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波動の龍者  作者: ケイマ
第3章
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町でぶらぶら1

すみません…投稿するの忘れてました…

「わぁ〜!零断さん!いっぱいお店がありますよ!」


「そうだな。ユニはどこに行きたい?」


「そうですね〜とりあえず武器屋に!」


零断とユニは現在デート中である。


【これは…デート…なのか?】


現在、ユニ以外の子供達は訓練中である。ダンディ直々に体術を教えてくれるらしい。

この世界に来て自分の戦闘力が足りないことに気づいたダンディはその体を活かすために体術を学んだらしい。

ダンディの体術の才能はピカイチだったようですぐに基礎、応用までマスターできたらしいのだ。

地球は学校や仕事があるせいで一日中ひたすら同じことをすることはできない。

しかし、リスパルタならば特にやることもないのでその問題は解決できた。

約半年以上ひたすらひたすら体術の練習をしていたダンディはついに師匠を抜かすほどの実力になったのだった。


【おそらく、転移者は才能があるものを覚えやすくなっているんだろうな。俺も雷魔法については異常と言っていいほど早く覚え、早く強くなれた。ダンディの場合、それが体術だったんだろうな。】


と零断は結論付けた。

そして、今零断がデートと言い切れない理由はユニの行きたい場所だったりする。

ユニが零断を誘った(強制連行)するための言葉は


「零断さん!手に馴染む得物が欲しいので武器屋に行きましょう!」


だ。14歳…もうすぐ15歳の少女が言う言葉とは思えない物騒さだ。


【ユニをこんな物騒な少女にしたのは誰だろうか…】


間違えなく零断である。

そんなことを思いながらも町の風景を見ながら零断とユニはダンディに書いてもらった地図通りに武器屋を目指す。

しかし、問題があった。

武器屋と書かれている地図は大通りから少し外れた道沿いにあるのだが、


「…零断さん。ここ、本当に武器屋ですか?」


「いや、確実に違うと思う。というか、ラブホ…」


ということである。ダンディは零断とユニが恋愛的な関係ということに気づいており、武器を買いに行くのは健全だと思ったようだ。


「こりゃ、1から探すしかないか。」


「そうですね〜」


ユニはダンディにそういう風に見られていたことが嬉しかったのか頰を緩めてニヤニヤしてる。

そして、零断はユニの頭をポンポンっと叩いて来た道を戻る。

ユニはその手を捕まえて抱きついた。


「…ユニ、人前だからな?」


「人前だからと言って遠慮する必要はないと思いますよ?私的には逆に零断さんとそういう風に見られることができて恥ずかしいながらも嬉しいです!」


なんという少女だろうか。この精神年齢の高い少女は14歳なのだ。地球ではまずありえないだろう。


「まぁ、いいか。お金はダンディにもらったし、冒険者ギルドにでも行って武器屋の場所を聞いてみるしかないか。」


零断はなんとなく冒険者っぽい人を見つけてその人達がどこにいってるかを観察する。


「とりあえず、あっちにいって見ませんか?」


「そうだな。」


冒険者っぽいひとが何人か同じ方向に行くのを見て零断とユニもそちらに歩き出す。


「零断さん!あれはなんですか?」


ユニが指をさした先には時計台があった。

王国の村には時計というものはない。日の高さなどで時間を予想しているのだ。

しかし、帝国の町には必ず1つ時計台がある。その場所はその町のトレンドマークとなる広場があることが多い。

よって、どの町にも時計台広場と呼ばれる場所が存在する。

このウワラズッレの時計台広場は非常に広く、屋台も多く出ていた。


「あれは…フランクフルトか?」


「『ダンディ様直々の教え!』ってことは異世界の料理ってことですか?」


「おいダンディ…何やってるんだ…」


ついつい突っ込んでしまう零断。

ダンディは意外と市民と触れ合っているようだ。さらに周りを見渡すとアメリカンドックや肉まん、やりとりなどもあった。


「これがいわゆる知識チートってやつか?」


「ちしきちーと?なんですか?それ。」


「いや、関係ないから気にするな。」


「零断さん、知ってます?そう言われると気になるんですよ?」


「だからこそあえて断る。」


「零断さん。あなたのことを愛するこの私にどうか異世界の知識をお教え頂けませんか?」


「…はぁ。まぁいいか。知識チートは、んー例えばこの世界にはない食べ物を作って儲けたりすることかな。」


「それの何が問題なんですか?」


「だって自分が考えたものではないのに異世界というだけでそれで儲かけらちゃうんだよ。チートっていうのはズルって意味だから、異世界の知識でズルをするって意味だね。」


「ヘェ〜けど、ダンディさんはこれで儲かってるわけじゃなさそうですよ?」


「まぁ、ダンディがそんなことはしないだろうな。ただただ食文化を発展させるためにやったんじゃないか?」


実は、助けてくれた町の人たちのために自分が知ってる料理知識を大公開したという事件(?)があったのだが、このことは零断達は知らないだろう。

まずまずダンディは商人であり、商人になるためには様々なスキルが必要だ。それに料理も含まれているのでどれも一流である。


「それじゃあ、零断さんのオススメはなんですか?」


「んーオススメかぁ…ここは王道にコロッケかなぁ〜」


「それじゃあそれで行きましょう!すみません!コロッケ2つお願いできますか?」


「おう!コロッケ2つ!100エーンだよ!」


「エーンって…円かよ…確か王国はコパだったよな。帝国と王国は違うのか。」


「そう見たいですね。確か零断さんの世界はエンでしたよね?すごい似てますね。」


「一瞬ダンディが広めたのかと思ったぜ。」


零断とユニは屋台のおっちゃんにコロッケをもらってまた冒険者ギルドの方向へ歩き出す。


「このコロッケうまいな。学食を思い出す。」


「そうですね〜。学食が何かわからないですが、美味しいです!」


ユニが言外に教えて欲しいと伝えて来る。


「…ユニ、こんな知識は多分必要じゃないと思うよ?」


「零断さんの世界なら必要なくても知りたいです。」


「なんてストレートな言葉…はぁ、わかったよ。」


零断はユニに学食の便利さを説明する。

そんな話をしていると冒険者ギルドらしき建物が見えてきた。


「冒険者ギルドの外見はあんま変わらないんだなぁ〜」


「そうなんですか?」


「ああ。王国と似てる。まぁ、素材が違うんだろうけどな。」


零断はとことん王国を否定する。


「零断さん…」


とあきれた様子…ではなく、


「そんな当然なことは言わなくても分かると思いますよ?」


と同意した。

零断は冒険者ギルドの扉を開くととりあえずおきまりのセリフを放つ。


「たのもー」


棒読みである。しかし、意外と注目を集めた。

それもそうである。入ってきていきなり変なセリフを棒読みで放ち、しかも、幼い少女を連れている若い男なのだから。

悪い冒険者には標的にされるだろう。


「おいおい。ここは幼い子供が来るところじゃねーぞ?」


案の定、1パーティがつるんで来る。

零断達の前に立つと腕を組んで偉そうにそう言い放つ。

対して零断達というと


「零断さん、たのもーってなんですか?」


「んーこれについてはそんな知らないや。まぁ道場破りとかの時に言うセリフ?」


「ヘェ〜」


と、超絶完璧無視を成し遂げた。

ガラの悪いパーティは零断達の目の前に立ったはずなのにいつのまにか零断達は後ろへ歩いて行っていた。

その様子に呆然としている間、零断達はマイペースに受付までやって来る。


「すみません。王国で発行した冒険者カードってこちらでも使えますか?」


零断とユニの謎の動きに呆然としていた受付嬢は話しかけられたことでハッ、と正気に戻る。


「あ、はい。再登録すれば使えますよ。しますか?」


「お願いします。あと、素材の買取はどこで済ませればいいですか?」


「素材はここで買い取っているので、あるのなら出してください。」


零断と受付嬢の会話で正気を取り戻したガラの悪いパーティは零断達に突っかかろうとする。

しかし、その目論見は零断が出した素材によってぶち破られた。


「えっと、とりあえず『ボルケニクスのツノ50本』」


「は、はい?ってええ!本当にボルケニクスのツノ?!?!しかも保存状態は完璧?!?!」


「次に、『カールヤンバーの羽』を20対くらいかな?」


「か、カールヤンバーってあのハーピィの亜種の…ほ、保存状態もいい…これは在庫が大幅に増える!」


「次に…」


「ま、まだあるんですか…!」


零断が取り出す魔物の素材はレア度が高い上に数があり、保存状態もいいのだ。それを見てガラの悪いパーティは少し後ずさる。

受付嬢は驚きながら状態を確認している。ついには暇だった他の受付嬢も集まって素材を確認していた。


「え、えっと、これだけの量となりますと、一括払いが難しくなるのですが…」


ここまでいい素材を大量に用意されると様々な面で問題が起こる。


「あーまじか。わかりました。なら、半分今もらえますか?半分は預けてるっていうことにできますかね?」


「わかりました。では、100万エーンです。」


「ふぇ、!?!?そ、そんなにもらえるんですか!?!?」


ユニが慌てる。ダンディからもらったのは1万エーン。その100倍のお金を簡単に手にしてしまったのだ。


「と、というか零断さん。この材料以外にも大量にありますよね?」


「ああ。けど、必要以上に売る必要もないだろう。」


ユニは零断の耳に口を近づけてコソコソと話す。

そして、零断の言い分に納得する。


「ん?零断?どこかで聞いたことがあるような…」


受付嬢の1人がそんなことを呟く。

冒険者ギルドの上層部で零断は一時期話題になった。

王国の冒険者ギルドでランクを誤り、sランクレベルのクエストを受けたソロの冒険者がそれを討伐してきたからだ。

実は世界で有名な零断である。


「あはは。そんなことないと思いますよ。」


うまい棒読みである。


「あ、あと、武器屋の場所を教えてくれませんか?長い旅の間で武器が老化したので。」


「わ、わかりました。地図を書くので少しお待ちを。」


零断が後ろを振り返るとなぜか怒ってる様子のガラの悪いパーティ。


「おいお前。あとでこっち来い。」


「だが断る。」


言われた直後にそう返す。さりげなくネタを入れてるのが技が深い。


「ああ?実力を騙してやがるクソ初心者が調子に乗ってんじゃねーよ!あ??」


なぜか喧嘩腰で零断に怒鳴る冒険者。

対して零断は澄まし顔である。

まずまず視点すら合わせていない。


「っ、!このっ!子供の頃に人と話すときは目を見ろって子供の時に母ちゃんに言われなかったか?ああ。今も子供か!ぎゃっはっはっ!」


何が面白いのか大声で笑うガラの悪いパーティ。

零断はユニの方向を見て言う。


「ああ。そういえば昔俺、人の顔を見るのが怖かったんだよなぁ。」


「え?なんでですか?」


「なんか、思想がバレそうな気がしてなぁ。」


「そうなんですか。あ、私のことはいくらでも見ていいですからね?顔だけじゃなくて体も全てです!」


相変わらずマイペース…と言うかイチャイチャ始めた零断とユニに周りは呆然とする。

その様子を見た受付嬢はなるべく喧嘩になる前にギルドを出てもらいたいようで地図を手早く描き終わる。


「こ、こんな感じでいいですか?」


「ああ、はい。ありがとうございます。では、多分また来ます。」


「はい。ご武運を。」


ついつい受付嬢はそんなことを言う。

零断達につられてなぜかガラの悪いパーティも外に出た。


その後、1人の受付嬢がああっ!と大声を上げる。


「ど、どうしたの?」


「れ、零断って、まさか…王国でsランクの魔物を一対一で討伐して、一時期英雄って言われていた…な、なんで帝国に?」


「ああ!!そうじゃん!ってことは、あのパーティの人たち…」


「終わった…ね。逆にご武運を祈ろっか。」


「そうだね。」


受付嬢含め冒険者ギルドにいた人たちは手を合わせてガラの悪いパーティに武運を祈った。


そのパーティが次に冒険者ギルドに来たときはまさに善人の模範的青年パーティになっていたらしい。




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