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波動の龍者  作者: ケイマ
第3章
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ちっちゃい頭を下げても誰得だ?

『神よ。この世を見る神よ。このモノに力を与え。世を生き抜かせよ。』


零断は子供達にやった時と同じように呪文を唱える。

そしてフワンは光に纏われる。


「さて、だいたい1時間暇になったな。このうちに次の行動について決めておくか。」


「そうだね。けどまぁ、結果的にフワンはその『謎の病気』じゃなかったわけだから、実際に調べるのは『謎の病気』にかかってしまった人がいる村に行くしかないでしょ。」


「そうだな。けど、とりあえずBランク試験だと思う。もし、解決することでランク上げになるなら一石二鳥だしな。」


そして、零断は最近思い始めてきたことをユニに話す。


「冒険者ランクが上がることで俺の名前が広がれば転移者の人は接触して来る。そうすれば強固な関係が作れると思うんだ。俺の知り合いとも会えるだろうしな。」


「ん?けど、零断さん今偽名だよね?なら意味なくない?」


「あ〜まぁ、フレンの名前はこの謎の病気関連が終わったら捨てるつもりだから。」


「ギルドはどうするの?」


「王国の冒険者カードを見せる。帝国に来て心を入れ替えたかったって言えば大丈夫だろ。」


零断は冒険者カードを作り直しているので、王国の冒険者カードを出せば名前が零断である。


「帝国で作ったやつから、王国の冒険者カードに引き継ぎして貰えばいいもんね。」


「ああ。とりあえず、転移者と会うのも視野に入れていこう。」


「わかったよ。」


フワンと会うことで少しずつ未来に関して考えるようになった零断。それによってまた会いたい人が思い出て来る。


【今まで慎慈とか涼音、火憐って言うめちゃくちゃ仲よかった人しか頭になかったけど、よく考えれば他にもいっぱいいる。代表を言えば悠太と穂高だ。あいつら、今何やってんだろうな。】


零断はそう回想していた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「山を降り始めましたが、町についたとしても問題があると思います。」


「ん?例えば?」


「証明書です。どこの誰かとわからない人を受け入れるとは思いません。」


私、アレイクシア・ラナ・ファルトは帝国へ向かう途中の山脈をついに降り始めていた。

ここまで来るのにすごく時間がかかった。

零断様はもう程度に着かれているでしょうか?いえ、そんなこと考えても無駄ですよね。

とりあえず、もうすぐ山脈を降り切って帝国の町へ入ることができます。その時どうすればいいかを考えているのです。


「いや、冒険者カードがあるだろ。それならすぐ入れるんじゃないのか?」


「…それだけで大丈夫でしょうか?王国だからダメとか、王国だから殺すとか、王国だから捕まえるとか、王国だから…」


なぜ私はあんな国にいたのでしょう。平然と人を殺し、平然と人を呪い、平然と人を壊す。

すぐに腐敗するのはわかってますがそれでもそれを近くで見てきたので許せません。


「そんな王国を見下すなって。逆に王国から逃げてきた人を手厚く庇うって言ってるしな。」


「だな。ポンの言う通りだ。それプラス俺らには転移者と言う肩書きがあるから、いざとなれば自分が転移者と明かせばいい。」


「そう…ですね。ますます迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします。」


悠太さんとポンさ…穂高さんは最初の頃から私と親しく接してくれました。ほとんど無理やり私の逃亡に手をかさせました。

それでも2人は私のことを信じて信頼してくれました。

だから、私は2人を信用して、2人の言うとうりにするつもりです。この世界に来たばかりといっても王都どころか白からまともに出たことがない私とは比べ物にならないほど経験を積んでいます。

さすが、慎慈さんや、零断様に認められた友人ですよね。


零断様のことを考えると少し怖くなってしまいます。

慎慈さんや悠太さん、ポンさんに聞くと、常人ではないと聞きます。

自分は何も持たず、経験もない。相手は何10年も戦闘訓練している人で、しかもナイフを持ってる人。そんな相手に傷を負いながらも倒してしまうのです。

しかも、零断様たちのいた世界は死の危険は滅多にないらしいのに。

もともと常人に収められなかったのかもしれませんね。

だからこそ、その常人に収まりきらなかった人がこの世界に来てどうなっているのかが怖いのです。私たち王国は零断様の大事な方を殺してしまいました。その矛先が私に向く可能性は非常に高いと思っています。

はっきり言うと会いたくない気持ちの方が大きいです。

しかし、その気持ちを伝えてなお慎慈さんは零断様と会うべきと言うのです。

悠太さんとポンさんも会いたいと言っていますし、悪い人ではないことは確実なんですが…やはり気が乗りません。


「アリィ、どうした?」


「いえ、零断様は私のことを許してくれるか心配で…」


「あ〜そればっかりはあって見ないとわからないからな。その村が零断にとってどれだけ大事だったかとか、『王国の王女』という肩書きだけで零断の恨む対象になるのかとかはなぁ。」


「まぁ、全面的に私たちが悪いので恨まれても仕方ないですもんね…悠太さんとポンさんは私について来てよかったんですか?」


ふと思った。なぜ今までまだ相手の気持ちを考えていなかったんでしょう。一番気にしないといけないことなのに。


「そりゃまたなんでそんな質問に?」


「もし、私について来なければ慎慈さんと一緒に居られましたし、転移者に対しては対応がいいので良い暮らしをできたのではと考えられるので。」


本心で話す。

しかし、ポンさんにすぐに返させる。


「あんな国にか?アリィならわかると思うけど、俺らは自分良ければ全てよしなんて思うクズじゃない。そんな国に優遇されたって後悔しか生まれない。」


「す、すみません…」


ポンさんの真剣さについつい誤ってしまう。


「あ、いや、脅す感じにするつもりはなかったんだ。ごめんな。」


「そのちっちゃい頭を下げても誰得だよ」


「ちっちゃいは余計だ!事実だけど!」


先ほどの真剣な雰囲気からいつも通りの雰囲気に戻って笑いが漏れる。

するとまた先程の雰囲気に戻った悠太さんが話しかけてくる。


「アリィは俺たちのことをあまり気にしなくて良い。アリィの行動に不満があったら俺らは反対するからさ。今は自分のことを第一優先に考えて良い。」


ポンさんがうんうんと首を上下に振っているのが見える。


「悠太さん…ポンさん…ありがとうございます。」


「そんなに固くならなくていいと思うよ。この世界でアリィが王女でも俺たちにとっては全く関係ないんだからさ。」


その言葉は私を王国の王女としてではなく、対等な関係で見てくれているということ。

王国は貴族主義なために、私には友達がいなくて、寂しく思っていました。

しかし、慎慈さんを含めて転移者の良い方達が私と対等に接してくれてすごく嬉しかった。

申し訳ないですけど、転移者の方々から見たらこの転移は嫌だったかもしれないですが、私からしたら嬉しい出来事です。


「アリィにやけてるぞ。相変わらずすぐに顔にでるよな。」


「え、ほ、本当ですか?!?!忘れてください!」


「王女のにやけ顔って、世間的には珍しいはずなのに俺たちにとっては珍しくもなんともないもんな。」


「うぅ〜…」


相変わらず顔に出やすい癖がいじられます…しかし、ここは悠太さんがフォローしてくれました。


「こんなちっちゃい高校生は、世間的に珍しいはずなのに俺たちにとっては珍しくもなんともないもんな。」


「大丈夫だ!しっかりと150はある!」


「まぁ、アリィは160あるけどな。俺も170近いし。」


「ポンさん。150は女性の平均身長よりも小さいですよ。」


「うるせーよ!どうせ俺はチビなんだよ!」


「零断と涼音がいればもっと上手くいじれるんだけどなぁ〜」


「あいつらのチビいじりは地獄だ…」


「これ以上ないほどのコンビネーションでいじってくるもんな。そういうキャラなんだよ。」


「ああ。自覚してる。どうにかしたいけどどうにも出来ないのも知ってる。」


2人の会話にはよく零断様と涼音様の名前が出てきます。もちろん慎慈さんも。会話だけで皆さんが仲よかったことがわかります。

いつか、その人たちが全員集まれる日がくればいいと思いますけど、その未来はまだまだ先になってしまいます。


「やっぱり、まずは帝国に入らないといけませんよね!」


「ああ。そうだな。」


「いきなり話変わったな。いや、戻ったのか。まぁ、もうすぐ森も開ける。神鳥によると何個か町を通れば零断が通るであろう“フェンゲル”に着くからな。あまりペースを上げないで、ゆっくりと情報収集をしながらフェンゲルに向かおう。」


「そうだな。」


「そうですね。」


私たちはまず目標としている零断様と会うことを目指して初めての帝国の町に歩み寄ります。




今回はすごく短めです!


年末年始は思った以上に忙しい…



良いお年を!

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