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波動の龍者  作者: ケイマ
第2章
42/81

肉ー!

なんか6000字超えてたー!

「とりあえず。これは聞いておかないといけませんね。なぜユニの顔が真っ赤なんですか?」


「なっ、!!ちょっ!クロノ!?!?そんなことどうでもいいでしょう!聞くのはそこじゃなくてこのまも…」


「零断とユニ何があったのー?」


クロノの質問にユニが慌てる。話を逸らそうとするがティアに追い打ちをくらう。

ユニはしっかりと顔を整えたつもりで聞かれることはないだろうと思っていたが、そんなことはなく、誰が見ても分かるほど顔が真っ赤だった。


「…俺が言うと絶対に誤解をまねく。」


「ん。そんな気がする。ユニが言うべき。」


「え、えっと〜…そのぉ…」


零断含む全員の目がユニに集中する。ユニはさらに顔を赤くさせながらついに吐いた。


「わ、私が零断さんに思いっきり抱きついちゃったの!!!」


零断は内心ガッツポーズをしていた。その前に零断が後ろから捕まえてるのだが、この言い方ならそのことはバレない。


「そう言うことだ。心配させて悪かった。」


「まぁ、そう言う感じだと思ってましたよ。」


「あははは。まぁ、この話題はユニが恥ずかしいだろうからもうそろそろやめよ?それよりご飯にしよう!ご飯炊いておきましたから!」


危険が迫っているから起こしたのにご飯を炊いていたマサ。大物だ。


「ああ。」


このような形で朝のひと騒動は終わった。

まずまず聞かなくてはいけない風雅のことなどは全く聞かずにご飯にすることになった。






ということはなく、


「この狼何ー?」


と、ティアが零断に聞く。

零断は自分ではどう説明すればいいのかわからないようでユニに目配せする。

ユニは零断と目があったことで顔を赤くする。しかし、目を離さない。まだ離さない。まだ離さない。まだ…


「2人は何をやっているんですか?」


「はうっ!」


ついにクロノに突っ込まれユニが謎の悲鳴をあげる。

はぁ…と零断が溜息をついてからなるべく危険じゃないことを分からせるように説明する。


「こいつは昔俺が助けたやつでしっかりと理性が通じるから安心しろ。もう契約もした。」


「あと、今まで私達の近くに来た魔物を倒してくれてたのもこの子だよ。」


「零断さんが飛び出していったのはこの子が襲って来たからなの?」


「いや、実は今までも近くに居たんだけど俺が気付かなかっただけみたいだ。」


「えー!零断にも気付かないことあるのー?」


「こいつは俺の個人職の魔法を使うからな。そのせいで気付かなかったんだ。」


「へぇ…波動を…」


「肝心なとこ聞いてない。名前は?」


「風雅だよ。」


「ん。じゃあふうちゃん。」


「オン!」


「ふうちゃんでいいんですか…」


とりあえず風雅を怖がらないので一安心する零断。ムペは相変わらずだが、時間が解決してくれるだろう。

すると『ぐう〜』という腹の音がユニから聞こえて来た。ユニは今日何回目か分からない赤面をしてお腹を抱えて俯いている。

朝から色々あったのでお腹が減るのは当然である。


「それじゃあ、朝ごはんにしよっか?」


「お腹減ったー!」


マサは全員分ご飯をよそう。


「いただきます。」


「「「「「「いただきます!」」」」」」


あまり食料がないので朝は全員白米だけだがもともと朝ごはんに使う量の食料は盗賊たちに与えられていなかったので零断以外食べる量は多くないのでちょうどいい。ちなみに零断だけは子供達よりふた回りほど容器が大きい。

それと風雅は魔力があれば生きていけるので今の所ご飯をあげる予定はない。しっかりと稼ぎができて余裕ができたらあげるつもりだ。


「それにしてもこの食料事情を少しは改善させないとな。」


「はい。このままじゃ下手したら飢え死にですよね…」


「ん。それは辛い。何か対策を。」


「魔物の肉って確か食べられた気が…」


「食べられるのか?」


「まずいですけどね。」


零断は昔グレンに魔物の肉は食べてはいけないと習った。しかし、クロノは違うようだ。

事実、しっかり土地を抜き、魔物特有の魔力を全て抜ききれば食べることもできる。しかしまずいが。


「私たちは手間はかかるけど安上がりだってあの硬い肉を食べされられてたよね…」


「何回も噛まないといけなかったからお腹はいっぱいになったけど…」


「不味すぎます。無理です。あれ。本当にまずいですよ。絶対にやらないほうがいいです。これは本当にお勧めしますよ。」


クロノが珍しく強く押す。全員一致ですごくまずいようだ。

それならと零断がこう呟く。


「よし。じゃあ魔物の肉を食べるか。」


「「「「「「何故そうなる?」」」」」」


本当に当然の反応であった。否定して否定したのに食べるという結論になるのだ。

それを見て零断が弁解する。


「お前たちに食わせるわけじゃない。俺が白米を食べると減りが早い。だから俺は魔物の肉でいい。そっちの方が腹もいっぱいになるしな。」


まずいまずいといったはずなのに自分は食べるという零断に絶句する子供達。


「それに…」


「それに?」


零断が少しタメを作るのでついついティアが突っ込む。そして零断はキャラ崩壊の危機になるほどの力強さを持ってこう言った。


「肉は焼きごたえによって味が変わるのだ!そして、焼いてから食べるまでの時間は非常に重要!時間を置いたらどんな肉も硬くなる!そして、その肉に会う味付けで食べればどんな肉も上手くなるのだっ!」


「「「「「「……」」」」」」」


本当の意味で絶句である。ユニ含む全員がいきなり肉に対する愛情を叫ばれたため、呆然とする。

その驚きは2つあった。

1つは零断はこんな声を出すことなんて今まであったか?

ということだ。実際にはクロノの時にあったのだがあの時はクロノを説得させてるためであり、零断が自分の気持ちを言ったわけではない。それなのに零断は肉に対してそれ以上の声を出したのだ。全員驚くのも無理がないだろう。

そして2つ目は

何故肉?

ということである。

実際少し経つとクロノあたりが


『それがどうしたんですか?』


と言いそうなことである。

実は零断は相当肉好きで親がふるさと納税をする時は必ず肉をもらうように仕向けている。

それに誕生日は毎回豪華な肉料理である。最高級黒毛和牛を食べたこともある。

長谷家はいつもはケチってるのにそういう時はドーンとお金を使う家族だ。だから零断もここまで肉を愛せるのだろう。


『零断が弓道をやっているのはいい成績を出して肉を食べるためだ。』


と周囲に言われたこともあるレベルである。

人が焼いたのも好きであるが自分で自分好みに焼くのも好きでキャンプに行った時は全て零断が焼いている。その肉がどれだけ安物でも一定以上の美味しい肉が焼きあがるので肉料理は零断が作ってることもしばしばであった。

といっても肉料理だけであるが。そのほかの例えば肉じゃが(肉メインではないので零断的に肉料理にはならない。)などはいくら料理本やネットで調べても上手く作ることはできない。極端に肉料理だけができる人なのだ。

調理実習は基本ステーキをすごく上手く焼いて驚かれるのだが、涼音や慎慈らへんはどうせそれしかできないんでしょ?という視線を向けるのが定番になっている。

ということで零断は肉が大好きで肉ならなんでも美味しくしてしまうといっても過言ではないのだ。

零断のあの言葉が原因で朝ごはんの時間が妙な雰囲気になっていた。その雰囲気に耐えかねたユニが話題変換をする。


「ところで零断さん。これから私たちに何を教えてくれるんですか?」


これは朝ユニが零断に聞いたことである。その時は教えてくれなかったが今なら教えてくれるだろうと思い聞いたのであった。

零断も説明しておこうと思っていたのでちょうどよかった。


「まずは精霊を感じるところからだ。ユニはここはもうできている。ユニは他の人にコツを教えてくれ。それが全員できたら次の段階へと進む。」


「次の段階って何ー?」


「今説明してもどうせ忘れるだろう?」


「えー!教えてよー!」


「やめなさいティア。まずまずこれができないと次教えてもらってもできないでしょう?」


「そうだけど〜!」


「どうせすぐできるようなる。それに早く知りたいなら早くできるようになるのが一番だぞ。」


「んー。確かに…よし!ティア頑張る!」


「よし!なら早く食器を片付けて早くやろう!」


「ん。ユニ皿洗いよろしく。」


「チャマも女の子なんだからやろうよ〜。」


「むり。私にはその作業は合わない。」


「えぇ〜…」


いつも1人で全員分洗っているので手伝いが欲しいユニ。

零断が適当な場所に水を溜めてそこでユニが皿を洗う。ここ数日の日課であった。

といっても当然助けなど来るはずもなくただ1人で(横に零断はいる)で洗っていた。

それを見ている零断は昔を思い出していた。

涼音のことである。

涼音は非常に責任感が強く、面倒見が良い。さらに頼りになるので先生ですらついつい頼ってしまう。

要するに苦労人だ。零断はその性格のせいで外にはけないストレスなどを発散させて(涼音が零断にとことん甘えて)いた。零断と付き合う前は1ヶ月に一度ほど休んでいた。その理由はそのストレスのための熱などであった。結果的にゲームをしていただけであるが。

零断と付き合うようになってからは今まで以上にハキハキとしてさらに面倒見が良くなっている。そのせいで何かと人気がある。といっても本人は零断にメロメロでそれをよく周囲に撒き散らしているので同学年から告白されることは全くなかった。

時々何も知らない先輩後輩に告られることがあるようだがその人が言い終わる前にキッパリと断っている。

少し話が逸れたが、涼音はその性格でよく1人教室に残って掃除やいろいろな準備をしていた。零断はそれを側から見ていた。

何故か分からないが零断には今のユニと涼音が同じように見えた。

そう思い出に浸っているとユニも洗い物が終わったようだった。


「それじゃあ零断さん!よろしくお願いします!」


「ああ。任せておけ。」


ここから零断の特訓が始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


特訓といっても特に辛いことはやらずに自分の魔力を出して精霊と触れ合うことが一番の目的だ。

ちなみにマサのように全員一体ずつ妖精を呼び出すことができる。

おさらいからまず

火の妖精 『イフリート』

水の妖精 『ウィンディーネ』

風の妖精 『ウィントス』

地の妖精 『ギガンテス』

雷の妖精 『ゲイボルグ』


【…最初の方は確かに妖精だ。けど、どんどん妖精からずれていっている気が…】


零断はそう思ってしまった。というか、この名前は一人一人が考えてつけたものなのだ。これは偶然なのかどうかがきになるところである。

ちなみにイフリートは前に言った通り小さな虎のようなもので、ウィンディーネは全身が水の小人だった。ウィントスは足が雲になっているいわゆる雷親父てきな格好をしていた。大きさはイフリートと変わらないくらいだ。ギガンテスは驚くことに最初から以上に大きく2メートルを超える巨体だった。最後にゲイボルグだが、これはなんと熊だった。両手に雷を纏わせ、所々に黄色の毛が生えている黒い熊だ。だいたいクロノと同じくらいの身長だ。

これは大きいから強いわけではないので置いておこう。一人一人が妖精としっかりと仲良くなったところで本題に入る。

妖精たちに手伝ってもらいながら周りにいる精霊と触れ合う。

実際零断が波動を支配するのと似ているところがある。なので零断にも指導ができた。

この精霊との触れ合いに全く才能がないのがユニである。もともとユニは精霊使いではなく妖精使いなので当然といえば当然なのだが、それにしてもショックだったようでガックリしている。

次に才能がなかったのはムペだ。しかし、ムペは精霊の代わりにギガンテスと意思疎通がうまく、ユニを除いて一番妖精と仲が良い。ユニは当然のことだが、もう非常に仲良くなっている。特にクラウドは信頼しあっているようだ。まだその力に目覚めて1日と少しなのにここまで通じ会えるのは相性と才能だろう。ゴルとピクシーはあまり呼び出していないのでほとんど変わらない。

そのほかは同じくらいだ。

精霊に魔法を頼むことで少量の魔力で魔法を使うことができ、さらに詠唱もいらないのだ。ただ、お願いするのは言葉なので何か呟かなければいけないのは確実であった。

ちなみに全員精霊使いなので全属性の魔法を使うことができる。しかし、やはり得意不得意があるのでその適正属性の魔法が一番強く、一番使いやすいのだ。

結果的にはあまり零断は教えることなく魔法を簡単に使うようになった。

といってもまだ魔法を使って1日目。もちろんすぐに魔力は切れてユニ以外は魔力不足で睡眠に入る。なぜユニはそうならないのかはユニが可哀想になるので言わないでおこう。

そういうわけでまたまたユニと零断の2人っきりの時間が来たのだ。


「うぅ〜…なんで私は精霊にお願いできないんだろ…見えてるのに…」


「それは俺にもわからないな。すまない。」


「い、いえ!零断さんが謝ることではないですよ!」


「そうか。けど、このままだと不便だろ?ユニは俺と同じように普通の魔法を覚えたほうがいいかもしれないな。」


「確かにそうする手がありましたね。とりあえず普通の魔法をやっていこうかなぁ。けど、やっぱりなんで使えないのかをはっきりさせたいな…クラウド何か知ってる?」


「…おそらくでよろしければあります。」


「それを教えてくれないかな?」


「わかりました。おそらく精霊達は私たち妖精に遠慮しているのでしょう。」


「え?どういうこと?」


「私たち妖精と精霊は似ています。いえ、ほとんど一緒といってもいいでしょう。簡単に言えば精霊の中で異常に力を持ったものが妖精になります。そして、その格上の妖精の主人には迷惑になるかもしれないので近寄らないっていうのがこの原因かと。」


「ええ〜!それじゃあ私には何もできないってこと?」


「はい。そうなりますね。残念ながら諦めてもらうほうがよろしいかと。」


「うぅ…」


「しかし、逆に私たちが刺激しているので周りの魔法については詳しく教えてくれるかもしれません。」


「それってつまり…」


「どんな魔法がどこでどのように起こったかを知ることができるというわけか。」


「はい。しかし、まだユニ様は精霊とそれほど仲良くないのでまだ無理かと。」


「つまり、私も精霊と仲良くなれば良いってことだよね!」


「そうですね。」


「クラウド。他に妖精使いについて知ってることはないか?」


自分にも妖精と仲良くすれば良いことがあると知り嬉しいの気持ちを体で表現するユニ。そんなユニを尻目に零断とクラウドは話を進める。

ユニもその話が自分のことだと気づいてしっかりと聞く体制をとる。


「そうですね…妖精使いの最も強いところは『妖精を纏うことができる』ことにあります。妖精を纏うことでその妖精の力を一時的に自分のものにすることができて大幅に戦闘力が上がります。これを妖精化といいましょう。しかし、妖精化は決められた妖精にしかできません。ちなみに私、ゴルとは妖精化できません。ピクシーならばできるでしょう。」


「…ピクシーは戦闘には使わないと思うのだけど…」


「つまり、まだユニは戦闘については難しいということだな。」


「せめて自分の身くらいは…」


「それは私たちが守りますから安心してください。」


「けど、自分でも…」


「ユニ。確かに自分でも守る術は持っておいたほうがいい。だが、お前の力は妖精を戦わせることなんだ。ならそれを使うのがお前の強さだろ?なんでも自分1人でやろうとするな。」


「…はい。すみません。」


「別に謝らなくてもいいさ。」


自分の強さを考えずに自分1人で何もかもやろうとしていたことに気づいて顔をうつ向かせるユニ。そのユニに零断は優しく声をかける。


【この2人はいいカップルですね。】


クラウドが内心こんなことを思っていたのは誰にもわからなかった。








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