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波動の龍者  作者: ケイマ
第3章
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番外編 エイプリルフール 零断を驚かそうと?

かけた!かけました!

ちょうど今日は暇だったので全ての時間を使って書きました!

相変わらずの零断や涼音達の番外編です。

ではどうぞ!

「今日、4月1日よね。」


「そうだな。エイプリルフールか。」


「とりあえず、イベントやらない?」


「それしかないもんな。けど、エイプリルフールなのに嘘つかないのはもったいないよな。慎慈が信じそうな嘘でも考えるか?」


「それがわからないんだけどね…」


今日は4月1日。時刻は0時3分。俺と涼音は俺の部屋でだらだらしている。

春休みは基本こんな感じだった。

ただし、今日はGFOでその日限りのイベントがあるからそれをやる予定だ。


「とりあえずログインしようか。」


「そうね。」


俺と涼音は手を繋いでヘッドギアをかぶって言葉を放つ。


「プレイオン!」


ーーーーーーーー慎慈目線ーーーーーーーー


まず、まずこれをおもう。


なぜこうなった


と。

目の前には零断と涼音が珍しく喧嘩している。しかも、今回は涼音が悪いのだ。誰が見てもそう思える。なのに涼音はそれを零断のせいにしたことで喧嘩が起こっている。


「零断があの敵を倒さなかったせいで私がデスペナ受けちゃったじゃない!」


「いや、あれはお前が対処するって言ってただろ!どうして俺のせいになる!」


さっきから同じようなことを繰り返している二人に呆れながらこの場にいるもう一人、零断の妹である火憐に話しかける。


「はぁ…で、これは涼音のエイプリルフールだと?」


「そ、そのはずなんだけど涼音ちゃんも少し本気になってきてる気がする…」


「まぁ、零断のことを“あんた”呼ばわりしてないから大丈夫だろ。」


そう。涼音はガチギレすると誰でも一人称が“あんた”に変わるのだ。これまで数回しかない喧嘩の時も“あなた”で済んでいたのに今回は零断のままだ。この喧嘩が涼音が起こした演技なら本当にその演技力を尊敬する。


「おい。そろそろ仲直りしろよ。次のイベント行こうぜ。」


「私は許さないから。」


「当然俺もだ。」


涼音がプイッと後ろを向いてそう言い放つと零断もその挑発に乗る。


まぁ、後ろ向いた涼音は顔を少し赤く染めて微笑んでいるのを見て俺は大きなため息をつくはめになった。


「気を取り直そうよ。次のイベントにいこ?次は中ボスだから仲直りしてね!」


火憐ちゃんは二人の仲を治そうとする。

すると零断は機嫌が悪そうに


「…いくぞ」


と言って先行する。

俺たち3人はその背中を追う。

いつもは涼音と零断、俺と火憐ちゃんという縦横2列で動くのだが、今日は零断が一番前でその後ろに俺と火憐ちゃん。一番後ろに涼音になっている。

不機嫌な零断は1人でモンスターを黙々と倒すので俺たちに仕事はない。だから俺は涼音に何がしたいのかを個人チャットで聞くことにした。


『お前、零断を怒らせて何がしたいんだ?』


すると返信は数秒で帰ってくる。


『VR内で怒らせて、現実に戻ったら種明かししてラブラブと。』


その答えは口から砂糖が出るほど甘かった。


『機嫌なおしてくれないかもよ?』


『これから中ボスでしょ?そこで零断の機嫌を直すというか、変えるから安心して。』


いや、全く安心できねぇよ。安心どころか心配になってくるわ。

本当にそう突っ込みたかった。しかし、突っ込んだら何をされるかわからない。

危険を犯すよりは今の状態で第三者の方が楽だから成り行きを見守ってるか。


俺は今日何度目かわからないため息をついた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


涼音と喧嘩することで悪くなった機嫌はだんだんと変化していく。

涼音は中ボスとの戦いの最中、明らかに様子がおかしかったのだ。ギャラクシースキルを使おうとしたのにただの通常攻撃を繰り出したり、敵の行動パターンをよく見ずに行動するなどだ。

普通のパーティだとミスをしまくって苛立たせるだろうが、零断は違う。

普通、涼音がこんなミスを連発するわけがないので苛立ちより心配が大きくなってしまう。

しかし、今心配するのはついさっきまで喧嘩していたのにどうなのだろうと零断は思ってしまう。

中ボス後も相変わらずミスが多い涼音に零断はついに声をかける決意を固める。


「なぁリン。今日お前大丈夫か?」


ちょうどそのイベントが終わったところで零断が涼音に聞く。


「…なに?」


「いえ、なんでもないです申し訳ございませんでした許してください本当にごめんなさい。」


零断は涼音が放つ威圧に零断は早口に多くの謝罪を述べた後次のイベントを進めるためにNPCのところへ向かって行った。

この時涼音は少し困ったことになったと頭を悩ませていた。


【うーん…怒ってる人ならミスばっかりしてる私を怒ると思ったのに逆に心配されちゃったな…このイベントの最後のボスで一芝居入れてすぐに零断より先にリアルに戻ってすぐに追ってきた零断に種明かし…って感じで行こう。うん。】


涼音はそう決めると零断がNPCから説明が終わるのを待った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ちなみにこのイベントは戦闘兼謎解きのようなものとなっている。

舞台は始めた時に一番最初にクエストなどが起こる王都である。

4月1日。ある人物から脅迫状が届く。

その脅迫状には3つの起こるかもしれない出来事が書かれてあった。

1.モンスターの大群が王都へ襲いかかってくる

2.隣の国が攻めてくる

3.国王が暗殺される

このうち2つは嘘であり、1つは本当に起こることである。それを明らかにして阻止するのがこのイベントである。

このイベントには周回要素などはなく、イベントストーリーや新モンスターと戦うのが目的となっている小イベントである。


つまり、本当はストーリーなどを楽しむものなのだが…


【なんだ、この、気まずい空気は…】


【もうこの場に居たくないよ…】


【ちょっと…やりすぎたかな?】


慎慈と火憐はこの空気に嘆き、涼音は焦り始める。

どうしてこうなったかというと、クエスト中に涼音が零断の大技をキャンセルさせるという前代未聞の行動を起こし、最初からになりそうだったからだ。

クエストを進めて行くうちに本当に起こることは国王の暗殺だとわかりそれを阻止するために戦っていたのだ。しかし、そこで国王に攻撃しようとしている敵を倒そうとした零断に氷状態になる魔法をかけたのだ。当然大技は失敗して、危うく国王が殺されてクエストが最初からになるところだったのだ。

現在午前11時過ぎ。クエストが始まるのが朝の6時なので、サブクエスト含めて5時間かかるクエストをやり直すところだったのだ。

次が最終クエストで、現在はそのボスの場所へ向かうダンジョンの中である。

涼音のやりすぎたイタズラが起こってから零断は一言も発していない。


そんな雰囲気の中、零断が全敵を倒したおかげでいつのまにかボス部屋へたどり着いて居た。

しかし、それでも零断はなにも発さずにボスの扉を開ける。


「な…!」


「レ、レベルが高い…?!」


「まさかパーティの平均レベルに合わせたレベルなのか?」


「……全員位置ついて。本気で狩るぞ。」


イベントのボスは今までとは違いパーティの平均レベルに合わせたものとなって居た。おそらくこれは初期勢も楽しめるようにイベント重視のクエストにした結果なのだろう。

しかし、今の零断達には不幸すぎた。

ただでさえ連携がゴタゴタになっているのに、零断の機嫌が悪いせいでまともに指示が出ないのだ。簡単に言えば勝手に4人で戦ってるのと同じ状況である。

しかしそこはトッププレイヤーの意地なのか時々危ない瞬間がありながらもどんどんボスのHPを削って行く。

だが…


「ぁ…だめ、それは!ダメ!」


相手の行動パターンが変わる瞬間にデバフが解除される。それに対して涼音がデバフをかけ直そうとした。

そう。かけ直そうとしたのだが、そのスキルはデバフではなくバフスキル。いつも零断などにかけている物理耐性のスキルだったのだ。

今回のボスは魔法耐性が高く、物理で攻撃するしかなかったのだが、残りゲージが1ゲージの半分という相手の行動パターンが激しくなる時にそのバフをかけてしまったのだ。

さらに、慌てることで相手にかけようとしたデバフをちょうど攻撃しようとした零断にかけてしまい、最大の攻撃源も失ってしまった。

思わず火憐と慎慈はこの場に及んでまだイタズラするのかと涼音の方を見る。

しかし、今回は違った。

涼音は泣きそうな表情で必死に状況を打開しようとしている。

その表情を見て今回はわざとではなく珍しく本当にミスをしたのだと認識する2人。認識したからと言って打開できる状況ではない。だんだんと苦戦を強いられて行くパーティ。

涼音はふとパーティのHPをみる。しかしそこには…


「ない!なんで?!零断がいない!」


「は、なに言って…え!」


「ちょ、!おにいちゃん?!?!」


そう。HPゲージは3つしかなかったのだ。一番上に自分の。その下にはいつもは零断のゲージがあるはずなのにそれがない。

2人も同じようで動揺している。

その動揺は致命的だった。

ボスの広範囲攻撃でヘイトを持っていた慎慈以外の2人にも大ダメージが入る。


「くっ!このままじゃ!」


「とりあえずリンちゃんは回復を!足止めしとくよ!“ウィンドブロウ”!」


火憐の魔法によって移動速度や攻撃速度が遅くなる。しかし、それでも間に合うかわからない。


「くっ!このままじゃ…間に合わない!」


急いで回復をしようにも慎慈のHPも低いのでまともに足止めも出来ずにもう一度範囲攻撃のモーションに入るボス。


「そんな…私のせいでまた…」


涼音が泣きそうな顔でボスをみる。


すると、そこには一刀両断されたボスの姿があった。


「“夜の破滅”(ナイトディクラクション)」


いつも聞いている声が。しかし、今はひどく冷たく聞こえた。

“夜の破滅”はボスの防御力やバフなどを全て関係なくダメージを与える『深夜の暗殺者』の中でも最上位にあたる技。その技で1ゲージの半分を一気に飛ばしたのだろう。


ボスは撃破され、ガラスが飛び散るエフェクトが流れる。

そして次に放たれた言葉はひどく冷たいものだった。


「…なにやってんだおまえ。」


零断から放たれた言葉はこれ以上なく冷たいものだった。

その言葉にびくりと大きく涼音の体が震える。


「そんなに俺にイベントをクリアして欲しくなかったのか?全ストーリー最速クリアをさせたくなかったのか?他のパーティの奴らに買われたのか?」


「ち、ちが、そういうわけじゃ。」


「その程度かよ。」


零断の本気の言葉に涼音はなにも言い返せなかった。火憐も慎慈もなにも言えなかった。


涼音は愛している人から本気で見限られて涙が止まらない。やがて何も言わずにログアウトをしてしまった。


「なんなんだよ本当に…何がしたいんだよ!最初は何か具合が悪いのか心配したのに全てわざとかよ。何がしたかったんだよ…!」


ボスが消えた部屋で1人叫ぶ零断。

何か言わなければいけないと思うのだが、何も言えない慎慈と火憐はひたすら考えていた。


【今何を言えばいいんだよ!零断。今日エイプリルフールだよ。なんて言ったら本当に何されるかわからねぇだろ!涼音やりすぎなんだって本当に…】


【ここで何を言ってもどうにもならないよ…】


2人が悩んでいる間に零断はもうクエストをクリアして報酬をもらっていた。

その後、いつものレベル上げ場所へこもってしまった。

まるで涼音がいるリアルに戻りたくないかと思わせるように。


ーーーーーーー涼音目線ーーーーーーーーー


どうしようどうしようどうしよう!

私の中はこればっかりだった。

ただのお遊びのはずだったのに本当に怒られて、本当に見限られた…

そしてそれに耐えられないでログアウトしちゃった…

あれから零断の部屋に戻ってきたんだけど、部屋を出て言ったら取り返しがつかなくなりそうで出ていけないし、かと言って出て行かないと気まずくなっちゃうというどうすればいいかわからない状態でとりあえず零断の腕に抱きつく。

こんな状況で零断がログアウトしたら何を言われるかわからない。けど、これしかできないよ…

それからある程度長い時間ずっと零断の腕に抱きついていた。

その間もこれからどうすればいいのかとか、なんて言えばいいのかとかを考えていたけど何も思いつかない…

ついに涙が出てきた。


「うぅ…エイプリルフールで脅かそうとしただけだから…零断のこと貶めようなんて思ってないよぉ〜…信じてよ…大好きだよ…お願いだから一緒にいてよ…」


「やっぱりそうだったのか。エイプリルフールには懲りすぎだぞ涼音。」


私は体がビクッ!と大きく跳ねるのを感じた。

そりゃそうだよ。零断の腕に抱きついて泣きながら言い訳を呟いたらそれを聞かれてるんだもん。


「あ、あの…ごめ、んむっ!?!?んちゅ、ん!あむっ、ん!」


ふぇっ!?!?あ、謝ろうとしたキスされた!?!?だ、抱きしめないで!頭撫でないで!そんなことされたら私…どうすればいいかわからないよ!


いつのまにかつむっていた目を開けると零断と目があった。すると零断はさらに私の口の中を貪ろうとする。

さらに体を完全に密着させて私が逃げられないように、暴れないようにする。


だめ!もう!恥ずかしくて…もどかしくてどうしようもなくて申し訳なくてもうダメ!!


零断から目をそらすこともできずにひたすら零断にいいようにされる。


ちょうど私が限界を迎える直前に零断は私の口から口を離してくれた。零断との間には銀色の線が伸びる。


「フレンドからエイプリルフールのメッセージが来てな。まさかと思ってログアウトしてみたら抱きつかれながら泣いて謝ってるし、それをみたらもうどうしようもなくて衝動に走っちゃった。」


零断は私の髪を大事そうに撫でながら軽くキスをしてくる。


ああ。今私絶対だらしない顔で泣いてるよ。嬉しくて恥ずかしくて申し訳なくて…


「わ、私も零断を驚かせようと思って…やりすぎちゃってごめんなさい…零断…大好き…!」


そう言って私は零断にキスをする。

零断の舌を受け入れてまたさっきと同じような状況になる。


長い長いキスが終わり、零断は私を抱きしめながらこう言う。


「今回は流石に涼音がやりすぎたよね。」


「うん。」


「じゃあ今日は俺の言うことなんでも聞いてね。」


「わかった。零断の好きにしていいよ?」


そして、無事仲直りできました!


結果的にイチャラブは外せません^_^

これからも日曜日に更新していこうと思いますが、今回のように2.3週間待たせることもあるかもしれませんが、末永く見守ってくれると助かります!

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