は、晴れたぁーー!!!
だめだ………忙しい………今日中に投稿できてよかった。
チュルチュル………
【あ~なんか最近聞いてなかった心地いい音がするなぁ…なんだっけ?この音………ん?チュルチュル?鳥の鳴き声?ってあれ?雨の音が………】
ここ最近聞いていなかった音が聞こえたことで、零断がだんだんと目覚めていく。そして、ゆっくりゆっくりと意識を覚醒させながら考えていた。
なぜ、雨の音が聞こえないのか。
なぜ、鳥の鳴き声が聞こえるのか。
ゆっくりと微睡む意識の中で考えていたが、1つしか理由が見当たらない。そして、完全に覚醒してから、窓を見てみると
「あぁ…久しぶりの日の光だ…この世界にきてから、初の!はれだぁーーーー!!!」
と、つぶや…叫びながらベッドを飛び出した。そのせいで、零断を抱き枕代わりに使っていたセリアは思いっきり引っ張られ、ベッドから落ちてしまう。
零断は興奮しすぎてセリアに引っ張られていたことも、ベッドから落ちたことも気づかなかった。そして、引っ張られたことで少し起きたあとに、ベッドから落とされるという衝撃を受けたせいで、セリアは完全に意識を覚醒させた。
「ん?なに、きゃ!…いててて。ちょっと零断!何するんですか?!?!乱暴にしな…」
ここまで言いかけたところで、零断と外の様子が違うことに気づいたセリア。
「セリア!見てくれよ!日光だ。日の光だ!この世界にきてから初の日の光だ!うおおおおぉーー!!!」
「そうですね!やっと!って、うるさいですよ!わぁっ!音量が増した!やめてくださいぃ〜!」
嬉しさのあまり、叫んでいたら、セリアに文句を言われる。
【よく考えれば、予想外なことや、結果が出た時って周りが見えなくなることが多いなぁ。注意しないと!】
と、今頃気づいた零断であった。
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零断の叫び声で起きたウィリアムとリビングで会い、文句を言われ、起こしてくれたことに感謝された後、3人揃って外へ飛び出した。
周りを見てみると、所々に家があり、家々の周りには人が集まっていた。しかし、田畑はボロボロどころではない。
もう………なんというか………可哀想………。
「あ…ああ…。晴れたのは嬉しいですが、この現状を見ると晴れた以上にショックが………」
取り敢えず、零断はセリアの肩を叩いておいた。
周りから ざわざわ としゃべり声が聞こえる。それもそうだろう。村で一番かわいいと言われているセリアの肩を見たこともない黒髪黒目の青年が叩いているのだから。零断は、この視線に居心地悪いと感じたが、流石にしょうがないと思い、我慢したのであった。
そこに、人群れから、1人の青年が出てきた。歳は20歳を超えるか超えないかくらいで、零断よりかっこ良く見える。
「セリア!無事か!良かった。ところで、そこの君は誰だ?」
と、少し零断を睨みながら言った。
【あーれー?セリアって付き合ってたのかな?ま、ノリノリでかえしてみよう!いま超ごきげん!】
「あ!グレン従兄さん!あなたも無事だったんですね!えっと、こちらの方は…」
セリアが青年に紹介しようとしているところに口を挟んだ。
「人に名前を聞く前に、自分の名前を名乗ったらどうだ?」
超ノリノリで、 この言葉、一度言ってみたかったぜ! という雰囲気でグレンという人に言う零断。そこに、グレンは面白さを見たのか、零断のノリノリに乗ってきた。
「ふ、これは悪かったな。俺の名は"グレン"。さぁ!俺は名乗った。次は貴様の番だ!」
「グレンか…いい名前だな。俺の名は"零断"。よろしくな。グレン。」
「ああ。よろしく。」
と、なぜか、最初零断を睨んでいたグレンと零断が手を繋いだ。謎の信頼関係が生まれたようだ。
「…ちょっと。私を忘れないでくれると助かるんですが…。」
「ああー!そうだった。セリア。零断はなぜ君の家から出てきたのだ?そして、なぜそんなに親しいのだ?」
元々聞きたかったことを思い出したグレンは零断の方を軽く見ながらセリアに聞いた。
【ほっ。恋人ってわけではなさそうだな。普通に従兄弟とかかな?】
と、今までの話を聞いてそうなふうに推測した。
「あ〜それはですね。………」
セリアは、零断と合ってからのことを全て集まっている皆に聞こえるように話した。それに時々ウィリアムと零断が相槌を入れる。そして、説明し終わったあと。
「ほう。そんなことがあったのか。たしかにお前は悪い奴には見えないしな。しかし、異世界転移なんて本当にありえるのか?証拠とかはあるのか?」
「証拠、か。たしかに、証拠はないな。」
【あーー!!証拠がないじゃん!結構やばくね?信じてもらえないかも!!】
と、ドキドキしながらグレンの問に答えた。
「グレン従兄さん。大丈夫ですよ。零断は信用できます。ウィリアムじぃも助けてくれたし、こんな天然な人が、嘘つけるとは思いません。」
「うわ!真顔でテンネンって言われた…ちょっとショックかも…」
零断が膝をついて崩れ落ちたことで、周り人たちから、笑い超えが聞こえてきた。
【この村の人たちとも、仲良くできそうだな。】
と、安心するのであった。