表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
波動の龍者  作者: ケイマ
第2章
40/81

番外編 3人の出会い前半

うえい。6時に送り損ねたぜ。

「ふぅ…今日は入学式か…また変な感じにならなければいいけど。」


ついつい俺は呟いてしまった。

今俺がいるのは俺の入学する高校の最寄駅だ。

その中学は大学までつながっている高レベル学校だ。しかし、中学受験の場合は異なる。

中学受験なら平均以上くらいの偏差値があれば受かることができる。

俺はそれに合格したので高校、大学と行くつもりだ。

しかし、中学生の時は自分の気があう友達がいなかったため、あまり遊ぶことはなかった。

結果的に部活、ゲーム以外には興味がなかった。

部活に半年くらいハマりすぎたせいで全国レベルの弓士になっちゃったし……


「高校はしっかりと友達作りたいなぁ〜」


そう誰にも聞かれないように呟いて行き慣れた通学路を歩く。

周りには真新しい制服を着て緊張して歩いている人が大勢いた。

といっても俺はそんなの気にしないでマイペースに歩く。

と、何事もなく学校に到着した。

俺はなんとなくギチギチに緊張しているその雰囲気が嫌になり、遠回りして入学式のホールに向かうことにした。

すると、学校の案内板を見ながらキョロキョロしている新入生を見つけた。

そして、その新入生は俺の存在に気づくと近寄ってきた。俺は明らかにこちらに向かってきてるので立ち止まって待ってみることにした。

その新入生は黒く綺麗な髪を長く伸ばした女子生徒で、すごく整った顔立ちをしていた。身長は150後半くらいだろう。要するに可愛かった。

そして、その女子生徒は俺と話せる距離になると止まって申し訳なさそうに聞いてきた。


「あの…すみません。ホールってどう行けばいいかわかります?」


やはり道に迷っていたようだ。俺もホールに行くのでちょうどよかった。


「はい。俺もホールに行くので一緒に行きませんか?」


…なんか口説いた感じになった気がする。どうしよう…

しかし、女子生徒はそう取らなかったようで


「良かったぁ…やっとホールに行ける…ありがとうございます!」


ホールに行けることを嬉しがっていた。

とりあえず自己紹介しないとな。同級生だろうし。


「俺の名前は長谷零断。えっと、君は?」


「あ、私は露草涼音です。よろしくお願いします。先輩。」


「ん?先輩?俺多分露草さんと同級生だよ?」


「え?ってことは中学上がりですか?」


「うん。あと、敬語じゃなくていいよ。」


「わかったわ。なら、長谷君と呼ばせてもらうわね。」


「了解。俺はさっきもう呼んじゃったけど露草さんで。」


「さんなくていいわよ?」


「そんなもんなの?俺中学女子いなかったからそういうのわからないんだけど。」


「ええ。さすがに名前呼びは恋人関係になってからだけど基本苗字を呼び捨ては普通よ。」


「そうなのかぁ。もうよくわからないな。」


俺はそう思いながら苦笑する。実際ここ3年間女子と話したことなんてないのでわからない。

まずまず初対面の女子とまともに話せてること自体が異常なのかもしれない。

まずまずここの中学は男子校だしな…


「それじゃあホールに行こうか。」


「ええ。そうね。」


とりあえず歩き出そう。別に会話は歩きながらでもできるし。


「そういえば露草のクラスは?」


「私は4組ね。長谷君は?」


「お、一緒っぽい。ふぅ。」


「どうしたの?ため息なんてついて。」


「いや、なんでもないよ。」


とりあえずいい感じの人と知り合えたのが大きいな。中学みたいにはなりたくないし。

そんなことを考えていたら曲がり角から見知った2人が出てきた。


「おおー!零断!おっす!」


「今日も元気かー?」


2人は3年生で仲良くなった同級生だ。先に話しかけてきたのが副水 和也ふくみずかずやで後に話しかけてきたわざとっぽい言い方の人が中原 浩二なかはらこうじだ。

どちらも成績は微妙でオタクだ。もちろん高校は帰宅部に所属しようとしてる。

まぁけど、GFOは俺の方が圧倒的に強いけどな。ここは年月の差だな。


「おう!カズと浩二さんおはー。」


「今から学食行くけど一緒に行くか?」


浩二が学食に誘ってくる。金欠っていうわけじゃないけど他のに使いたいからパスかな。


「ごめ!俺今道案内してるし、ちょい買いたいものあるから無理やわ。」


「あ〜そういえばGFOグッズ買いたいとか言ってたな。りょーかい!んじゃまた後でなー」


「おう!」


そう言って俺らは別れた。すると露草が


「…あの人たちが長谷君の友達ですか?」


「ああ。そうだけど?」


見ればわかることを聞いてきた。まぁ、聞くのが当然か。何か不思議がってるけど…って答えは明確だよな。


「完璧に私のこと無視してた…そんなに存在感ないかなぁ〜」


やっぱり気にしてたのはそこか。まぁあいつらは


「あいつらは本当の意味で女子と関わりないし、関わりたくもない奴らだからしょうがないよ。どうせすぐに諦めて話すようになる。」


「なんかいろんな人がいるのね。」


…あれ?もしかして俺って特別なのかな?普通まともに喋れないのかな?別に女子と話すのは気まずくも何もないから俺的には別にどうでもよかったんだけど普通割り切れないものなのかな?

まぁ、それはおいておこうか。


「長谷君。さっきGFOのこと話してたよね?」


「え?うん。俺GFOやり込んでるからさ。」


「私も結構やってるのよ。ちなみにレベルはどのくらい?」


「へぇ。露草もやってるのか。俺のレベルは652レベだよ。」


さすがに驚くかなぁ現状600レベ行ってる人自体が200人いるかどうかだし。


「えっ!長谷君650レベ!?!?40レベ負けた…」


え、嘘だろ。まさかこと学校に600レベ以上がいたのか?それは本格的に驚くんだけど。さっきの2人は400レベだし。


「露草やり込んでるなぁ」


ついつい呟いてしまった。そしたら


「いや、長谷君に言われたくないよ。」


と言い返された。いやぁ〜苦笑しかできないなぁ〜。

ホールに近づくにつれて人が多くなってきた。

あいつらいなければいいけど…

フラグを立ててしまった。マジで失敗した。なんでこういう時にいるんだよ。


「露草。一旦俺から離れて。」


「え?なんで?」


「いいから。多分俺のこと見てたらわかると思う。実際見てて欲しくないけど。」


俺はそして言って露草から離れた。露草も俺に何かあると察してくれたみたいで離れてくれた。

そして、俺は俺が孤立していた理由を作った集団に見つかった。


「よぉ〜長谷〜!」


「あれ?弓道しに別の学校行ったんじゃないの?笑笑笑」


「相変わらずキメェなぁおい!」


なんでこうなるのかな。俺はただ弓道を真剣にやってただけなのに。なんでこいつらに目をつけられていじめられなきゃいけないんだ。

いや、どうせすぐ過ぎる。別にこれを見られて露草が俺から離れるのもいいさ。友達が増えそうになっただけ。どうせ孤立するのか。

…いや、割り切ろう。まだ挽回できる。いまはこいつらから離れるのを優先だ。

俺は無言で立ち去ろうとする。しかし、今日はなぜか見逃してくれなかった。肩を掴まれる。


「おいおい。どこに行くんだ?一緒に学食いこうぜ?」


「ああ。みんなおはよ。あ、けど残念ながら今俺金欠なんだ。だから無理。」


「ああ?100円くらい持ってんだろ?財布見せてみろよ。」


1人が俺の財布を出そうとする。俺は反射的にその手を引っ叩いた。そしてこの行動を後悔する。


「おい!暴力するなよ!まぁそっちから手を出し的たんだからこっちもやっていいよな?」


はぁ。今日も殴られるか。一時的な痛みなんて別にいいけどさ。

なんとなく周りを見て見たら色々な人がこっちを見ていた。俺に同情の目で。しかし、誰も俺を助けようとしない。ま、そんなもんだよな。


「オラッ!」


…なんだこの拳。遅いし顔を狙ってるのが丸見えだ。

そしてパシッ!という心地よい音が聞こえる。


「…あれ?」


俺はなぜか無意識にその拳を受け止めていた。

受け止めちゃった。え?なんで?

と、とりあえず逃げるしかない!

幸いあいつらは俺が拳を止めたから動揺してるし。

俺は手を離して歩き去ろうとする。

まぁ当然簡単に行かせてくれるはずもなくつかまえようと肩や腕を掴もうとしてきた。

ま、そんなにわかりやすく手を動かしてくれたら簡単に避けられるんだけどね。

自慢ではないが、俺は弓道とGFOで動体視力と反射神経は普通の人より圧倒的に高いと自負している。というか弓道の顧問やスポーツテストの時に散々言われている。

ということであいつらは俺のことを捕まえることはできない。

あ、逃げるより待つ方がいいな。

多分そろそろだしな。

俺はひたすら避け続けているとやっと騒ぎを聞いてか先生が来た。


「お前ら!何をやっている!全員来い!」


「あ、長谷君はこっちね。」


「ザマァみろ!テメェは個人面談だ!」


「たいっがく!たいっがく!」


はぁ。めんどくさい。露草はさすがにもう行ったよな。

そんなことを考えて周りを見渡してみるとあいつらの後ろからある先生が来たのが見えた。

岸田 真。国語科だ。あだ名は鬼神。怒ると鬼のように怖くなるのでこう名付けられた。

あいつらは鬼神が来たことに気づかずにまだ退学コールを繰り返している。


「黙れ。」


ああ。終わったな。俺はその一言でそう思った。

鬼神の声を聞いた瞬間あいつら全員凍りついた。

あの声で凍りついてたらバハムートレベルの咆哮には耐えられないな。どうせその程度か。度胸もない。

ああ。悪い癖だ。結果的に上から見てる。この癖は悪いからやめないと。


「全員こっちに来い。」


その一言であいつらは全員寄進の方へ行った。とりあえず周りを見るとさっき俺を呼んだ先生がホールの裏で手招きしてた。俺はそこにあまり目立たないように移動する。


「大丈夫でしたか?長谷さん。」


「はい。いつものことなので。…まずまずあいつらみたいな精神年齢が低い奴らと話す時間も無駄なんですよ。高校になったんだから収まると思っています。」


「あ、それについては安心してください。あの子たちはおそらく入学できませんから。」


「あれがもう1つの騒動ということですか?」


「あんな大人数の前でお金についてや暴力をしようとした時点でイジメと判断しますし、彼らはもう少しのことをしたならば退学と決まっていたので。長谷さんは何も悪くないので気に負わなくていいですよ。」


「元々俺があいつらのことを思う意味なんてありませんので。他の仲の良いしっかりと人として出来ている人を応援しますよ。」


そこまで話したところで後ろから走る音が聞こえた。


「そうだ。長谷さん。しっかりと彼女に感謝するんですよ。」


「彼女?」


俺は突然言われて誰かわからなくて首をかしげる。すると後ろからさっきまで聞いていた女子の声が聞こえた。


「大丈夫?長谷君。」


「露草?もう行ってたんじゃなかったの?」


「誰が行ってるなんて言ったのよ。長谷君は私に少し離れててと言ったのよ?少し離れたら偶然。本当に偶然先生を見つけたから長谷君が何をされてるかを話しただけよ?」


はは。俺は露草に助けられたわけだ。


「ありがと。助かった。」


「…まずまず許せないのよ。人が真剣に生きてるのにそれを馬鹿にして。自分達は何もやらない人は。その人が何か人のためにやったならいう権利はあると思う。けど、彼らは何もやらないでただ集団となり、全てを人になすりつけて1人を馬鹿にして。そんなの見てられないわ。」


「俺はもうこんなくだらないことに付き合うこと自体が時間の無駄と思っている。最初はいい。けど、ある程度経ってもまだやるならば俺はもう興味はなくなる。それが過ぎるのを待つことにする。」


俺は露草が言った言葉に本当の気持ちが入っていることに気づいた。

露草は俺と同類なのかもしれない。子供の頃からゲームを通じて大人に囲まれる。この大人の中にはくそったれの何も約束を守らない最悪の大人もいれば同じパーティになり、ゲームとは思えないほど信頼し合える大人もいる。

いまのゲームは人間関係を育むのに最適だ。そのことには俺やおそらく露草のように経験を振り返り考察できる者しか感じることはできない。

ゲームのおかげで俺は下手な教師や大人より人生経験を積んでいる。よってより良い結論にたどり着くことができる。その中で今の露草みたいに自分の気持ちを整理してどこまでがいいのかなどを決めることができる。

おそらく露草もいま俺と同じことを考えているだろう。

そうしてお互いに考えてていると先生が提案する。


「もうそろそろホールに入らないと遅れちゃうよ。2人とも行ってらっしゃい。」


「あ、はい。ありがとうございます。それじゃあ行こうか露草。ホールまで案内してあげるよ?」


「そうね。是非お願いするわ。私ここからでも迷うかもしれないから…」


どんだけ方向音痴なんだよ…

この後、無事に入学式を終えられた。

このとき驚いたのが生徒数が最初に言われてた時より少ないことだ。

その差は15人。あいつらと同じ人数だ。

学校の迅速さに恐れを抱くほどだ。まぁ俺は知ったこっちゃない。

これはこのあと知ったことだが、元々学校は生徒が問題を起こすことを予測していてどうとでもなるように手配していたらしい。これは校長を尊敬するしかないな。


こうして俺の学校生活が始まった。






後半は明後日くらいに更新します。

後半は長い…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ