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波動の龍者  作者: ケイマ
第3章
71/81

相手の紹介

普通に更新忘れてました…

もう貯めができてるので休まないように更新します!

フワンの初戦闘は十分な結果を残して終わった。


雷龍に雷を落とされるという大きな恐怖を味わったこともあり、大抵のことは怖くないようで、レックス相手にも零断が教えた討伐方法そのままで倒して見せた。

さらに、短剣が使いやすいようで、素人とは思えない使い方もしていた。

これにはユニも零断も


「才能…ってやつか…」


と呟いてしまうほどだった。

零断が片手剣を使えるのは小さい頃からGFOで鍛えられてきたからであり、ユニが槍を使える理由は、ヴァルの加護があるからだ。

つまり、零断もユニもその武器に対して才能があった訳ではないのだ。

しかし、零断に関しては才能とかどうこういうレベルの剣技では無くなっているし、ユニもヴァルなどの妖精によって才能以外の力が働くので、たとえ相手が才能に満ち溢れていたとしても負けることはないだろう。むしろ、圧倒的な経験の差や、プラスされた妖精の力で勝つ可能性が高い。


対してフワンは短剣の才能に満ち溢れている。

初めて使う武器で、手首のスナップを利かせてレックスの首を断ち切るなんてことは才能が満ち溢れている人にしかできないだろう。


【まさかここまでの才能があるとはな。雷魔法だけでは無くて、近距離戦も才能があるとなると、これは化けるかもな。育てがいがある。】


零断はフワンの雷魔法含めた才能の行く先を楽しみに感じた。

その後、特に問題もなく他のレックスを倒し、町に戻ってきた。

その間に戦いに疲れたのかフワンは寝てしまったので、寄り道などはせず、宿に戻って夕飯を食べて寝ることとなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次の日の朝、零断達はフワンや風雅も連れて冒険者ギルドへ向かった。

冒険者ギルドに入ると、中にはフロヌィチが待っていた。


「きたようだね。」


「待たせたか?時間通りのはずだが。」


「いや、大丈夫だよ。場所を変えよう。ついてきて。」


そこまで話して、フロヌィチは冒険者ギルドを出る。

零断達はそれに続いて入ったばっかりの冒険者ギルドを出る。


「それで、どこに向かうんだ?」


零断はフロヌィチの隣を歩きながら聞く。


「この町にある闘技場さ。本当はギルドにある試験会場でやるつもりだったのだが、君の戦う相手がもっと大きな場所でやりたいと言ってね。一般客や冒険者なども観客となり闘技場を取ることになったんだよ。問題あるかね?」


「そうか。問題ない。」


「なら良かったよ。ほら見えてきた。あれが闘技場さ。」


ギルドと闘技場は近いようで、歩いて数分で到着する。


「結構人が多いね。」


「そりゃギルマスが戦うところなんて滅多に見られないからな。」


「そりゃそうだね。」


零断とユニはそんな話をしながら関係者以外立ち入り禁止の場所に入っていくフロヌィチの後をついていく。

闘技場の中に入り、少しすると待機場のような場所に着く。


「あとだいたい20分後くらいから始める。それまで準備していてくれ。」


「わかった。と行っても特にやることはないけどな。」


フロヌィチは相手側との調整もあるのか、零断の返事を聞いてから部屋を出ていく。


「さて。20分暇になったわけだが、どうするか。」


「普通、こういう戦いの時って集中力を高めるんじゃないの?」


「と、言われてもなぁ。ま、作戦でも考えるか。」


零断は適当な紙をその場に出して言う。


「何かやってほしいこと、ある?まずユニ。」


「え、えっと…とりあえず波動は秘匿かな。」


「それは確実だね。次、ここはあえてヴァル。」


ヴァルの名前を呼ぶと、何もないところに光が集まって人の形が出来てくる。やがてしっかりと実態を得て行き、ヴァルとなった。


「へぇ。ユニ、意外と良い感じの呼び方じゃん。」


「え、今私ヴァル呼び出してないんだけど。」


『当然です。自分で出てきたんですから。』


「ええ!どうやって!?!?」


ヴァルが勝手に出てきたことに驚くユニ。

ちなみにフワンとヴァルはレックス討伐の時に顔見知りになっているので警戒はない。


『まだユニの心が弱い証拠ですよ。』


「うぅ…そっか…」


ヴァルにそう言われてガクッと膝を落として落ち込むユニ。

そんなユニのことはつゆ知らず、ヴァルは零断に意見する。


『ユニの心が弱いのではなく、もともと私は自由に出てくることができると言うことは置いておいて、ある程度手を抜いてみてはどうでしょうか?』


ヴァルに置いておかれた重要な情報にユニが食いつく。


「ちょっと待ってヴァル。それどう言う…」


「ほう?例えばどう言う風に?」


ユニがヴァルに詰め寄ろうとしたが、零断がヴァルの提案に乗っかり、その目論見は潰える。

相変わらず扱いがひどいユニである。


「ほうほう。それで行こうか。」


『それが一番観客も盛り上がり、都合もいいと思いますね。』


零断とヴァルはフワンのもとによって落ち込んでいるユニを放置しながら作戦を考える。

そして、ある程度考えたところでフワンに話を振った。


「それじゃ、それで行こう。じゃあフワン。何か提案があるか?」


フワンは少し考えるそぶりをしてから…


「肉 が食べたいです。」


あえて肉の後に間を空けて肉を強調したフワンの言い方にその場が沈黙する。


「ふふ、はっはっは!!相変わらずマイペースだな!フワンは。じゃあまぁ、作るか。あと10分あるしね。」


零断は1人ツボに入り笑ったあと、試合までの残り10分を利用して肉を焼くことにした。


「ん?焼いてるところを見たいのか?」


「自分で作れるようになりたいので。」


「とは言っても、今日のは簡易版だぞ?」


「それでも、です。いつもはユニさんに料理を教えてもらいますが、今日はご主人様しか料理を作らないので。」


零断は思う。もし、料理含めて家事全般ができるようになったらフワンはパーフェクト奴隷となるのではないかと。


【戦闘できて、家事できて、なのに奴隷。まさにパーフェクト奴隷となるのか…】


肉を焼きながら 悪くないな と言う風に頷きながらフワンと話す。


「もし、本当に肉の焼き方をマスターしたいなら、ちゃんと教えるよ。」


「ありがとうございます!でも、まだユニさんから普通の料理を教えてもらってからで良いですか?」


零断とフワンは大して身長差はない。年齢もフワンが1つ下なだけ。

ほとんど同年代のはずなのに、フワンが無意識にやっている上目遣いは零断にクリーンヒットさせたようだ。


【金髪弧人族から上目遣いって結構くるな。んーけど、むらむらより、愛でたい…というか、もふもふしたい気分になるな。】


零断は内心そんなことを思いながら肉をちょうど良いところで焼き終える。


「フワン。皿を用意してくれ。」


「わかりました。」


フワンは手早く零断の腕につけているアイテムボックスに触れて人数分のお皿を用意する。

それに零断は肉を載せて行き、お皿を持ってユニとヴァル、風雅がいるところへ向かう。と言っても、部屋が分かれてるわけではないので、ユニが風雅とじゃれついてた所に行くだけだ。


「お待たせ。今日はレックスの炙りチーズだぞ。」


「レックスって美味しいの?」


「多分…」


「おいひいでふよ。」


ユニが零断に美味しいか確認している間にフワンはもう肉を食べていた。

その様子を見て零断もユニも食べ始める。

ちなみにヴァルはご飯を食べるわけではないのでまた光の粒子となって消えていった。

風雅は魔物とは思えない行儀の良さで肉を食べている。本当に風雅は魔物なのだろうか…?


「零断さんの肉料理はやっぱりなんでも美味しいね。」


「毒が入ってるわけじゃなければ感覚でどのくらい焼けば良いのかがわかるからな。」


「…それって一種の超人じゃない?」


「美味しい。それが正義です。」


零断の超人ぶりに突っ込んでいたユニだが、フワンの純粋な目にたじろぐ。


そんな風に過ごしていると、いつのまにか10分経っていたのか、部屋のドアがノックされる。


「そろそろ時間だよ。零断く…なんですかこの非常に美味しそうな匂いは。」


部屋に入ってきたフロヌィチはこれ以上ないほどの肉の美味しそうな匂いに気づき辺りを見渡す。

すると、そこには零断達が優雅に肉を食べていた。


「…零断君。その肉は?」


「暇だから作った。」


「もう時間だけど?」


「もうそんな時間か。んじゃ、やってくるわ。」


もう肉を食べ終わっていた零断は時間になったので闘技場の大広間へ歩いて行く。

ユニとフワンはまだ食べ終わってなかったので残った大きな肉を一口で食べて零断について行く。

もう、この場には風雅の気配は残っていない。

風雅は零断の足元について歩いているのだ。

すごく良い匂いの残った部屋に置いてけぼりにされたフロヌィチはこう呟く。


「…あとで作ってもらおうかな…」


呟いたあと、零断達を追いかけるのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


零断が闘技場の試合会場に入ると、観客席が湧いた。


「こんなに人が集まるのか。」


「だね。もっと少ないと思ってたよ。」


零断とユニが話しているところに追ってきたフロヌィチが会話に入る。


「そりゃ、最近噂の冒険者ということで、多くの冒険者達が訪れてるし、一般人は滅多に見られない街を守っているギルドマスターの戦いが観れるからね。」


フロヌィチは当然のようにいうが、試合が決まって数日でここまで集まるのはよほどフェンゲルの冒険者達は好かれているのだろう。


「けど、別に勝って良いんだろ?」


「当然だよ。」


零断が勝つことが当たり前のようにいうので、フロヌィチは苦笑いする。


フロヌィチは ふぅ と一息ついてから何やら詠唱に入る。


「『風よ。この声を響かせろ“エコー”』」


この魔法は声を拡散させる魔法である。要はマイクだ。


「こんにちはみなさん!今日は特別な戦いが見られるので期待しててください!」


フロヌィチが声をかけると『わぁあ!!!!!』っと観客が盛り上がる。

そのテンションが高い状態を維持しながら説明に入る。


「今回戦う人はこの人!最近話題の冒険者!難しい依頼を何回も高速で受け、迅雷のような速さでこのランクまで上がってきた期待の新星!『雷白の狼牙』のリーダーで、『雷刻の剣士』フレン!」


零断の紹介をドドドと言う。まさかこんなことを言われると思ってなかった零断だが、特に表情を変えることなく手を挙げて答えたりしている。


「緊張しないの?」


ユニが不思議そうに聞いてくる。


「ああ。元の世界でもっと人数いる中で堂々と戦ったことが何度もあるからね。このくらい大丈夫だ。」


「へぇ〜」


フロヌィチがさらに観客のテンションを上げている間に零断はユニと適当なことを話す。


「ま、そろそろ始まるからあっちの控え室で待ってな。」


「うん。じゃあ、フワンちゃん行こっか。」


「はい。」


ユニとフワン、風雅は簡単に言えば野球ドームのベンチのような場所へ移動する。

移動し終わるのと同時にフロヌィチはギルドマスターの説明もし始める。


「次に我らが町フェンゲルのギルドマスター達を紹介しよう!まずは『アンティーク』のリーダー!ツェップ!!」


フロヌィチがそう叫ぶと零断達が入ってきた逆の入り口から女性が入ってくる。

大柄な女性でスタイルが良く、大剣を背負っている。髪は赤色で肩くらいまで伸ばしている。


「ん?あの人は…」


零断は見覚えがあり、必死に記憶を探る。


「ああ、初めてフェンゲルの冒険者ギルドに来た時に2つ名を教えてくれた女性か。ギルドマスターだったのか。」


零断は1人で納得する。確かに位が高そうな雰囲気をしていた。

ツェップは零断に近づいてきて話しかける。


「こんにちは。3日ぶりかしら?」


「ああ。多分そのくらいだ。まさかあんたがギルマスだったなんてね。」


「あなたが強いことはわかってたけど、まさかフロヌィチに目をつけられるとはね。想像以上よ。」


ツェップは零断に手を出してくる。

零断はその手を握り返して握手をする。


それを見た観客はさらに湧く。


「次に『グランソード』のリーダー!グロウの登場だ!」


掛け声と同時に背の高い男性が入ってくる。

年は30後半くらいで爽やかそうな男性だ。髪は茶色で少し眉毛にかかるくらいの長さだ。背中には全長150センチくらいの非常に大きな盾と大きめの片手剣がかかっていた。


「君が零断…フレン君か。僕はグロウ。よろしく。」


見た目通り性格も穏やかそうだと零断は思った。


「零断で大丈夫だグロウさん。あなたの噂はよく聞いたよ。大型の魔物に先頭を切って討伐しに行っててすごく評判が良いってな。」


「そう言われると嬉しいよ。零断君も最近は有名だよ。普通Aランクの人が倒す魔物を軽々倒して見せるんだもんね。」


「そんなに難しい依頼は受けてないさ。」


そこまで会話してから今度は零断から手を出す。

グロウはそれに応じて手を握って握手する。

その握手を見た観客は盛り上がる。ここまでテンションを高く保てるのはフロヌィチの力だろう。


「最後に『グランソード』のリーダー!ゾーラス!」


最後に出てきたのは50歳後半くらいのおじいさんだった。

身長は特に大柄ではなく、白く長い髪を後ろでまとめていた。手にはロッドを持っているので魔法使いだろう。


「ほう…近くで見るとさらに君の強さがわかるのう。剣だけではなく魔法も相当使えるな。長い話はなしじゃ。よろしく頼むぞ。」


「こちらこそ。」


ゾーラスとは手短に済ませて握手をする。


フロヌィチは最後に観客を盛り上げるためにうまく言葉を放つ。


「今回はフレンがこの3人と順番に戦っていくことになっている!たとえ負けたとしても回復魔法の術師が待っているから安心して戦える状態だ!フレン、そして3人のギルドマスターの検討を祈る!まずはツェップと零断の対決だ!」


フロヌィチがいい終わるとさらに観客が湧いた。

グロウとゾーラスはユニ達とは別の場所のベンチへ向かい、零断とツェップは向かい合う。


「最初から本気でいかせてもらうわね。」


「お手柔らかに。」


フロヌィチはいつのまにか会場の端に寄っている。


零断は背中からコンヴィクスを抜いて構える。

ツェップも背中から大剣を抜く。


「では!はじめ!」


フロヌィチの声が響いた。









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