてる気がするけど可愛いって言われて複雑な気分だよ…」


「どんなに拗ねたってこんな風に頭撫でれば機嫌良くなるもんね。」


「…私そんな都合のいい女なのかな?」


「俺に対してだけな。他の奴にもこんな感じなら俺はお前を受け入れてない。」


「…なんか今日は嬉しいのかどうなのかわからないよ。というか、まずまず零断さん以外に頭を撫でてもらったり、抱きしめてもらうことは絶対にないよ。だから安心して私のことを受け入れていいよ?」


「顔を赤くしてもじもじしながら恥ずかしいセリフを吐くユニがめっちゃ可愛い。」


「ふぇ?!い、いじらないでよ〜」


「気持ちを伝えただけだぞ?」


「うぅ〜」


変なところでストレートに言う零断に拗ねながら相変わらず零断に抱きつくユニ。先ほどまでは胸に頬ずりするために少し顔の位置が下だったが、今は顔と顔が向かい合う位置に移動している。ちなみに持ってきた枕は使わずに零断の腕枕である。

そして、拗ねてたユニは頭を撫でられることでまた上機嫌に戻る。


その後もマサ達のことや、紫苑と創也の厨二なところなど様々なことを2人で話し合い、笑い合う。

まさにその姿は夫婦のようだった。

そして零断はユニのことを抱きしめながらユニの耳元で囁く。


「創也のメニューのおかげで謎の病気に関してはもうすぐ終わるかもしれない。今まではなんらかの毒のようなものだと思っていた。それならかかることはないけど、実際は魔力欠乏症だったんだよな。」


「うん。魔力欠乏症だと私は大丈夫だと思うけど零断さんは魔力無くなっちゃうんじゃない?」


「その可能性があるんだよな。まぁ、体の一部が龍化したことで魔力がなくても波動でいくらでも行動できるようになったからただ雷魔法が使えなくなるだけだけどな。」


「それでも私は心配だよ?魔力があったほうがいろいろなことに対応できるし、戦いになった時に身体強化も使えなくなっちゃうし。治し方とかもわかればいいんだけどね。」


「まぁいずれ分かるようになるだろ。創也が実際に患者を見れば分かるって言ってるしな。だからあんまり心配するなって。」


「零断さんのことを心配する必要がないことはわかってるんだけど、やっぱり好きな人が危険となると心配になっちゃうよ。あ、あと、フワンちゃんはどうするの?」


「基本的には紫苑と一緒に馬車生活かな。治す方法とかがわかれば一緒にいるつもりだけど、とりあえずその危険が無い俺とユニ、あとは自分でどうにかできるって言ってる創也で行動することになると思う。町の前に馬車を置くことになるけど、それはクラウドとか風雅が守ってくれるから大丈夫だと思う。」


「クラウドすごいよね。自分の周りなら病気の細菌からも守ってもらえるって。本当に最高の使い魔だよ。」


「そんな使い魔を連れてるユニは最高の仲間で最高の彼女だよ。」


「え、そんな零断さんいきなり褒めないでよ〜。」


不意に褒められたことで顔を赤くしながら零断にさらに身を寄せるユニ。


「まぁ、とりあえず明日からはもっと早く解決に向けて動き出すからな。」


「うん。わかってるよ。」


零断とユニは軽くキスをしてから眠った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日、創也と紫苑を連れ、町を出てきた零断達。

村の人たちにはいい感じに見送られ、2人がどれだけ信用を得ていたかがわかる。

そして、クラウドが引っ張る馬車に揺られること数時間。


「…やけにこの馬早くないか?」


とりあえずお昼ということで草原らしいところで休憩を取る一行。

そんな中で馬車から降りた創也がそう呟く。


「そうか?」


「そうだよ!確かここってヌンハ村とサカニ村の間だろ?俺たちの村から馬車で数日はかかる距離だぞ!」


「それは馬車を休ませたりするからだろ?俺らのは休ませる必要ないし。」


「え、なんで?」


創也と同じく気になっていた紫苑が零断の言葉に反応する。


「だって馬車を引っ張ってるのは使い魔だし、移動用としては最上位の使い魔だし。」


「…は?」


「しかも意思疎通できて、自分で考えて行動してくれるから。」


「こ、この今ユニちゃんが世話をしている馬が?使い魔?最上位の?」


「おう。なんなら話しかけてくれば?」


「「行ってくる!」」


2人はダッシュでユニとクラウドがいる場所へ向かった。

それを見送った零断はフワンと一緒に料理の準備をする。

ちなみに風雅は心地よい風が吹くこの草原で昼寝をしている。


「…風雅、寝てますね。」


「そうだな。最近あいつ寝てなかったからな。こんなに心地よい場所なら睡魔に負けるのも頷ける。」


「そうですね。」


珍しくフワンから話しかけてきたので零断は会話を切らないように話しかける。


「ところでフワンは料理の上達が早いな。」


「そうですか?」


「ああ。ユニにはまだ劣るけど、あと数ヶ月あれば追いつけるんじゃないかな?」


「ありがとうございます。しかし、ご主人様には劣ります。」


「これで俺より上手かったら俺のプライドがズタズタだよ。フワンが料理できるようになってくれたらユニが他のことに手を回すことができるし助かるよ。」


「ご主人様のためになれているのなら嬉しいです。」


少し微笑みながらフワンはそう答える。そんな様子に零断は


【ユニみたいにドキッとすることはないけど、フワンが笑うことが嬉しい。なんか、妹みたいだな。】


そんなことを思いながら料理を続ける。


「…ご主人様。少し質問をしてよろしいですか?」


「ん?なんだ?」


一度話が途切れたところでフワンが新たな話題を振ってくる。

零断は 珍しいな と思いながらも答える。


「今の私ってご主人様からみてどう思いますか?」


「…それはどういう意味だ?」


「私は今、ご主人様の望み通りに行動できていますか?普通、奴隷を買った人はその奴隷に命令して色々やらせたり、自分がやるべきことを押し付けたりします。なのにご主人様はそんなことをせず、逆に自由にさせてくれます。そうなるとわたしはご主人様の思った通りに行動しているのか、ご主人様の機嫌を悪くしていないかが心配になるのです。」


フワンから伝えられた悩みに驚く零断。

零断はこういう扱いが普通だと思っていたのだ。奴隷だからってなんでもさせるわけではなく、基本は普通に暮らしているという考えがあったのだ。しかし、実際の奴隷は強制的に働かされたり、行動を制限されるのが普通だったのだ。

フワンは奴隷として主人が命令してこないことに不安を感じ、悩んでいたのである。

そんなフワンに零断は自分の考えを伝える。


「俺はまずまずフワンを奴隷と思ってないからな。命令なんてしないさ。奴隷だとしても緊急事態の時に命令するくらいで基本は自由のつもりだ。だってそっちの方がその奴隷が嫌な感情を持たないから裏切られる可能性が減るだろ?」


基本的に零断は裏切られなければいいのだ。何かをやってもらいたいとしてもそれを強制することはない。

それ以前に零断はフワンを奴隷ではなく仲間と思っている時点で噛み合わないのは必然なのだ。


「だから、フワンはフワンがやりたいことをやるのが一番さ。もし、その行動が俺たちに悪影響を与えるならそれを止めるし、逆に良い影響を与えるならそれを賞賛して後押しする。そっちの方がフワンも自由だし、緊急時への対応力もつくからな。フワンもこういう考えでいてくれ。」


「…私の、今までの行動はご主人様達の役に立ってましたか?」


「ああ。自分で料理をしたいとか、戦い方をもっと教えて欲しいとか、自分で昇進してることが俺たちには役立ってるさ。」


「…わかりました!ありがとうございます!」


「これからもよろしく頼むぞ?自分ではわからないかもしれないが、もう俺たちにはフワンがいないとやっていけない部分もあるからな。」


零断は肉を焼きながら空いている片手でフワンの頭を撫でる。

フワンはそれを気持ちよさそうに受け入れて目を細めながら料理を続けた。




一方ユニがいる方では。


「フワンちゃんと零断さんがすごくイチャイチャしてるなぁ〜なのになんでだろ?いつもなら独占欲が湧くのにフワンちゃんの場合はわかないんだよな。まぁどちらにしても2人が仲良くなるのは良いことだよね!うん!」


「そうだね〜」


「そうだな〜もしかしてユニちゃんって独り言を言葉に出しちゃうことがある子?」


「え…い、今の聴いてました?!?!」


「うん。すごい惚れ気が出てたよ。」


「零断君はモテモテなんだね〜」


2人にそう言われて頭を抱えていた。



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