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波動の龍者  作者: ケイマ
第1章
7/81

珍しい魔法


時はお昼頃。丁度農家は休みの時間に入ってきた時間。キン!キン!と鉄と鉄がいきよいよく当たり合う音が聞こえる。

グレンと零断が剣をぶつけあっているのだ。剣、と言っても刃は無いウィリアム特性の練習用鉄剣だ。重さは様々である。零断は少し重めの剣。グレンは基本両手剣使いなので、片手剣は普通の重さのをつかっている。

キン!キン!となる中、セリアがお昼だと伝えるために広場に行ってみると、音では分からない白熱な戦いが繰り広げられていた。グレンの右斜め下から左上に向けての上段切り。零断はそれを持ち手の下側で受ける。そして、あたった反動を利用してグレンに斬りかかる。それをグレンは後ろに下がって避けるが、追い打ちのように零断が切りかかっていく。

先ほどの剣の持ち手で防ぐのはゲームで零断が得意にしていたシステム外スキルの一つである。まさにピンポイントじゃないと剣が飛ばされたり、体に受けてしまうからだ。実際、ゲームの中でその技が百発百中でできるのは零断くらいだろう。

セリアは二人が放つ先頭独特の雰囲気に圧倒されながら行方を見守っていた。と、そこで零断が放った剣をグレンがガードし、大きく吹き飛ばす。零断がよろめいた隙に、グレンは零断の首筋に剣を当てる。


「ふぅ。これでまた俺の勝ちだな。しかしお前すげーな。多分わかっているだろうが、俺は王都レベルの剣士なのにそれと剣を持ってすぐにやりあうなんてよ。」


「まぁ、ここに来る前に我流だが、剣を使ってたからな。しかもグレンは得意武器じゃないじゃないか。」


「我流でここまで渡り合える以上だけで凄いぞ。しかも、得意武器じゃないと言っても、両手剣なら多分負けてるだろうな。零断の剣には重さがある。俺が両手剣になっても、あまり弾き飛ばされないだろう。となると、早さで負ける。」


「あ~まぁたしかにそうかもな。どんな剣がいいか何か月も考えたからなぁ。今だからこそ頑張ったかいがあったと思えるよ。あと、早く本調子に戻したいな。そしたらもうちょいうまく行くんだが。」


「これが本調子じゃないのか。それはさらに面白そうだな!さて、もう一戦するか?」


「何当然のことを言っているんだ?そんな事言わな………」


「ちょ、ちょっと待ってください!もうお昼ですよ!お昼ご飯食べましょうよ!」


また戦闘を始めようとする二人をセリアはして慌てて止める。


「ああぁ?ってセリアか。というか、もうそんな時間か、わかった。もう一戦していくから、セリアは先に帰っててくれ。」


「飯食うために早く始めようぜ!グレン!」


「ちょっ!はぁ……始めちゃいましたか…しょうが無いですね。おふたりさーん!先に帰ってますよぉ〜!!」


セリアは聞こえるように多かい声で言う。反応は剣と剣がぶつかりあう音で帰ってきた。


ーーーーーーーーーーーー


二人は昼ごはんを食べ終わったあと、すぐに家を飛び出していった。ちなみにグレンはひとり暮らしで、結婚をしたことがない。あと、年齢は25らしい。30くらいだろうと思っていたが、予想以上に若かった。25歳で村長並みの権限。あ…この人苦労性だ。

次に訓練するのは魔法である。グレンはその名の通り炎系の魔法が得意だ。ということで、まず炎の魔法を使うことになったのだが


「『炎よ。この熱き力の前に現われよ。"火種"』うーん。なぜ出ないのだろう………」


「んなこと知るか。俺も初歩中の初歩のこの魔法が使えない奴は初めて見たぞ。魔法適性ゼロなんじゃないのか?」


「いや、それはない。前に魔法使ったことあるから。」


「ん?じゃあそれをやってみせてくれ。」


「了解。詠唱は面倒いから省略するぞ?」


「は?ちょっとまて。なにをいっている?詠唱をちゃんとしないと魔法はでないぞ?」


零断が詠唱を省略と言って驚いたのか慌てて止めようとしているが、無視して零断は魔法を実行する。


「『雷よ"雷核"』」


「な…んだと…。雷魔法だと…しかも詠唱省略版…こりゃすごいな。」


雷核を出してから、雷を自由自在に操っている零断をみながらグレンはそうつぶやく。

ちなみに、グレンが先ほど驚いたのは詠唱の省略は上位にならないと出来ないからだ。グレンも炎魔法しか詠唱省略はできない。つまり、相当な高等テクニックなのである。零断的にはイメージすれば誰でもできると思っているが。

雷魔法はグレンが使えない魔法なので、仕方なく自主練ということになった。グレンによると、一つの属性の魔法を一筋で伸ばすほうが早く強くなれるらしい。実際、様々な能力を練習した人とひとつの能力を伸ばした人が戦うと後者が勝つ。

というわけで、他に適正があまりなかったという理由もあるが、零断は雷魔法一筋で上げることにした。中級ほどまで出来るようになったらついに波動の魔法にも挑戦する。と言っても、雷魔法自体があまり解明されていないことが理由で、結果的に自分で考えて自分でイメージすることになる。まずの目標は身体強化だ。身体強化の方法は、筋肉にほどよい刺激を電気で与え、膨張させたり、強化させるのだ。しかし、本当に的確な量でなくてはならず、すごく難しい。雷核を常に身にまとい、一つ一つの筋肉に違う量の電気を送り込む。実際、普通の中級魔法より圧倒的に制御が難しい。しかも、1度きりではなく、常時発動だ。魔力も消費するし、集中も必要だ。苦労せずに纏えるようになるまではひたすら反復練習である。ちなみに、電気の量を適量以上にすると、体が重くなったり、動かすたびに痛くなる。もちろん当然のことだ。

つぎに、数日前に零断が考えた行動によって魔法を出すのはグレンに却下された。見せてもらうことでできることは納得したが、常時の集中力と、威力に反する膨大な量の魔力を、使うので実用性はないだろうとのこと。零断は暇があったらきわめて見るつもりだ。


ーーーーーーーーーーー


そして、ここから毎日朝はグレンと、剣の打ち合い。午後は雷魔法の身体強化に費やした。その結果


「はぁぁっ!!」


「せいっ!」


と、キン!キン!と、剣の打ち合う音と同時に気合の入った声が聞こえる。もちろん零断とグレンだ。しかし、その戦いを直接見てみると、音とは全く違う迫力がある。

グレンは自分の周りに炎のようなオーラをまとっている。個人職の魔法だろう。それに対して零断は、体の周りをパチパチと慣らしながら、戦っている。これが身体強化なのだろう。そして、零断対グレンは零断が優勢なのである。グレンがまとっているオーラは身体強化などの能力はなく、相手に幻影を見せたり、集中力を削る魔法である。それに比べて零断はちゃんとした身体強化の魔法なのである。一応、まだ完璧というわけではないが。それでも大きな力になっているのは確実だ。そうなると、もともと互角だった二人の実力に大きな差が開く。とうとうグレンが体制を崩し、グレンの肩に零断の放った剣が当たる。


「ぐぅっ!」


と、痛みに耐えるような苦痛の声が聞こえる。


「よし。これで、俺の2連勝だな。これで今日から波動を研究していいだろ?」


「くぅ。まぁいいだろう。俺的にはもう少し完璧にしてからのほうがいいと思うが、気になるのも仕方がないよな。よし!もうすぐ飯だろうから、くったらまたここでやるぞ。波動は今までと違って本当の意味で一から作るんだ。覚悟しろよ?」


ここから、零断の波動者への道が始まった。

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